この記事は「記事リクエスト・質問・その他:その5」(記事はこちら)のコメント欄にいただいたご質問への回答となります。

 

こちらのコメント53で、質問記事への回答は最後になります。他に記事を補足する件がありますが、これ以降は通常の記事の作成とアップとなります。

 

コメントでの質問を見落とししている場合があるかもしれませんので、その際はご連絡ください。返事をお待ちいただいている場合は私からお知らせが通知されているはずです。

 

_________

 

それでは、ふくろうさんのご質問にお返事を書きたいと思います。

 

ふくろうさんの詳細:

 

- 39歳、男性、既婚、夫婦のみの家族構成

 

- 仕事は自営業:賃貸経営、壁の塗装、内装のクロス貼りなど。

建築系の業者とは、値段交渉や、クレーム、話し合いなど対人コミュニケーションを必要とする


- 約7年前に発達障害と診断

 

- wais-Ⅲの検査により、特性や特徴のおおよそは理解している

- 自営が向き、最近はストレスも少なく落ち着いて生活できている

特性における具体的な困りごと:

仕事上での対人コミュニケーションが必要な場面(交渉、話し合いなど)で、「自己主張したり出来ず失敗したり、自分がしたてに出てしまうので舐められて利用されそうになったり、うまく対応出来ない自分に落ち込んだり です。うまく行くことの方が多いですが、毎回パワーがいり、かなり気を使います」

 


ご相談内容:(抜粋)

 

現状は、本などの独学で対応しているので、きちんと専門機関で調べてスキルアップの方法を知った方が良いのかと思い質問した。


特性ゆえの対人トラブルや、トラブルによる落ち込みがあるのでうまく対応できるようにしていきたい:
 

① 自分の特性をさらによく知りたい
② 自分をよく知った上での対策や、発達障害としての対人、対社会スキルをさらに身につけていきたい

この①、②のための機関や、センター、病院、など具体的にスキルを学べる場所などありますか?1対1でカウンセリング出来るような所など
もし、あったとしたら注意点などありますか?
 

あとスカイさんの親族の方達は①②を知るためにはどうしてありますか?
 

ご本人のご希望:

 

特性における、対人コミュニケーション部分で困っている上記の内容、トラブル、ミスを少しずつでもいいので減らして、うまく避けて、より良く生活して行く知恵、対策を知り経験をしていきたいと思っている

以上が、ご相談内容です。

 

________ 

 

以下、お返事を書いていきます。

 

まず、診断されてから、過去を振り返ったり、特性と過去の経験やそこから分析して考える機会もなく、毎日を仕事で過ごしておられると思います。ですので、大人になると「やらねばならない仕事」と「自分のための自分研究」がなかなか両立できず、負担がきて気持が沈んでうつ病になったり、慢性疲労で頭が回転しない、疲弊した状態が続くなど、二次障害になることも多いので、今後その「心身の健康のバランス」だけは気をつけてくださいね。

 

よって、「現在困っていること」と「自分研究をすすめないと現状が回復しない」ことで焦るかもしれませんが、工夫するスキルは身に着けると一生ものですので、あわてず、一つ一つ、困難を「なんとか切り抜ける」ことで、負担を少しずつ年々減らしていければ、10年であらゆることが安定して余力ができる、ぐらいの見通しでやってみてください。

 

検査をすでに受けておられるので、これからは話がすすめやすいです。診断があると、使える公的機関の相談先につながることが可能です。

 

①の特性を知るには、場所を選んでください。

 

まず、私達の限られた少ない経験での話ですが、医療機関では大人の発達障害を深く掘り下げてフォローできる場所はほとんどないです。子どもの発達障害の分野で、やっとカウンセリングルームが設置された、学習室のようなものができた、という具合に増えてきてはいますが、私達の周辺ではまだ見ないです。都会部分で増えてきています。

 

ただ、どこでも「困っている大人の発達障害の人」というのはいまして、その人たちがまず頼るのは発達相談センターです。

 

ホームページがありますので、まずご参照ください。「発達障害情報・支援センター (リンク先)」

 

このホームページの「青年・成人期の情報」→「相談窓口の情報」→「発達障碍者支援センター 一覧」を順にクリックして見ていってください。都道府県の地図がでますので、ご自身の住まう都道府県をクリックして、最寄りの相談センターに連絡してみてください。

 

診断されたこと、検査結果があることを伝えると、予約が取れます。

 

