例えば、幼稚園や保育園の朝の会や設定遊びのようなとき、みんなと一緒にいることや、同じ遊びをしたがらない子どもさんがいるとします。そういうとき「子どもさんにはストレスになるので無理はさせないようにしましょう」と言われる方がおられます。そういう時一つだけ留意することがあります。このように言われる方は、みんなと一緒にいることができない子どもさんやみんなと同じ遊びをしようとしない子どもさんを「障害をもっている子どもさん」の可能性があると考えている可能性があります。

 

 「障害があればできなくてもしようがない」「みんなと同じことをさせようとするのは、できないのを無理にさせることになるだけでストレスになるだけだ」という考えかと思います。

 さて、例えば障害をもっていない子どもさんたちはどうかと言いますと、生活経験を重ねることによってできないことを少しずつできるようになっていきますが、そういう過程では、今の自分ができることよりも少しレベルを上げながら、失敗もし、試行錯誤をしながらレベルを上げていきます。そういう時当然ストレスも感じます。しかし、それは発達していく上には、どうしても必要なものです。子どもさんの実態とかけ離れたストレスは、当然害になります。ですから、教育をする立場の方々は、子どもを育てるために適切なストレスをかけるのでなければなりません。

 

 さて、今回お話ししたいことは、「みんなと一緒にいることや同じ遊びをしたがらない子どもさん」が知的障害児や自閉症などの発達障害児でないとしたらどうでしょう、ということです。そうであれば、ストレスをかけるのは無理をさせることになるのでなるべく避けたとしたら、伸びるべき発達は、伸びなくなります。

 

 さて、早期療育を18年間行ってきている、我々NPO法人 療育教室 楽しい広場では、「適切なストレスは必要である」と考えています。そしてもう一つ、「みんなと一緒にいることや同じ遊びをしない子どもさん」がいたとき、その原因を知的障害や発達障害以外からまず考えていきます。具体的には子どもさんの「生活経験の仕方」を分析することです。発達の遅れや問題行動がある子どもさんがいたとき、障害を原因として考えることが非常に多いのですが、子どもさんの経験の仕方を分析しますと、障害以外の原因が見えてきます。そこで、障害以外の原因が考えられるとしたら、その子どもさんへの働きかけの方法が大きく変わってきます。ストレスのかけ方も同様です。

 

 「子どもさんの成育歴を見ろ」が、障害以外から子どもさんの発達の不安の原因を考える上での大前提となるのです。ただし、そういう考え方で早期療育をされている方々、機関は非常に少ないと思います。我々NPO法人 療育教室 楽しい広場は、障害以外から発達の不安の原因を考える早期療育を、たくさんの方々に知っていただきたいと強く願っています。具体的な考え方、方法論は、これからもお伝えしたいと思っております。