この記事は「記事リクエスト・質問・その他:その5」(記事はこちら)のコメント欄にいただいたご質問への回答となります。

 

発達凸凹の子を育てている側の親も、特性を持っている・・・というケースは私達の一族や、親族と結婚したパートナーさんにもよくみられる事象です。そのため、その苦労はよく理解できます。では、どうしたらよいのか、という点についてですが、それぞれの「事情」と「所属する環境」に合わせていますので、一言で「こうだ」という説明ができません。ですが、参考までに書いていこうと思います。

 

ふみさんの相談内容は、

 

・33歳のときに、ご自身が発達障害(ASD +ADHD)と診断された

 

・診断前に既に就職、結婚、出産、育児をしていた。それまで障害となる困難は経験していなかった。

 

・親としての外界活動が始まってから上手くいかなくなった

 

・現在の一番の悩みが、小学校の保護者同士の関係、PTA

 

・PTA会議の翌日から二日間はひたすら寝込む

 

・今年度からPTA役員、子供が三人いるため、他の役も今まで引き受けてこなかったことから引き受けした

 

・ご主人がPTAを引き受けたことにネガティブに反応(ふみさんに無断で小学校に電話し役員をやめると発言、それを聞いてパニックになった)

 

・今までの経過:小学校の行事は苦痛、欠席あり。途中で役員をやめた上で学校行事に参加は気持ち的に無理と感じる

 

・主治医:(学校関係などの)負担になるようなことには参加せず刺激のないように生活してくれる方がいいので主治医としては良かったと言われまた

 

・現在就業中

 

ご質問内容:

 

発達障害当事者の親は、子供の学校関係にどのように対処されているのでしょうか? 

 

というものでした。

 

これらのコメント欄の情報では見えにくいのですが、見ないと判断できない、という部分も多々ありますので、少ない情報の中で書けることだけ書いていきます。

 

まず、「見えにくいけれど、混乱の要因になっていそうだ」「この部分の解決が先に必要かもしれない」という点を書き出します。

 

筆頭が、

 

・ご主人との夫婦関係における関係性について:

 

ご主人との関係において、ふみさんとの力関係が対等でない記述が出てきましたので、それが困難の根底に関係していないのか、が大事な点として気になります。

 

ご主人が学校に「PTAをやめます」と発言したこと→妻の判断を反故にする理由は何か。相談をせずに、いきなり電話し強硬した理由は何か。そうした行動を取るにいたった「今までの夫婦での積み重ねてきた過去歴」はどんなものか。それは子供の学校関係の問題や課題の解決において、妻の心労において、協力していけるパートナーであるかどうか、の判断材料として必要です。

 

例えば、ふみさんが「かなり頑固で、体を壊しても『せねばならない』と思い込んだことは無理に強硬してしまう性質があり、それが寝込むなどにつながり、子どもや夫を巻き込むため、『経験上、妻に言っても聞かないので無駄だから』妻を超えて学校へ電話するという強硬手段で解決しようとした。」

 

というケースと、

 

「妻が寝込んだ。夫や子供としては不便だ。目の前にある問題は妻がPTAを引き受けたことから始まっている。だからこれを止めれば改善する」という単純思考をしがちなご主人で、かつ「発言した後の責任は意識していない・理解できない」ため、後始末をいつも妻が引き受けることになっている。今回もこのケースで、学校へ電話した後は「自分は関係ない(親なのでPTAを夫が引き受けてもいいはずが無関係と決めてかかっている)」という風にふるまう。

 

というケースと、

 

「子供の学校関係のフォロー、妻本人の心身の健康の回復が最優先だ。今は正しい判断ができそうにない妻に変わり、自分が矢面に立ってまずはPTAが受けられる状態ではないと電話してやめさせよう」という、ある種、家庭の代表としての判断で動いた結果である。

 

というケースで、今後、このご主人と

 

「共に取り組めるのか」

「妻だけで学校も家庭、子供のことも回さないといけないのか」

「子どもも妻も、夫の性質に巻き込まれて余計に疲弊しそうなのか(ご主人も課題を抱えているのか)」

もしくは、

「ふみさんの障害特性で家族を振り回す結果になっているのか」

 

などにより、それぞれの原因から、かなりふみさんの負担・対処具合が変わってくるわけです。そうなると、この部分を無視して「親族の例では・・・」と書いてしまうと、その夫婦関係の部分で協調している、または役割分担ができている、という私達親族の例が「全く使えない・参考にもならない」ということになります。