こうした相談センターのいいところは、情報がいっぱい集まっていることです。例えば、田舎の私達の県ですら、

 

・仕事がうまくいかない、という相談でもOK

・センターに行くと、当事者の会の勉強会のチラシがいくつか見つかる(困っている者同士、経験者と勉強会で知恵を出し合い学ぶ)

・センター主催の勉強会、講習会などのチラシがある

・センターの専門家がすでに「当事者」というケースもあるので、仕事する際にしている工夫を具体的に見せてくれたり教えてくれる

 

などです。

 

ふくろうさんにおすすめなのは、発達障害の人に特化したセンターなので、1対1や2対1の面談などでも、こちら側に「苦手がある」ことを理解した上での面談なので、あちら側で気をつけてくれることも多く、病院のカウンセリング等とはまた違い、障害特性のある人ばかりを相手にされていて慣れておられるので、より使いやすいのではと思います。

 

ですので、②の部分の特性についてや仕事の困難な点について相談して、「どの特性が、どのように困難を作っているか」を一緒に考えてもらったり、他の当事者さんはどういう工夫をして上手く行っているか、の「実際に使っている知恵や工夫」を分けてもらうことかな、と思います。そのための、特性理解をお手伝いいただきたいと、定期的な面談で共にチェックしたり助言して欲しい希望を出してもいいかもしれません。県によって対処できる時間や範囲が異なると思いますので、まずは予約し、面談で相談してみてください。

 

学ぶ意欲がとてもおありなので、きっと、最初は工夫する、自分に合う「しのぎ方を見つける」のは大変かもしれませんが、慣れて早めに好転してくると思います。

 

あと、仕事を私も親族もしているので、いくつか書かれていた内容で思うことを書いてみます。

 

自営の範囲が広いので、「賃貸経営にまつわることをアウトソーシングする」という手段で苦手な仕事を減らす、という方法は考えておられるかどうか、も解決策の一つです。最も時間がかかりそうな、困難な部分である「交渉力」の部分は、手本が必要です。おそらくですが手本である人の手腕、話しぶり、やり方を見たことがないのではないでしょうか。

 

私達は、会社勤めで先にそれを「先輩や上司からまるまるいただいて」、マネができる範囲で、ノウハウを意識してマニュアルのように自分のノートに作り、お手本があるから「自分一人ではできないことを知って、学んで、実践練習して、下手だが打撃にならない程度にしのげる力」をつけることができ、その後に在宅をしていたりします。

 

対人コミュニケーションの場面がほぼ必要ない自営は、お手本がなくても、その方がマイルールで経営できるので、問題ないケースも親族では多々ありますが、今回の賃貸経営の場合は「対人」部分が多いように思います。

 

ですので、その部分を費用は取られるかもしれませんが、アウトソーシングし、その余力で学んだり、対人の部分でもステップアップすることはできないのかなぁ、と思いました。最近、新聞では「賃貸経営のお手伝いします」という広告を見つけますので。

 

ただし、こうしたサービスを使う場合は奥様や信頼できる先輩などに同席してもらい、交渉場面で助けていただいた方がいいと思います。まだ「学び前」なので、です。

 

または、同業他社で、そうした交渉のコツを教えてくれそうな、お世話のよさそうな方のところへ、時間があるときにインターンシップを名乗り出て「学ばせてください」と、いわゆる弟子入りのようなことをするのもおすすめです。結構、私達はこれをやります。小さい会社や知り合いのいる会社などは、数日なら、とか、勝手に学ぶならいいよ、とか、OKしてくれることも多いです。見て学ばないとわからない部分も多いので、これをやるわけです。

 

 

あと、おそらく判断力は診断前と後で、今後だいぶ変わってきます。

自分の特性を知り、工夫を模索することで、できることも増えて行きますので、自動的に判断材料も増えて行き、経験値が上がるということは、自分のフットワークも軽くなっていく、という流れです。今はその診断されて研究中なので、方法や工夫が手に入っていませんから足踏みしている状態だと思いますが、工夫できるようになると違ってきます。

 

そのためには第三者の視点がいりますので、相談センターや当事者の会や、発達障害の人の支援者の会(定型の人の物の見方から、アドバイスがいただけます)などでの勉強会に参加されるといいかなと思います。そこで「知恵や使える情報をもらう」という目的を忘れずに参加してください。ただ参加して、話を聞くだけで待っていても、「自分に有効な方法」は手に入りません。

