10月も残りあと数日となりました。記事としてコメントの返信をするのは、おそらくこれが最後になるかと思います。今後は以前と同様、コメント欄にてお返事させていただこうと思います。コメント欄は文字数が限られており、たくさん書くということはできないので、内容的に限定的なお返事となるかもしれませんが、その分、一族の経験を抽出しつつ今までのように記事の内容の方に注力していくようにしますのでよろしくお願いします。

 

それでは今日のご相談内容ですが、中学入学と共にASD、自閉症スペクトラムと診断されたお子さんについてのakke47さんのご相談です。まとめますと

 

・ 中学入学時に初めて受診、ASDと診断されたがそれまでは手がかからなかった。

・ 生まれた時から夜泣きせず夜間の授乳もなく育てやすい子であった。

・ イライラした様子や怒ったりイヤイヤ期などもなかった。

・ 性格はおっとり、競争心なく、叱られてもすぐにケロリと切り替えができる。

・ 中学受験をする際に、親がイラッとする言動をしていた。(記憶の書き換えによる嘘、学力と反比例する幼稚な社会性)

・ 検査結果は知的に高く、処理速度部分が一番低く、高い部分と比べるとワーキングメモリにやや低さが見られるという結果

・ 療育対象外

・ 得意は理数、国語や情緒的な分野や漢字が弱い、英語は普通、社会は好まない、体育は得意ではない。

・ 医師からは「時間に余裕を持って行動させるように」とのアドバイスがあった。

・ 子供時代に困ったサインはなく、親側でアスペルガーか注意欠陥かも不明

・ 時間感覚が鈍く、生活習慣が身につきにくい、空気が読めない等の特性がある

・ 放課後デイケアは空き待ち

・ 心理士等の専門家は「傷ついてきたと思う」「本人は相当大変だったと思う」「内申が取れないタイプ」とコメント

・ 対照的に親には本人が困っているように「見えない」し本人も困っていないと「言う」

・ 中学受験で本人は難関1校に絞り、現在は公立中学

・ 効果的な支援をした

・ 父親とは別居中(非定型と思われる)

・ 母親が心身ともに支援が難しい状態にある。

 

ということでした。ご相談としては、ASDのどのタイプなのか、どういう支援をしていけばいいのか知りたいとのことなので、その部分を中心に思う所を書いていきたいと思います。

 

検査後にとまどわれているのは、絶対的に専門家との対話時間が足りなかったからだと思われます。診断後の報告における診察や心理士さんとの面談で、時間は限られており、専門家の方から詳細な報告を聞くことができなかったのかなと思います。忙しい病院側のジレンマでもあるようですが、多くの未診断のお子さんが列をなして診療予約のため待機しているので、初診であっても報告時間は1時間以内ですまされることが多いです。

 

最初のアドバイスとしては、初診後の再診はまだ予約が取りやすいはずですので、

 

「より詳しい説明、子供の取り扱いについての具体的な指南などをお願いしたい」

 

と、病院側に予約してできれば医師ではなく心理士さんとの説明・面談をお願いすることをおすすめします。すでにあちら側ではデータを持っておられますし、専門家のコメントを拝見すると、ある程度本人から引き出した情報があるかもしれない、それを教えてもらえるかも、と思われるからです。

 

また、思春期の中学・高校に最も状態が不安定になると思われますから今後もつながっておく必要はあると思うので、親が「我が子ながらなぞだ」と思えば専門家に時間を取っていただき聞く、ということを繰り返す方が、子供の成長とともに必要な支援ができる土台となると感じます。

 

どちらにしろ、検査結果を一度ですべてをまかなえる説明は専門家と言えど時間的にもできかねると思います。親族が発達検査を受けた後の心理士や医師からの説明を思い出しても、30分~1時間の説明ではなかなかできない、と感じます。まず検査の全体結果やASDについての説明で30分は要するので、個別的な詳細については10分やそこらではしょることになるためです。

 

検査結果を書面でいただくには、通常1、2ヶ月待っています。学校に提出するため、などの理由で書面で検査結果や支援のアドバイスを書いていただきたいと希望を出すと、病院の場合は有料となるかもしれませんが数か月後には用意していただけるかと思います。一度希望してみてください。検査結果だけを希望すると数値だけで出てくるので、「文書内容に子供に見られる特性と支援のアドバイスが必要」と伝えたほうがいいです。

 

ここまでは病院の利用の仕方と、今後のつきあいについて書きました。次に、お子さんのタイプについてです。

 

一言で言うと、親族の中でもよく見られるタイプです。赤ちゃんの頃に育てやすいことが顕著なので、親族間ではかなり早い時期から無理やり療育希望をしている状態です。理由は、ほぼ乳児検診で問題なしとしてスルーされるからです。