 

ゆえに、この夫婦関係とそこからくるふみさんの心身の負担または支え、に関してはどうなのか、という点が気になることがひとつ。

 

この部分が明確にならないと、対処法も的を射たものが書けない、というのが正直なところです。

 

 

次に、

 

「PTAを引き受ける前・引き受けた後に、学校関係者およびPTAの中心人物に相談したかどうか」という点です。

 

自己判断であらゆることをすすめていくと、ネガティブに全体を把握しがちですが、現実的には突破口は必ず「問題の中心にいる人物の手助け、または理解」があって、初めて解決していけます。

 

つまり、この部分で動いていない場合は「混乱のまま、頭の中でぐるぐると思想して疲弊している」という私達特有の、閉じた思考での結論出しまたは、私達が良く自分たちで自戒している「自滅しそう」という状態に、自ら持って行っていることになります。

 

思考から心身を病む、ということが私達のケースでは多いので、閉じた思考で現実を量る、ということをとてもとても、自戒しています。現実に動き、他人の手助けを求めれば解決することも「ありうる」という少しの望みも捨てないことが、現実社会で生きていくのに大事なことです。

 

そのうえで、例えば

 

学校関係者、PTAの中心人物に「今は引き受けができない」という病院にかかっている事実を提示し、「引き受ける時期を先送りにする」という手段が取れるかを打診する。先送りできれば、仕事と育児、学校がバランスが取れるように、PTAが引き受けられるように「対人コミュニケーションの基礎」を学ぶ大人の療育先を探し、スキルを具体的に学んで「現実的に実践で使えるように」準備していく。

 

などが、親族が使う一つの手です。大人の発達障害の場合でも、発達相談センターは相談にのってくれますし、そこで開催されている勉強会や講習で「具体的な対人スキル」を学んだり、先輩のママさん当事者の方から「PTAで立ち位置をどうするか、すること・しないことを先に明確にしておくこと」など、聞いて参考にしたりしていました。

 

ご主人が家庭内でこの動きを阻害しないことが、この例を実践できるかどうか、にも関わってきます。ですので、「ふみさんに可能かどうか」を一切考えずに書いた例ですので、ご了承ください。

 

そして一番大事な、「発達障害当事者の親は、子供の学校関係にどのように対処されているのでしょうか? 」という点ですが、

 

家庭内で安心、安全にすごせていること、つまり精神的、体力的に、家庭で調整がきくこと、家族がそれをお互いに尊重していること、仕事と家庭の両立で疲弊していないこと、ができていれば、夫婦交代で「精神的、体力的に出られる方が出る」というのが基本となります。

 

あと、親族の場合は仕事で父親が出張や仕事柄(技術者や職人も多いので)長期不在になる、という共働き家庭も多々おりますので、その場合は

 

・「仕事と家庭の両立で疲弊しない」ように、子供のお世話を最小限にする

 

・子どもには児童デイに行ってもらい、ファミサポなどで待機してもらい、母親が帰宅して家事が終わってから迎えに行く(母親が精神的にわーっとなったまま子供に向かい合って混乱が続く日々にしない)

 

・土日のどちらかを、完全休業にして、家族には冷凍した総菜や冷凍食品などでしのいでもらい、家事から解放されてひたすら寝て体力と気力を回復する

 

など、「自分の心身の回復」に全力を出している感じです。基本は、「自分が健康で余裕があれば、他人(家族)のお世話ができる、仕事ができる。」という考え方ですので、この部分で無理をすると、子供のための学校行事や学校関係の活動もろもろは全滅します。

 

よって、このブログで繰り返し書いているのですが、母親や父親が親業務をする上で、無理なくやりこなすには

 

・「自分が自分の特性を良く知って、自分を上手く使えるようにすること」=余力を持つように常日頃、調整して気をつける事

 

・「子ども=予測不可能な言動、用事が発生する」という前提で、必ず仕事や家庭内の用事(法事や冠婚葬祭、旅行、出産など)がある場合は人手を確保する=ファミサポ、無認可保育園(小学生も預かる所が多々あります)、児童デイとの契約、緊急時のシルバーさんやシッターさんの派遣依頼ができるように登録をしています。

 

