「ぎゃああああ!」
「どうしました!?」
風呂場で思い切り騒いでしまった
僕のお腹にはくっきりと赤い線がつけられていた
無論、切り傷というわけではない
「またですか……いい加減この風呂になれてくださいよ」
椛の態度が焦り顔から呆れ顔に移る
「わかったよ」
この家は五右衛門風呂……鍋のような風呂だ。熱湯の入った鍋の淵を触った人は解るだろう。とても熱い。僕は風呂から出ようとして手を滑らせ腹が淵に付き、焼けて火傷した
これをやらかしたのは5回目だった
食事を取りながら椛は呆れて物を言う
「まったく……心配したじゃないですか」
「ごめん……故郷は家に温泉があったから……」
今日のご飯は川魚の塩焼き。最近教えてもらった料理らしい
「早くこの家にも慣れてくださいよ」ともう一度言われたしまった
後日
「ただいま」と椛が疲れた様子で帰ってきた
「今日は風呂沸かしたよ」というと椛は嬉しそうに尻尾を振る
「ありがとうございます!」と言い、椛は脱衣所に向かう
一刻半ぐらいしたとき風呂場の方で騒ぎ声が聞こえた
「ぎゃうううううん!!」
「どうした!?」外の炊き場から急いで、風呂場へ向かう
風呂場の所で腹を抱えている椛を見つけ、抱える
「大丈夫か?」と聞くと椛は睨みつけてきた。殺気がこもっている
「このアホっ!」拳が飛んできた
少し後ろのめりになる
「敷板!忘れてます!」と椛は後ろにある敷板を指差す
「あっ……」五右衛門風呂は下から火を炊くので、釜の下が暑いのは当然
敷板を敷き、直接、鉄の熱さに触れないようにしなければならない
それを忘れると、足、尻が熱くなる
椛はきっと疲れていて敷板がしいてないことに気付かず風呂に浸かり、僕が火力をあげて熱さに気づき慌てて飛び出そうとして滑り、腹に淵が当たり火傷……見ると椛の白っぽい肌に薄い桜色の線が横にくっきりとあった
僕はそれを見て謝る事も忘れ、ちょっと笑ってしまう
「?なんで笑うんですか?」と不機嫌そうに(当たり前だが)聞いてきた
「いや、椛が殴るのが初めてだったし、お腹の線がくっきりとついていたから」と言う
「……」と椛は睨みつける
「ごめんごめん。今度は気をつけるよ」と言う
「明日、あなたが全部警備行ってくださいね」と静かで強い語気で言われたので、了承する
その晚、僕は考える。
(今の風呂だとちょっと危険かな……風呂を改築しようかな)
理由は先ほどの事でわかる。僕は男だから、お腹に線がついても気にしないが椛は女だ。身ごもった時に、こんなことが起きたら僕は悔やむだろう。だから僕は風呂を改築しようと思い、考える
(だけど、このあたりに温泉はないしなぁ)
お湯は引けないし、汲めない。
(にことに相談するか……?)
と僕はそんな考えが思いついた