先日、勤務先でパソコン作業をしていた時、突然マウスを操作していた左手がこわばりました。

 小指などは、付け根(MP関節)が外反した状態で固まっています。

 と、同時に、左肘から先の前腕部全体に痺れを感じました。

 

 え? これ、ヤバい奴……!?

 

 ちなみに、マウスを左手で操作していたのは、左利きであるからということもありますが、それ以上に「テンキー」が右側にあるキーボードを使うので、表計算ソフトなどでは「右テンキー・左マウス」のほうが圧倒的に効率がいいということが要因です。

 

 実は、自分の父も(父方の)祖父も、過去に脳血管疾患を起こしています。

 祖父は、脳内出血でそのまま寝たきりになって、10年近くして亡くなりました。

 父は、配達のために軽ワゴン車(しかもMT)を運転中に、突然左半身が動かなくなってしまい、これはまずいと思って「そのまま運転して救急病院に行った」そうです。当時の制度上、16歳から運転免許(当時は「軽自動車」という区分があって16歳で取れたらしい)を持ち、高校では何と「自動車部」の部長もしていたという父は、頑なにMT車派でしたが、半身動かない状態でどうやってMT運転するのか(ATならワンチャン、右半身が動けば運転できなくはない)……以前に、それ、かなり危ないと思うのですが。

 結局、脳梗塞の初期だったため、点滴で血栓を溶かして対処でき、数日で退院したそうです。

 

 そんな家族歴があるので、一瞬「まずい」と思いました。

 

 ですが、痺れ感があるのは左前腕部だけです。

 頭痛や眩暈(めまい)もありません。

 左足は普通に動くし、力も入ります。

 これは、脳ではない別の原因……整形外科的なものか、神経内科的なものかな、と。

 

 比較的短時間で、手のこわばりは治まって、ただ少しだけ痺れているような違和感は残りました。

 

 一日様子を見て、たぶん大丈夫だろうし、左肩の一部にちょっとした「凝り」というか痛みを感じたので、この部位が「悪さ」をしているのかな、と見当は付きましたが、念のため、勤務先近くの「脳神経内科」を標榜しているクリニックに行ってみました。

 

 結果としては、左手につながる神経のどこかが刺激を受けているのが原因だろう、ということになり、メコバラミン(メチコバール:要はビタミンB12製剤)を処方されました。

 恐らく、レセプト(診療報酬明細書)には「末梢性神経障害」などと記載されているだろうと思います。

 

 また、家族歴があることと、降圧剤を服用していることから、念のため頭部CTを撮ることになりました。

 結果的に、脳には何の異常もなく、過去に小出血とか梗塞などを起こした形跡もない、ということで一安心。

 

 しかし、CT画像を見ていた自分もそう(後述)感じたのですが……

 

 「左利きですか?」

 

とDr.から訊かれました。

 

 左右の脳が、ほぼ「対称」なので、そう思ったそうです。

 勿論、100%ではないでしょうし、「経験上、何となくそうかな」的な感じではありましたが。

 でも、自分で自分の脳画像を(左利きではないかと気が付いて以降)初めてしげしげと見たのですが、自分でも「これって……」と思ったのです。

 

 人間は、やはり言葉を使い、論理的に考えることが多いので左脳を頻繁に使います。ただし、左利きの場合は、半分くらいの人がこれを右脳でも分業して行うらしいことが、最近の研究でわかってきました。

 そして、左脳は右半身の運動や感覚なども掌りますので、右利きの人の場合は、圧倒的に左脳のほうを使うことになり、右脳よりも左脳が発達する、これは以前からよく言われて来たとおりでしょう。

 ところが左利きは、左半身を掌る右脳を比較的よく使うことになります。そして人間としての社会生活を送る上では、左脳も使わざるを得ませんし、世の中の「モノ」が色々とほぼ右利き用に作られていることもあるため、右半身を(右利きの左半身よりも圧倒的に)多く使うことになりますから、左脳もそれなりに発達します。

 そのため、脳の発達については、右利きよりも左利きのほうが「左右対称」に近くなるのだと思います。

 

 ただし、これはあくまでも「脳の中身」の話なので、外見上、そこまでの差が生じるかどうか、はわかりません。

 しかし、加齢とともに脳の、特に「あまり使われていない部分」は衰えていくでしょうし、もしかしたら(認知症とかでも言われるように)縮んだりするのかも知れません。

 

 以前、何かの本で「右利きの脳」と「左利きの脳」のCTだかMRIだかの画像で、その違いを説明しているようなものを読んだ記憶があるのですが、自分の「脳の画像」は、明らかに「左利きの脳」として紹介されていたものに近かったです。

 

 長年、右利きだと思って生きてきましたが、何やらずっと違和感を持っていて、最近になって「もしかしたら元々は左利きだったのでは?」と気付いた、というパターンですが、何かこれに対する「裏付け」の一つになるかも知れません。

 

 この「ずっと○○だと思っていたのに、違和感が拭えなくて、もしかしたら××だったのでは、と考えたら腑に落ちた」というのって、発達障礙でも当てはまることがありそうです。そもそも発達障礙も「脳のタイプとかパターンの違い」が引き起こすものだと考えられるでしょうから、あり得る話かと思います。

 最近はよく話題になる「性自認」なども、似たようなことなのかな、と思います。

 

 思いがけないことで、改めて自分の「利き手」「利き腕」について再認識する機会になりました。

 

 なお、手や腕だけではなく、足や脚、目、耳などにも「右利き」と「左利き」が(場合によっては両利きも)あります。

 これが、全て右、あるいは左、という人ばかりではなく、結構バラバラです。

 自分は、「足」は右、「脚」は左、「目」は左、「耳」は右利きのようです。

 そう考えると、右脳が、左脳が、というだけの話でもないのかな、と思います。