 

ですが定型児童の発達状態と比較して、赤ちゃんらしさ、いわゆる不完全な乳幼児としてのスタートから出発していません。言い換えれば、赤ちゃんの中に大人が入っているというようなちぐはぐさがあります。器は乳幼児でありながら、分別として現れる物静かさや聞き分けの良さなど、年齢不相応に高すぎる、というものです。

 

実際に脳内で色々考えている赤ちゃんだから、という子と、逆に「自分の気持ち、感覚を全く感じ取ることができない=表現できない赤ちゃんだから」という子といます。空腹を感じ取る力が弱いと、それを表現しないので、実際は空腹状態でもそれと知らず寝るのがこのタイプの子です。周囲がすることで「不快感」を感じると泣けますが、「それが自分にとって不快かどうかを感じ取る力が弱い=泣けない」ので、泣かず静かです。

 

結果として、大人にとってはとても育てやすい赤ちゃん時代を過ごしますが、ちょこちょこ、すこしずれた部分も集団生活でぽろっ、ぽろっと見せることがあります。ただその頃は低年齢の集団であるため、さほど高度な社会性やコミュニケーション能力を要求されるわけでもないので本人が頭脳的に周りにあわせる修正をかけられることもあり、問題が長く持続せず、見過ごされていくことになります。

 

これが小学校高学年、中学、高校となると、本人の社会性やコミュニケーション能力は伸びていないのと対照的に、一般の定型のお子さんは急激に「大人に近い」社会性やコミュニケーション能力を身に着けていくので、集団の中にいるだけでなんだか突然「発達の未熟な部分」が見えてくる、という状態になり、本人の自力で修正したり調整をかけるスキルの限界もこの時期に重なるので、どうしようもなくなってより沈黙してしまう、内側にこもってしまう、急に不登校になる、問題が出ているのに本人の反応が薄いとか、大人が理解できない状態で問題が表に出てきやすくなります。

 

ですので、知的に高い非定型というのは「今から幼少期を解読していく」という振り返りのもとで現在に活かしていく、ということをすると、本人は理論的な解釈や理解はできますので知識として理解することで社会性の部分を補っていけることが多いです。逆に言いますと、過去を過去のままにしておくと、本人が自力で修正をかけてきた部分は「認知の歪み」があった可能性が多く、内部に「よくわからないけど周囲はこう言動するからあわせてきた」だけであって、理屈がわかっていませんから、今後、わかっていないことは常識外れだったり、定型が絶対にしないような言動を本人はケロッとする、という形で繰り返し出てきます

 

お子さんの場合も、見かけは大人に近くなってきたけれど、中身が定型社会の常識やマナー、わかっているはずの社会的な前提、イロハが身についておらず、見かけと中身がちぐはぐなので、「頭がいいのにどうしてこんなことができないの(わかっているはず)」と言われることが増えて、本人は「今までと同じ様にしているだけなのに、どうして急に周囲は自分に当たりが厳しいの、どうしてそんなに批判的なの、どうして自分を急に否定しだすの」と周囲の変化にとまどい、不安と、それが続くと不信感や、自分の精神を守るために反動で周囲の否定へとつながっていきます。

 

ですので、療育対象ではないけれど、ソーシャルスキルトレーニングが最も必要なのは、この頭脳的には問題がないように見えるけれど、社会面の学びは自力でできない、乳幼児期に学ばないまま来てしまっている所の「やり直し」をしていく療育的なことが必要となってきます。

 

保護者ができなくても問題ないと思います。なぜなら、このタイプの子供は子は親から学ぶ、という常識の枠にとどまらない傾向があります。自分のズレに自分で気が付かない、そこを例えば「自分流の思考を読み取って、自分思考の考えや言葉に合わせて説明してくれる」同じASDでかつ困難を乗り越えてきた当事者(体験者)やASD思考を理解する専門家の言葉であると、すーっとものすごい速さで吸収していく傾向が見られるからです。

 

その子の本音としては、自分の言葉や思考が通じない親よりも、通じる他人の方が学ぶ相手としてはずっといいわけです。これは愛情や親子の関係うんぬんの話ではなく、体育を学びたい時、国語が専門で運動に知識や経験のない先生から学ぶより、体育大学を出た運動のノウハウを身に着けているばりばりの体育教師から教えてもらう方が、ずっとわかりやすい・自分の知らない技能を、よりわかりやすい・できる方法で教えてくれるという類の、都合上の話です。

 

