最近、遠方の私立中学(寮制)に在籍する親戚の運動会があり、一族の子供数人が入寮しているので、親族の多くが応援に行くことになりました。



どの家族もそうですが、車で長時間の外出になるので、家でそれなりの準備をしてきており、小さい自閉の子達もいましたが、ごくスムーズに、マイナートラブルもなく往復できました。



アスペルガーのこだりが強いタイプの人間や自閉症スペクトラムの衝動的な子や、高機能自閉症の自分のペースと興味だけで生きているような子をぞろぞろ引き連れて、長時間のドライブで、かつ運動会の参加となると「とんでもないことになるんでは」とよく公的機関の支援者から言われたりしますが、そんなことはありません。


事前に、家族会議というか、晩ごはんの後に家長を中心に「運動会に参加するにあたっての予定会議」みたいなものをしましたし、万全な体制だったからです。こういう家族会議には小さい頃から参加するようになっているので(これも家庭内ルールみたいなもの)、特に外出が怖いとか、不安とか、そういうことが幼い頃からありませんでした。



というのも、発達障害の人間の細部に対するこだわり というのは、かなりきついので、これを事前会議で討論して解消すると、ものすごく「安心」に変化するんですね。それから面白いのが、おそらく不安や不満から討論がかなり長く細かくなるんですが、解決策が出て具体的に対策が決定すると、後は準備して行くだけ、行く先々で決めたことをやるだけなので、みんな腰が据わるというかもう気にしなくなります。これも百ゼロ思考で「不安か無頓着か」のどちらかの振り子に揺れる習性そのものです。



ここで一つ、おそらく定型一般のご家庭と違う家族会議の例をご紹介します。



議題があがると、小学生のうちのだれかが、たいていざら半紙とペンを持ってきます。そして話し合う内容を、書いていきます。(これはほとんど、子供が自分のためにしていることですが、後々壁に貼り出すので全員が見て確認することになります)そして、気になることを家族皆が話だし、誰かがそれに答えることで物事が決まっていきます。


簡単に内容を述べると



・ 持ち物について(あれは持っていくのか、これはどうか、小さい子はあれを持参しないと、などなど)


・ 車何台で、誰がどこに座るか、小さい子の面倒を見る座席と人間決め


・ 食事の場所と食べるものを事前に決定(SAのどこを利用するか、2、3個候補をあげてメニューもあらかじめだいたい決めておく。代表者がまとめて注文するため。)


・ 持参するおやつ、ドリンクなど種類と量を決定、購入し持参する人を決定


・ 誰が、どこで、何時ぐらいに、チビのどの面倒を見るか決定(トイレや食事後に昼寝を促すなど含む)


・ 出発時間と、起きる時間の決定。起きてからすることの各自の確認(全員分を確認する)


・ 集合時間に確認することのリスト作成(持ち物やトイレ、お金関係、お土産等)


・ 交通にかかる時間と、最悪な時(台風、事故など)は引き返すなどの説明


・ 病気やけがで不参加の人間が出たときのこと(代表者1人と当人が留守番となる)


・ 暇つぶしに使う道具(本、ゲーム、パズル等)はどこまで許可するか、どれを持参するか各自に確認


・ お金を持参する人間と金額、子供は当日、誰にドリンク代などを依頼できるか等の指示


・ 最後に家長から前日の注意(寝る時間の確認、体調についての確認等)



というように、議題はものすごく豊富です。子供達は「あれはどうするの」「それはどうしたらいいの」など盛んに聞いて納得しようとします。家長や大人は、最悪の時も想定して、それこそ1%でも可能性のあることについては言及して、「こういうこともあるかもしれないから」と前もって説明してくれますし、私もします。



現地でイベントに参加する際のルールも、家長から伝えられますし、理解力のせいで、その時その場で全部は伝えきらないチビの高機能の子たちについては、行くまでに説明を理解させるようにしたり、現地で傍に着く担当の者を決めたりして面倒を見ます。当日はたいてい一族ときちんと一緒にいて問題ないです。



発達障害の人間は、旅行前や遠出の際は人一倍、計画と体調にみんなで気を付けます。快調に物事を進めるのに大事なのは、頭に計画をたたきこむこと選択肢をなるべくたくさん頭に入れて使えるようにしておくこと体調を万全にして、睡眠をしっかりとり、食事も取っておくこと



これがきちんとできていれば、どれだけたくさんのアスペルガー、自閉症スペクトラム、高機能自閉症の人間が集合しようと大丈夫です。



ADHDだろうと、退屈だと騒ぎがちな性質を持つ子だろうと、先に興味深いものを用意して小出しに与える準備をしておけば間ももちます。車の中で全員で問題を出し合ったり、知恵遊びをして時間をつぶしたりもします。 「何もしない状態で放置しておく」とトラブルが発生する ので、役目を与えたり、時間つぶしのネタを起きている間中与え続けることで、特に問題は発生しないのです。



私達親となった世代の親族が、子ども時代に落ち着いて行動できたのは、この事前会議があったからと、当日に豊富に面白いネタが次から次に年長者から出されていたことが大きいだろうと気が付いたのが、自分が親になった時でした。どこでひっかかってぐだぐだに泣いたり拗ねたりからんだり、になりやすいか、どこで退屈するか、ということも「自分もそうだったから」よくわかっています。そこをうめてやるだけで、実に簡単に物事はすすみます。



こうした細かい配慮は、どちらかというと家族をコントロールする責任者の家長達のストレスを軽減して穏やかに物事を進行したい気持ちと、一番精神的にも体力的にも崩れやすいチビ達のマイナートラブルを予防するためだ、と言えるでしょう。中学以上の人間は、もう自分のことは自分で配慮できるように出来上がっていますから、この年寄りか幼児達のための対策という意味合いが強いです。



ちなみに、親族で4人、5人と集まって物事を行うとき(遊園地へ行く時や、映画へ行くとき、祭りに参加するときなど)は、子ども同士でも同じような会議らしきものを真似事をしてやりますね。オブザーバーとしてどこぞの親戚の高校生の兄ちゃんに参加してもらって時々意見してもらいながら、とかいうことが多いです。最終的に家長に話を通して許可をもらう必要もあるので、計画性をきちんと伝えないとお小遣いも遊びの許可ももらえないので、子供達は真剣にやります。



こうして家族と暮らしている間は、計画するということ、選択肢を事細かに考えて対策すること、実行して問題なく物事を終了すること、という一連の作業を何度も何度も経験しているので、習慣的に自分の一部になっていて、独立して一人になっても頭の中でシュミレーションする癖はついています。大学入学と共に家を出たり、働いたりするときにものすごくスムーズにいったのは、こういう下積み時代(?)があったからなのかな、と今更ながら思います。



一族の外出、計画ルールについてのご紹介でした。






人気ブログランキングへ


にほんブログ村