ところがわたしの仙腸関節は、AKA のあと激烈に痛くなり、前と同じレベルの激痛に下がるだけであった。多少なりとも効果を感じるから病院に通うのでない。痛くなりに行っている。回を追うごとに、やり場のない失望、やるせなさ、悲しみに襲われた。
治療が長引くにつれ、家族も嫌がり始めた。毎日家にいてうっとうしいからいなくなっちまえとか、仏に祈らないから治らないんだとか、死んでもいいぞとか、さんざんののしられた。痛くて痛くてそれだけで十分つらいのに。
AKA の原理は、「傷んでいる関節のところに刺激を与えて、周りの筋肉をびっくりさせ、自己修復機能を高めるもの」と聞いている。正しくはもっと複雑なのだろうが、わたしにはその程度の知識しかない。自然治癒力の発動を促す、みたいな感じだろうか。関節の可動域が少ないならそれを広げる(緩いなら止める)ように、などの細かい調整も先生の手指によって行われているらしい。関節を離す、という自分自身では不可能な動きを、先生が両手を使って引っ張って行う。
毎回AKA を始める前と途中と終わり頃に、可動域を試す。仰向けのわたしの片脚を持ち上げ、無理なく動く角度を目分量で測っている。35度ないし60度、と先生はつぶやいたりする。ひざを曲げた状態から片脚をおなか方面に押し上げる、さらに外側に倒す動作というのも、一連のテストに必ず組み込まれている。
にほんブログ村