 

質問したり、自分から聞いて、もどってきた返事のうちの3割、4割ぐらいが「工夫のアイデア」であるかもしれません。会話のすべてが「有効で知恵になる100%のすばらしいもの」にはなりえませんので、そこを大きく期待しすぎず、また受け身の待ちの姿勢で情報が歩いて来るのを期待せず、自分からこのブログに書かれたような「困りごと」をそのまま伝えて、上手く行っている同じような特性のある方に「どのような具体的な対策をしているのですか」等と聞き、メモし、自分に落とし込む、そして試す、ということが大事です。

 

あと、対人コミュニケーションの練習は、家族とすることが一番はかどります。奥様はお付き合いいただけそうでしょうか。

 

仕事でこういう交渉で、こういう押され方をした、という経験談をしたときに、具体的に「自分ならこういう話を用意しておく。押されたときに、押し戻す情報やネタを準備しておく」など、家族のその人独自のノウハウが聞けるかもしれません。実際に、私達は家族に平気でこうした失敗談を話して、「どうしたらよかったと思うか」を聞いて、具体案をもらう、次に生かす、ということは日常的にしています。家族ほど気軽に聞けて親身になってくれる相手はいないので、自分からがつがつ聞きます。

 

______

 

あと、大事な点で、気になった部分も書いておきます。

 

ふくろうさんの場合は、交渉や話し合いはかなり苦労しているようですが、「うまくいく場合が多い」とのことなので、パワーを使い果たす、という仕事での精一杯を、「上手く対応できない自分に落ち込む」と把握する思考の癖の部分で変わっていくといいと思います。

 

特性がありながら、自分なりに対応し、成果を出しているのですから、ここは大いに自分をほめて「自分、今回も頑張ったよ。へとへとだけど、やり通したよ!」と考えて、仕事として積み上げた一つの結果を、自分で認めていく、という作業が必要かもしれないと思います。「上手くできない」というのは、誰と比べて、または脳内のどの理想と比べて、でしょうか。そこが特性と結びついているかもしれません。

 

自分を良く知る、ということは、こうした「マイナス思考の部分も掘り下げる」ことでもあります。成果を出しているのに、そこではなく「上手くできなかった、不器用だった」ところを気にするのは、特性を気にしているからだと思いますが、凹みを気にすると限りがありませんので、まずは、凹みがあるのにやったよ自分、という現実の成果部分を、大事に気にしてみてください。今の自分の達成度を丁寧に認めてOKとし、そうしないと次のステップアップにつながらないのではないか、という別の発想で試す、などができるかもしれません。

 

さらに、へとへとになるのは、仕事を頑張った証拠です。頑張りと、あきらめなかった証拠がへとへと、という身体・精神状況なので、この疲れは「成果と結びつく疲れ」です。マイナスなだけの疲れではなく、そこも認めてあげて、自分自身をねぎらう、という行動に移せたかが大事です。つまり

 

「へとへとな自分へ、頑張ったご褒美に夫婦で焼肉を食べに行く」とか

 

「大好きなだらだらの1日、ずっと寝て過ごすご褒美デーにする(私の場合)」とか

 

回復させる、お楽しみを自分に与えるのです。これがないと人生にハリや喜び、幸せという感覚が訪れません。疲れて終わって、また仕事、成果を出した、でもまた疲れて終わる、自分の至らなさ、下手さ、不器用さに落ち込む、というサイクルに「楽しみ」が抜けているからです。

 

いつも、この「自分へのご褒美」というのを意識してみてください。発達凸凹がある人は、自分を責めたり、貶めることはなぜか易々とできますが、自分を認めて、褒めて、幸福だと断言することがとても下手です。もしくは、「思いつかなくて、やらなかった」ぐらいに幸福感や幸せ、という感覚が抜けやすい性質があります。

 

仕事は喜びが伴えば、そこからパワーが生まれます。ですので長続きするわけです。そのためには「仕事するだけ」で終わらず、きちんと「やり過ごした」り、「成果は出た」のであれば、そこをクローズアップして、自分と結果は「悪い時だけクローズアップ」するのではなく「そこそこやれたら、そこを大いにクローズアップする」ぐらいの勢いが、私達には必要です。それが世間でよく使われる言葉ですが、自己肯定感、につながります。

 

以上、お返事を書いてみました。

 

 


人気ブログランキング

 


にほんブログ村