「人に会うのが怖かった」噛む・叩く行動が減るまで
「人に会うのが怖かったんです。」
ある保護者の方が、そう話してくださいました。
お子さんには、噛む、叩くといった行動がありました。
外出するたびに、
「また誰かを噛んでしまったらどうしよう」
「叩いて、迷惑をかけてしまうかもしれない」
と、いつも緊張していたそうです。
周囲の視線が気になり、謝ることが増え、外へ出ることさえ苦しくなっていました。
「しつけができていないと思われるのではないか」
「親の育て方が悪いと思われるのではないか」
そんな肩身の狭い思いを抱えている保護者の方は、少なくありません。
けれど、噛むことや叩くことは、単なる「悪い行動」とは限りません。
言葉でうまく伝えられない。
嫌なことや不安なことを表現できない。
突然の変化に対応できない。
気持ちを切り替えることが難しい。
どうしたらよいのか分からず、行動で伝えていることがあります。
そこで、そのお子さんがどのような場面で噛むのか、叩くのかを保護者の方と一緒に考えました。
嫌なことがあった時なのか。
言いたいことが伝わらない時なのか。
待つことが難しい時なのか。
音や人の多さなど、苦手な環境があるのか。
行動だけを止めようとするのではなく、その奥にある理由を探していきました。
そして、その子に合った伝え方や、気持ちを落ち着かせる方法を少しずつ練習していきました。
「嫌」と伝える。
その場を離れる。
大人に助けを求める。
言葉や絵、身ぶりなどを使って、自分の気持ちを伝える。
もちろん、すぐにすべてが変わったわけではありません。
うまくいく日もあれば、難しい日もありました。
それでも、少しずつ変化が見られるようになりました。
噛むことがなくなった。
叩くことも、以前より減ってきた。
そして、保護者の方から、
「以前より、安心して過ごせるようになりました」
という言葉を伺いました。
噛まない日が一日増える。
叩かずに気持ちを伝えられる場面が一つ増える。
周りの大人が、その子の気持ちを理解できる瞬間が増える。
一つひとつは小さな変化に見えるかもしれません。
けれど、その変化は、本人にとっても、家族にとっても大きな安心につながります。
お子さんの行動に悩み、人に会うことや外へ出ることさえ苦しくなっている保護者の方へ。
噛むことや叩くことを、保護者だけの責任として抱え込む必要はありません。
行動には、理由があることがあります。
その理由を一緒に考え、その子に合った伝え方や落ち着き方を増やしていくことで、変化につながることがあります。
一人で悩まず、その子に合う方法を一緒に探していけたらと思います。
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