基本、発達障害の子供は、同じ発達障害の親や親族の年長者にとってはわかりやすい存在です。これは我が一族に限っての話ですので、あまり発達障害になじみのないご家庭ではまた異なるとは思いますが。


そんな親や年長者でも、戸惑うときと言うのがあります。それが子供の反抗期です。


普段がわかりやすいため、「わかりにくくなる」のが反抗期です。発達障害の子供と言うのは、癇癪や泣き叫ぶときに必ず「理由や原因」があることがほとんどです。それがどんなに些細な事でも、ちゃんとその子なりの理由でカンシャクをおこし、泣き叫びます。ですので、親や親族の年長者は、原因があるからこそそれを発見して、対処するか理論的に「仕組みを説明して理解を促す」ようにすれば、たとえ思い通りにならないことでも、「そういう仕組みになっているのか」と落ち着くことは多いです。



この理論的な説明ができなくなる、すなわち「原因が発見できなくなる」時が、反抗期です。それは突然来ますので、親は「ええ!この子がこんな反応するなんて」と、とりあえずびっくりします。いつものやり方が、全く通用しなくなります。それでとまどっているうちに、「ああ、そういえば反抗期っていうものがあったな。」とやっと理解します。



高機能自閉症の子はとても理論的で、原因と結果論で生きていますし、我が道をきちんと自己流に決めているのでわかりやすい子供のタイプとしてはダントツなのですが、その子が反抗期に突入した時の親の側のショックははかりしれないものがあります。いわば、子育ての醍醐味を味あわせてくれているというか、日々発見を楽しませてくれる子であり、心楽しく過ごさせてくれる子が、突然不安定で荒れ狂うように我流を失い、錯乱するのですからショックもショックです。



アスペルガーの子は、もともと理論的ですが、その理論が行き過ぎて他人の領域まで踏み込みすぎることがあります。普段であれば、その領域を「それはあなたの領域、ここはお母さんの領域だから、あなたが決めることはできない。あなたが立ち入ることができる権利のない部分です。」とさえ知らせていれば、関係性は悪くなりません。ですが、反抗期がくると、この「母や父、兄弟、他人の領域にたちいることができない」苛立ちから、無理やり相手に踏み込もうとすることが出てきたり、気を引こうとしたり、自分をどこまで必要としてもらえるかという「ためし行動」をとるようになる事があります。いわゆる、「他人と自分の境界線を意識するあまりに思春期に混乱する」状態であると思います。これは夫も経験したようです。



自閉症スペクトラム(ここ、私のブログ内ではアスペルガー、高機能自閉症以外の発達障害)の子達は、まだわかりやすいです。定型一般の子達より、2年~3年ほど遅れて反抗期を経験していく感じだからです。他のお子さんは、一度幼稚園の年齢で反抗期がきているようですが、その頃は素直で、幼稚園を卒業してから小学校1年生途中か終わるあたりで反抗期が来る感じです。思春期の反抗期も、やや遅めな気がします。他のお子さんが中学ぐらいでお父さんを嫌がるのに、わが子や親族の子達はあまりその傾向が見られず、高校を卒業するか独り立ちしてから、疎遠になる感じです。女の子は男性と付き合う過程で、男の子はバイトや仕事をしだす辺りで父親のあれこれを思い出してちょっと嫌悪しだす、という感じでしょうか。ただ大人になっていますので、期間が短いです。お友達や、親族との会話で学ぶものがあるからでしょうか。



反抗期は難しいので、正直対処しようがないです。毎日がさざ波が立つと、大人の側が疲れますので、できるだけ距離を置くようにします。定型一般の親がどうするかはわかりませんが、発達障害の人間は「嫌いな人間がそばにいると、少しの刺激にも過剰に反応する」ので、接触すること=刺激、ですからいい結果にはなりません。家庭のルールは家族全員が守る、これは反抗期でも徹底していますが、それ以外では距離をあけて、なるべく相手が「話せる状況になるまで」距離を保ち続けます。兄弟姉妹の誰かと話していたり、親のどちらかと話していたり、親族の誰かと話すのであれば、何ら問題はありません。嫌いな親と話すよりも、仲介を立てたほうが健全です。



距離をあけていると、期間はそれほど長くないと感じます。だいたい1学年ぐらい(1年)でしょうか。長くても2年以内には冷静にもどっているように思います。親はただ、子供の反抗期の、気が立っている時期にわざわざ刺激しないように、普通にすごしていればいいと思います。この「普通」が難しいのですが。夫は娘が苦手でしたが、男の子とは気が合うようだったので、反抗期が来たときにはとてもショックを受けていました。突然嫌われるのですから。私は口をきいてくれない子がいたり、女性としても人間としても母親としても完璧ではないので、そこを嫌悪の対象にされた部分があると思いますが、夫が私を「誰よりも大切な人だ」と子供の前で何度も言ってくれて、大事にされましたので、子供の反抗期があっても夫からの態度が嬉しくあまり悩みませんでした。子供達がそれぞれに好きな人ができた時に、反抗期のことを振り返って謝ってくれましたし、過去の記憶としても悪い物にはなりませんでした。



親としての辛い一時期ですが、同じ目に合っている友人や親族と情報交換して、心を落ち着けて時が過ぎるのを待つことで、なんとかなると思いました。今、反抗期真っ盛りの親族の若者たちには、親の代わりに私達、他の親族の大人達が話したり様子見したり、声掛けをして彼らの親の心配を少しでも軽減できれば、と思っています。



人気ブログランキングへ

にほんブログ村