ですので割り切って、ソーシャルスキルトレーニングが必要な部分は外部にアウトソーシングしてみてください。費用的に安く効果がよさそうなのは、都道府県に必ず1つはある発達相談センターに連絡を取り、そこで診断されたことを伝え、「本人が集団社会の中で困っている現状はあるが本人が困り感を実感できず、だいぶ社会性で遅れが顕著になりはじめている」ということを伝えて、本人とその方面の専門家の面談をアレンジしたり、当事者の学習会や講演会をいくつも紹介してくれると思いますので、そこに子供をつないでいく、という橋渡し役をするのがおすすめです。

 

自分が「何に困っているかもわからない」のは「周囲が何を考え、どういう判断基準で集団の中の他人を意識して動いているか」をわからない、自分一人で考え行動している自閉面が自覚できていないだけなので、その部分を客観的に説明されると「ああ!そういうことか」とやっと悟る、という領域に入っていきます。

 

この「ああ、そういうことか」と気づくと、このタイプの子は加速して現実社会について一つ一つを理解するようになっていきます。「気づき」がないと、ずっと自閉していきますので、自己については集団社会の中にいてすら客観性が持てないのが特性ですから、その部分を「わかりやすく説明してくれる非定型世界をよく知る専門家や当事者」と引き合わせるだけで、突破口は開けると思います。

 

あとは視覚的に学べる写真や絵のソーシャルスキルの本を提供してあげることも、今すぐできる方法の一つです。

 

「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズの、社会の常識や一般的な考え方を解説してくれている本などを何冊か借りるか購入しておき、本人に「興味があれば読めば」程度に渡してあげるのも一つの手です。強要はしない、そこに本がある、程度がいいです。

 

こちらがその本です。

 

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誰も説明してくれない、「時間の使い方」や「整理整頓」「友だち関係(考え方のちがい)」「友だち関係(自分と仲良く)」「友だち(気持ちの伝え方)」「ルールとマナー」、あとお金やネットのことなどが1冊につき1つのタイトルとなり、マンガ調で非定型にも理解できるように詳しく書いてあります。なぜそうするのか、どんな風に考えてそうした行動を取るのか、という非定型の子が思いつかない説明が書いてあるので、親族の子供達にはこれらを渡すと案外興味を持ってしっかり読んでくれます。

 

親がこれらを教えていこうとすると膨大な年月がかかりますが、学習に困難がない知的に高い子は、本を与えるだけで「今まで賄えていなかった」凹み部分の知らなかったことを一気に吸収して、実生活で「ああ、これが本に書いてあったことかな」という風に知識や理論性で集団社会を眺めるようになるので、客観性が持てるようになっていきます。これが自閉から一歩外へ出る、ということにつながります。

 

このタイプのお子さんは、見かけは叱っても切り替えが良いように見えたり、シレッっと嘘を言うように見えたり、わがままな部分を年齢不相応に出したり、という「信じられない!」という言動をしたりするように「見える」ようになっていきます。実は本人は何も変わっていません。変わったのは、周囲の人間の「年相応の技能を求める」ハードルの高さが変わったのです

 

これは社会人になって顕著になることが多いです。成人してから周囲の人間にきつく当たられて周囲の容赦がなくなり、今までの「何となくやりづらいけどやれてきた」が急激に生きづらくなる成人の発達障害の人に見られる傾向かなと思いますが、大人の社会に近づけば近づくほど、本人が持つ子供のままの考え方や行動が、非常識だの、嘘つきだのと言われるようになるのが原因です。

 

特にお給料をもらう仕事に関しては、給与という対価を与える代わりにそれ相応の労働で返せよ、という大前提があるので、周囲はその部分では「経済的な常識」として容赦がないので、会社という組織で急激に周囲からのハードルが上がり、今までの同じ思考、言動の自分では認められなくなった、むしろ批判され、どれもこれも改善するように言われるようになった、対価をしっかりよこせと要求されるけれど、それを実行するスキルがないのでどうしようもない、という現実に直面し、会社も本人も困るという結果になることがあります。

 

成人して自立し、社会人として生きていくにはこの「入社してから」知らない自分について、周囲からあれこれ言われ、自分のことを自分が知らないのに改善を求められてもどうしようもない、でも会社だから今言ったことは今すぐ改善しろ、というシビアさなのでもうだめだ、ということにならないように、早い時期に発見できたことを幸いとして、今から、この「自分について全くしらなかったこと」をお子さんが今からコツコツ知っていく、ということが、お子さんの将来を明るいものにしますし、今もすでに明るい戸口に立っている、と思います。

 

