【はっとの勝手に名画鑑賞会】
第481回「どん底」(1957)
1957年公開、黒澤明監督作品、「どん底」を
鑑賞しました。
ゴーリキーの戯曲を黒澤的に
小国英雄と共に脚色して映画化した作品です。
社会の底辺に生きる人々の悲喜交々が貧乏長屋を舞台に展開されていきます。
ほぼ、長屋の1セットなので、ある意味黒澤版「吉本新喜劇」みたいな作品なんですね(笑)
この時期の黒澤の実験的な感じ、悪く言えば迷走感は凄いですが、この作品は元々ゴーリキーのファンである黒澤の気持ちがたっぷり詰まった愛すべき作品に仕上がっていると思います。
特に主役のいない群像劇ですが、三船敏郎や
山田五十鈴というスター俳優を
凌ぐ輝きを見せるのが、三井弘次ですね。
彼が、このとりとめのない内容の
映画を最後の最後にグッと引き締めます。
三船敏郎出演の黒澤作品で唯一、志村喬が出演していないレアな作品ですが、その代わり左卜全が燻銀の演技を伸び伸びと披露しています。
ほぼ1セットということで、観客を飽きさせないためにとことん拘ったと思われる、黒澤的な構図やカットが堪能できる内容にもなっています。
まあ、いわゆる黄金比的な映像の宝庫とも言えるので、美術方面を志す方には特にオススメな
ような気がしました。
僕もかなりな底辺な生活を経験して来たためか、何かこの映画には妙なシンパシーを感じてしまうんですね。黒澤作品ではかなり上位に来るお気に入りになりました(^.^)
【人生はまるでロード・ムービー、
次回も一緒に過去に置き忘れた
宝物を探しに行く旅に出ませんか?】
それでは、また(^_−)−☆