えろい本その40
パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書)/朝日新聞社

¥1,470
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「白木屋事件」てご存知でしょうか。
簡単にいうと、

日本にまだパンツの普及せぬころ、デパートで火事があった。
淑女である女性従業員達は、命綱で助かりかけたものの、裾野がめくれて局部が野次馬に見える事に極端な羞恥を感じ、その手の命綱を手放し、多くが命を落とした。
高層階で働く女性は、ゆめゆめパンツをはかずに働く事のないように。

っていう神話です。
「下着史」とかいうとだいたい出てくる話です。

そんで、この事件から日本人の女性にパンツを履く習慣がついた、ってことになってます。

うっそーって思うと思いますが、やっぱりうそらしいです。
そりゃそーだ。

この本は、そんな「白木屋事件がうそかどーか」のちゃんとした検証からはじまります。

で、パンツが普及しはじめたころは、男性諸氏もパンチラには当然ときめかないわけです。
「女性が転んでも局部が見えないなんて!」
ってね。

ですので、その頃のものとして、
健康優良児に表彰された小学生の女の子が、パンツ一丁で写真におさまっていたりします。
50年も昔じゃないくらいだよ。
児童ポルノどころではない。すごい。

そんで、娼婦の方々が色のついたパンツを身につけて、色を当てて楽しんだりして、
そのうちに有名デザイナーがそれを採用して、
そーこーするうちにパンツがやっと見せちゃいけないものになってきて、



男性目線の下着史と、女性目線の下着史って、ずいぶんちがうだろうなーという感想です。
ちなみにこの本の著者は男性です。



下着の話はおもしろいですね。
こーゆーはなしは資料が残りにくいから、こうやって一生懸命まとめてくれる人がいてくれて、幸せです。




かたい話はまあいいんですが。

どんな下着が好きですか。

わたし、ワコール系列の下着があんまり好きではなくて。
かといって、日本で売ってるものなんて、ほとんどワコールじゃないですか。
WingもLALANもUNE NANA COOLもAMPHIもLASEEも、けっきょくわこーるですからね。

STUDIO FIVEとMCだけはまーいいやって買うんですが。
まああれはちょっと違うし。
INPLICITEもかわいいかも。結局インポートなんですよね。


デザイン、てのもあるんだけど、あの無駄な機能性が嫌いで。
「しっかり支えます!」みたいなの。
まー支えてもらう必要がないからってだけなんですが。

男性としてはどーなんですか。
脱いで放ったブラジャーがしっかり形をし続けてるのって。
そんなの見てねーよ、って返事が返ってくるのはわかってるんですが。

胸の形そのものの立体的なブラジャーって、まったくかわいくないじゃない。
ワイヤー部分はともかく、カップの部分までくっきり立体的なのって、ゆるせない。
もっとこう、くたくたっとしてほしいし、
なんのためにそんな柔らかい生地使ってんだと思う。

実用って、セクシーの対義語だからね。

それに、セクシーなのって体で、下着はあくまでおまけなわけで。
下着に着られてるみたいなのは、やっぱかっこ良くないよなーと思う。

洋服もそうですが。
自分の奴隷になるくらい着こなさんといけんと思います。




インポートのってなると、やっぱりフランスかイタリアなのかしら。

これはフランス。このシンプルでやる気ないのにかっこいいところがすごくよい。
princesse tamtam
http://www.princessetamtam.com/fr/index.aspx


こういうのを! 日本でももっと!
肩ひもはずせるとか、谷間がどうとか、どーでもいいからさ!








