似ているようで微妙に違う制度としては、身体障害者手帳と療育手帳に設定される「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の第1種・第2種の区分と、自動車税・自動車取得税(以下「自動車税等」)の減免対象範囲(これは都道府県税なので都道府県ごとに違う可能性あり)と、「駐車禁止場所除外指定」の適用範囲(これまた都道府県公安委員会の所管なので都道府県ごとに微妙に違っていたりする)あたりが挙げられよう。
 幸か不幸か、筆者の住んでいる自治体では、長男が貰った3級1種の身障手帳で、自動車税等の減免も駐車禁止除外指定も受けられる。ちなみに4級だったら、駐禁除外が適用外で、JRも2種だったが自動車税等は減免対象らしい。


 療育手帳の場合は、比較的単純で、所謂「重度」と「それ以外(中度・軽度)」の線引きで分かれることが多い。前述したように、療育手帳では都道府県ごとに区分が違ってはいるが、概ね区分に「A」の文字が付くものが「重度」、「B」あるいは「C」など他の文字が付くものが「それ以外」となっている。
 ただし東京都では1度~4度で分類されるので、1度と2度が「重度」、3度以下が「それ以外」ということになる。また東京都では、自動車税等の減免が「愛の手帳」(東京都や横浜市などでは、療育手帳にこのような名称を付けている)3度でも受けられるのは、他府県と異なっている点と言えよう。
 若干の例外はあるものの、基本的には「重度」がJR1種となり、自動車税等の減免や駐禁除外指定が受けられる。「それ以外」はJR2種となるだけだが、区市町村によっては「軽自動車税なら減免対象」になることもある。


 精神手帳の場合は、そもそも「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の対象外だが、1級ならば自動車税等の減免と駐禁除外指定は対象だ。


 ということで、多々例外はあるのだが、要件の範囲の狭さ(厳しさ?)で考えると、自動車税等減免≧JR1種(精神除く)≧駐禁除外指定、といった感じだろうか。前述したように、都道府県によって異なる部分がある。本稿では、筆者の居住地を基準として記述することになるので、御自身に適用があるかないか、などは、必ずお住まいの都道府県の地方税所管部署や都道府県警察本部(公安委員会)の道路交通所管部署などで御確認されたい。
 なお、手帳は政令市でも発行するし、身障手帳なら中核市でも発行するが、自動車税等や駐車禁止は都道府県やその公安委員会の所管事務のため、都道府県単位で考えることに留意が必要だ。手帳の判定そのものは、もしかしたら政令市や中核市を抱える道府県(東京都には政令市・中核市はない)の場合には、市によって微妙な違いがあるかも知れないが、自動車税等の減免と駐禁指定除外は同一都道府県内では同じ扱いになる。


 筆者の都道府県では、自動車税等の減免は、JR1種に該当する手帳を所持している障礙者なら、まず対象になる。そして、平衡機能障害と体幹機能障害は5級以上(全級)、下肢の機能障害と「乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害(脳原性運動機能障害)」の移動機能障害は7級も含め全級、内部障害は4級以上(全級)と、JR1種よりも範囲が拡がる。
 「身体障害者障害程度等級表」では、肢体不自由の「上肢」の2級に1~4の項目が掲げられていて、そのうち1と2が1種、3と4は2種と分かれるのだが、自動車税等の減免では、2級以上というだけなので、ここも少しだけ拡がっている。ただし、同じ肢体不自由のうちでも脳原性運動機能の上肢2級は、全てJR1種だが、自動車税等の減免では「一上肢のみの運動機能障害を除く」となっている。
 ここで「あれ?」と思われた方もいるかも知れない。
 「7級って、手帳交付されたっけ?」
 そう、7級障害は、単独では身障手帳の交付対象外なのだ。ただし、7級障害が複数あると「等級合算」が行われ、6級(以上)となり、身障手帳が交付される。例えば一上肢と一下肢それぞれに「軽度」の機能障害があれば、各7級(等級指数0.5)で、等級合算で6級(等級指数1以上、2未満)になるのた。
 なお、既述のとおり、精神手帳1級も対象になっているが、療育手帳についてはJR1種と同範囲である(東京都は「3度(中度)」も減免対象に加わるのも既述のとおり)。


 次に、JR1種と駐禁除外指定の範囲の関係。これも似て非なるものである。
 JR2種で、駐禁除外指定の対象となるのは、平衡機能3級、下肢4級以上(2級の一部以上が1種)のみ。逆にJR1種でも、脳原性運動機能の移動機能3級や内部障害の4級は駐禁除外指定は受けられない。
 自動車税等減免と同様、下肢や平衡機能については幅が拡がっている。趣旨からすると「そりゃそうだよな」とは思う。ただ、脳原性の移動機能など、逆に幅を拡げても良いような気もする。


 いずれにしても、そもそもが外出する際の「足」に関する制度だから、その目安として、JRの1種・2種を考慮したのだろうとは思われる。ただし、これも固定的なものではないようで、例えば駐禁除外指定は、数年前に対象範囲を狭め、関係者からの異議が噴出して、下肢を中心に再度変更した、といった紆余曲折があったらしい。


 我が家に関して言えば、長男は、身体の障礙で駐禁除外指定を受けられることになったのだが、実際には発達障礙による「予測不可能な行動」によって起きる危険から回避する効果のほうが大きいのではないか。実際に、そうそう使うことはないんじゃないかと思うが「万一」の際の「お守り」的にいただいておくことにしよう。