
政治家が政治に命を
かけていた時代の話
選挙コンサルタントの八田晋呉です。
田中角栄をオヤジと呼び慕った
昭和の時代の骨太な政治家達と、
田中角栄との深い関わりの様を
リアルに描いたのが本書である。
登場人物には懐かしい政治家の
名前が繰り返し登場する。
保利茂、橋本登美三郎、江崎真澄、田村元、
福田一、二階堂進、愛知揆一、西村英一。
昭和の政治語りフリークには、
ある意味たまらない役者達。
この中のひとりと、
今の政治家10人分が丁度釣り合う
といったら言い過ぎだろうか。
政治家としての覚悟と胆力である。
もちろん、
金丸、竹下と小沢一郎以下竹下派七奉行と
後に呼ばれることになる3名の首相経験者を
含む面々との創政会結成までの、
生々しいやりとりの模様も明らかに
されている。
また、
田中角栄が生涯盟友と呼んだ、
大平正芳元首相との自民党総裁選での
裏事情なども垣間見ることができる。
そして、
かつてコンピューター付きブルドーザーと
呼ばれた田中角栄から周りの子分たちに
場面場面で放たれる言葉の力の数々。
「第一は、できるだけ敵をへらしていくこと。
世の中は嫉妬とソロバンだ。
インテリほどヤキモチが多い。
人は自らの損得で動くということだ。
第二は、自分に少しでも好意をもった
広い中間層を握ること。
第三は、人間の機微、人情の機微を知ることだ。」
これすなわち、
選挙を戦う上での基本でもある。
「ウソはつくな。すぐばれる。
気の利いたことは云うな。
後が続かなくなる。
そして何より、
自分の言葉でしゃべることだ。」
これすなわち、
選挙演説の原則に他ならない。
極めつけはこれか。
「大学出も、七〇、八〇のばあさんも同じ一票。」
確かに、
先般の政権交代が起った衆議院選挙では、
安定感を最重要視した年配者の得票を、
自民党が一気に集めた結果に違いないのだから。
「人は実感したものを信用する。」
のである。