えろい本その39
パン屋再襲撃 (文春文庫)/文藝春秋

¥520
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Twitterで村上せんせーをさんざんに言ってしまったので、3冊ほど購入いたしました。
やっぱり、短編はそこそこ好きだけど、長編は嫌いでした。

ので、短編を。
これは、確か中高生の頃も一度読んでいるのですが。
当時も、「短編は好きなんだよなー」と思っていたような気がする。

まーわたしの持ってる小説って、8割方短編なんだけどね。



繰り返しですが、エロスって、選ばれた人ものだと思っていて。
村上春樹の小説に出てくる人って、基本的に選ばれた人ばかりなのね。
たまーにそうでない人も出てくるけれど。
このパン屋でいうと、マックの店員とかだけど。
こっちはこっちであまりにも現実味が無い描写だし。

で、その選ばれた人の中でも、選ばれた瞬間にしか訪れないものだと思っていて。
なにかがぴたっと噛み合わせって、奇跡のような、ビッグバンみたいな、ああどうしよう宇宙ができちゃう、みたいな。
そーゆー衝撃的なものが起きる瞬間ってあるじゃないですか。
あるけど、めったに無いじゃないですか。


エロス以外にもこーゆーのってもちろんあって、
ファッションでも、これ以上はない!奇跡!みたいなモデルとスタイリングとカメラマンの組み合わせとか、
会話の妙で、これはもう魂のレベルで分かり合っているのだわ、みたいな時とか。


「パン屋を襲う事になる」ってのは、ビッグバン的な瞬間だと思うんですよ。
すごく高度に分かり合っていないと起き得ない。
誰かと一緒にパン屋を襲えるなら、わたし、その思い出だけで3年くらいは生きていけます。
ワグナー聴かされて、そりゃ傷つくだろうけど、その傷さえ奇跡で甘美じゃないですか。

それなのに、村上春樹の登場人物達って、奇跡が常というか、奇跡だらけの会話をしているというか。

小説だから、ファンタジーでいいんですが。
ハリーポッッターくらい、選ばれし人物のファンタジーにみえる。



かみあわないことこそが、鉄棒から落ちてそのわざとらしさを見透かされて死にたくなる事が人生の基本だと思っているので、
夢として短編集を読むにとどまっています。
そんな人生の中でも、たまーに奇跡みたいな、それこそ村上春樹的な瞬間があって。


そんな感じで、なんつーか、「イキっぱなし」な印象です。村上春樹。
えろい本その38
SとM (幻冬舎新書)/幻冬舎

¥756
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またそのまんまですが。
おなじみ鹿島先生です。



この本で知ったすげー趣味、「鳥人間」。
欧州のSMが、家畜と人間の関係を模している、ってのはよく言われる事で。
鞭なんかは、その分かりやすい現れなわけですが。

体に油を塗って、羽をつけ、おもちゃの銃で撃たれて逃げ回る

ってプレイがあるんだそーだ。
異文化過ぎる……。




この本では、「SMは文化のパロメーター」ってことが随所で指摘されています。
文化がせいじゅくしないとSMは出てこない、ってことです。
なんだか前回のブログが野蛮な強姦推奨に読めない事も無いので、これを。

エロスは、その片鱗こそはそこそこみんな味わってますが、
ある程度以上の快楽は、選ばれた人のものだと思う。

音楽や美術と一緒で、そりゃ誰でもある程度は楽しめるけど、
一定以上味わうには、練習や才能が必要。

「なるほど『やらせろ』って言えばいいのか、おいこら、ほんとはキモチイイんだろう?!」みたいな、脳みその足りない輩のくるところでは無い。
ましてやこーゆー勝手な奴がSを自称してたりするので始末に負えない。




やっぱりあくまで「愛」なわけですよ。
いい言葉に置き換えられなくてもどかしいのだけれども、
「のめり込み」「夢中さ」「盲目さ」「正直さ」「必死さ」「真摯さ」
みたいな。
「集中力」とかでもいいのかもだけど。
まさに努力と才能の世界。


で、1人で成り立つ趣味の人はこれだけでいいわけなのですが、
多くの人は2人以上で実践する訳で、
「信頼関係」とか「理解」とか必要になってくると思います。
よく知りませんが、バンドだったり舞台だったりもそーでせう。
こりゃ確かに文化が成熟してない社会では難しいよね。



「本気で嫌って言ったらやめてくれるだろう」っていうのも信頼ですが、
「あと20回は嫌って言ってもやめないでくれるだろう」ってのも信頼かなぁと思います。




それにしても、みうらじゅんの
「SはサービスのS」
が名言過ぎる。
さすが、未だにグラビアアイドルのご意見番なだけある。尊敬。