ストーリーの大枠は、失楽園のようなメロドラマです。ジェフリーは酒浸りでどうしようもないですが、イヴォンヌのほうも友人や弟のヒューと浮気をしてた過去があります。
離れてもなお愛し合っていた二人は、再会しても結局分かりあえずに破滅へと向かうことなります。
領事はすべてが失われたと感じるとき、酔っぱらうことでしか正気を保てない。現実は地獄のようにみえるのです。「愛なしでは生きられない」
なかなかに難解な小説です。
ジョイスのユリシーズのようにほぼ1日の物語で、「意識の流れ」の描写が多いです。意味不明なところもけっこうあります。
ただ、印象的なフレーズやイメージが繰り返される文章は魅力的で、難解ですが読みごたえがある作品です。