お子さんが嘘を言っているように見えたり、幼稚な言動をするように見えるのは、子供時代から持っている思考がそのまま出ているからなので、それはそのまま「お子さんの傾向が凝縮している貴重な教材・手がかり」です。色々言いたくなると思いますが、その前に「へえ、そう考えたのはなぜだろう?どこに腹が立っているのか?何が気になるのか?どこが許せないのか?」の部分を知ろうとして子供と話すと、だいたいこだわり部分がわかってきます。

 

お子さんは怒りの感情が出ないおっとりに見えるかもしれませんが、言動の中に「ゆずれない」部分があるからこそ、他人と相いれない言動になっていますので、ある意味頑固なほど自分流を貫いていますから、他人が自分を理解しないこと、自分と同じに動かないこと、他人が自分を「誤解する(現実は考え方が違う)」と感じることには、とてつもないストレスを感じ取れなくても受けてはいると思います。それを怒り、と把握できず、「もやもやする何か」としか感じておらず、ですが長年蓄積した不満や誤解される理不尽さなどはもやもやのまま記憶していると思います。

 

そこが今後、他人を否定したり対話を拒否したり、人を信じず我流を貫き通して「結局、自分は必ず否定されたり違うだろ、って言われるから」と諦めから傍若無人に見えるような言動をすることにつながってしまいます。そうなるとなかなか、精神的な余裕は全くなくなり、傷つかないための保身=自閉世界に閉じこもるため、本や専門家からも学べなくなりますので二次障害の方が心配になっていきます。

 

本人にまだ反抗的な態度や人を拒否する言動がないのであれば、そこまで行ってないと思いますから、今できることは親はただの橋渡し役でいいので、「自分も知らない自分を解説して理解してくれる専門家や同じ当事者」や「当事者の保護者で自分の言動と社会が自分をどう見るか、なぜ誤解されるのかをわかりやすく解説してくれる人」に出会わせてあげることかなと思います。それでお子さん自身の抱える根本的な問題の半分以上はほぐれて、解決されることになります。

 

問題解決の残りの半分は、理解したこと、知識として得たことを実践する今後の体験です。それは家庭で、親子でできますし、また学校でも実践していくことでしょう。そして自分をよく知ることで、「自分が気持ちよくすごしやすい環境」を自分で選んで行けるようになります。

 

今までは「自分に合いそうな学校」も選べずにいたのが、難関校1校受験という形で出ました。自分自身についても知らずにいたので、自閉した思考の中での選択だったわけです。その結果に満足できているわけではないと思います。ですがなぜそうした結果になったのかは、正直わかっていない。それが、上に書いた2つのことを実行していくと、「自分に合う環境」を選べるようになっていきます。

 

自分が何にこだわるか、そのこだわりが成功することは世の中では少ない、という現実の過去の振り返りをすましていれば、こだわり=希望と、現実=失敗、ならどうするか=予防、という感じで、少なくとも2つほどは選択肢を考えるようになります。こだわりが強い子はなかなか、予防を実行できませんが、それでも「自覚」はできるようになります。なぜ自分が失敗したか、を冷静に経験から学んで行けるようになります。これが社会人になって必要な技能です。中学、高校、大学でこれを練習できたかどうかで、社会に出てからのストレス度合、対応できる・できないの結果が違います。

 

まとめますと、時間感覚があまりなかったり、空気が読めなかったり、競争心がないのは他人の中の自分を客観的に見ない自分主体のマイペース、周囲環境が視野に入っていない自閉の状態であるからでもあり、注意欠陥のように見える部分は生まれてから今まで、自分が持つ技能を利用して「整理する」や「うっかりを補う」工夫や方法が思い浮かばすそのままきたからです。

 

今は自分のことが全くわからないでいる、そのため過去を学ぶ教材とは全くできていない、経験が活かせないという状況なので、上に書いたような内容を今後していかれるとこうした特性部分を自分で調整できるようになったり、一見特性は消えたかのように見えるまでに「自分なりにやりやすい工夫」ができはじめる思います。今は十文に活かせていませんが、処理速度の遅さを頭で理論的考えた工夫で対処していけるスキルはお持ちだと思います。

 

コメントを読んだときに感じたのは、お子さんはこれから好転する、その戸口に立てている、ということです。発達検査にすすみ、専門家のコメントがあり、お母様がどうしようかと考えられたことですでに突破口を見つける寸前まで来ています。お子さんも親も、その戸口に入られると、次第に少しずつお互いに腑に落ちることが多くなり、実際の同居生活でも学校生活でも本人もストレス度合が下がり、親も「子供が見せていた幼さ」が改善していくことで過ごしやすくなっていくかと思います。

 

書いた内容をまとめる余裕がなく、全体にまとまりのない文章になりましてすみません。要点が伝えられているといいのですが。

 

 

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