ここまで書いて、ご理解いただけるかと思いますが、「一人で抱え込まない。自分のキャパシティーを現実的に把握し、そこを超えないように日常的に調整する」ことで、学校関係や子供関係、問題に取り組める余力を残しておきます。

 

そして、「できないこと」はどんなに悩んでも「できないまま」であることが多いのが発達凸凹の特性の特徴です。よって、私達は継続的に「特性部分の凸部分や凹みについて学び、具体的に得意を活かして苦手を補う工夫や方法を学び続ける」ようにしています。

 

PTAや学校関係で苦手な部分を、そのままに、中学、高校と苦しみが続くよりは、発達相談センターに相談に行き、先輩ママさんの当事者に話を聞いたり、子供の障害特性に関係する親の会に入って「PTAはどうされてますか」と困難を持つタイプの親御さんに実体験を聞き、

 

「具体的にこうわりきるのか」

「こういう協力のしかたがあるのか」

「こういう話し方、関わり方でいいのだ」

「こういう心構えでいいんだ」

「そこまで関知しなくていいんだ」

 

という経験を聞いて、同じような困難を持つ人の「切り抜け方」や「工夫」を教えてもらい、少し実践してみる、PTAを自分の工夫の実践場として活用する、ということをよくしています。特に小学校時代に親として練習をして、中学・高校へ活かすつもりでやっていきます。

 

上手くやる、とか苦手を頑張る、という意識が支配すると動けなくなりますので、思考回路や視点そのものを変えて「自分のこだわりや思い込み、感覚的な絶対こうだ、というネガティブさ」からシフトして、脳内から現実世界での実践、活動、言動を通じて経験値を積んでいく、という人としての生活に、重きを置いていく感じです。

 

繰り返しますが、これは「自分の心身の健康があって初めてできるトライ」であり、自分が疲弊している場合は、自分の心身の回復に全力をあげ、それから育児、仕事、学校のことに取り組みます。

 

仕事をしないと生活ができない、というケースを除き、心身が不調の時は在宅勤務を会社に直談判したり、休職や時短を申し出たりもしています。時にはより働きやすいように、時期を見て転職することもあります。仕事は長期に渡り自分の人生に関わるものなので続ける人間が多い親族ですが、「常に、同じ仕事を、どんな人生の節目でも続けるようにこだわる」ということはしません。体調優先で、人生を「地に足をつけて歩める」ように、心身が健康で余裕があるように微調整をしてやっていくようにしています。

 

はしょって書きましたので、乱雑になりましたが、アドバイスとしては

 

・自分の心身の回復を最優先にする(自分一人で担当せず、上記に書いた外部の外注を多用する)

 

・その次に仕事、育児、学校関係に取り組む

 

・夫婦関係における課題を整理する

 

・夫婦関係において「自分では見えない」関係上の負担がある場合は、夫婦関係と発達障害に詳しいカウンセラー等と話す機会を持つ(専門家の視点と助力を借りたほうが障害特性のある人には見えない課題が明確になり、また解決が早いため)

 

・自分の特性面を知り尽くすようにする(それなくして、心身の安定のための自己制御は難しいため。)

 

これらに対処することで、結果的に気づけば「PTAや学校関係をどうやってこなせるか」という面で、自然と解決していることにつながる、と思います。

 

私達独特の考え方、生活、暮らし方、自分というものの安定の仕方をベースに書いていますので、世間一般の大勢の常識的な範囲を逸脱している内容も多々あると思いますので、使えるところだけ使ってみてください。また、自分が「絶対にこんなことは無理だ」と思う部分があったとしたら、「なぜ自分は絶対~、と思うのだろう」という自分の思考の癖や、それによって生じてきた現実の結果などにも目を向けて振り返り、参考にしていただければと思います。

 

新し発見があれば、必ず「今までと違う結果」が待っています。今まで困難なことも、新しい視点や行動を取ると、困難が解決していける方法を見つけ出すこともできます。私達は「変化することが苦手」で「思い込みや百ぜロ思考」や「経験していないことを脳内多動で空想や非現実の中で確信を持って動きがち」な部分があります。そこを受け入れて行動することで、今までと違う結果を導き出せる可能性が広がります。

 

最後に、無理をなさらないように、ご自身を大事にするのは自分です。自分のことを大事に見守り行動することができて、初めて家族やPTAなど、他人のためになるように動くことができます。自分をおろそかにせず、くれぐれも大事に思うように意識してみてください。

 

以上です。

 

 

 


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