特集は＜河野体制始動　デジタル庁発足1年を検証する＞です。なんとインタビューはデジタル庁を創設した菅元総理でした。設立の経緯など大変面白かったです。まだ生まれて試行錯誤している段階ですから、破壊力のある河野大臣が道筋を作ってくれればと思います。

【ハイブリッド勤務でストレス上昇　出社頻度の柔軟な設定が必須に】(P.06)
出社勤務とテレワークを組み合わせた形態を「ハイブリッド勤務」と呼ぶそうです。そのストレスに関しての調査結果でした。
・在宅勤務をする物理的環境
・テレワーク頻度を変えたい
・出勤時よりオンオフがつけにくい
・出勤者に負担がかかりやすい
まあそうでしょうねという結果です。

会社が社員各人に会社業績と直結する目標を与えられているのかが重要だと思います。それがない限り「行動管理」するしかなくなります。

【LINE新銀行の勘定系システム　富士通から韓国製に乗り換えの内幕】(P.08)
LINE銀行が創設されます。Zホールディングスとの経営統合前から動いていた話が右往左往しています。韓国資本のLINEが銀行業に乗り出して日本への影響力を強めようとしていたが富士通のシステム品質の悪さから延期せざるを得ない状況になり（それとの関係は不明ですが）ZHDと資本提携して日本企業としてのコンプライアンスチェックされているという流れです。

2018年　LINEがみずほFGと組んで銀行業参集を表明。

　→2020年開業目標
2020年ごろ　富士通と進めていた開発プロジェクトが頓挫
2021年2月　開業時期を最大2年延期すると発表
　　３月　ZホールディングスとLINEが経営統合
　　４月　LINE BANK Taiwanが開業。韓国製パッケージ使用

富士通のシステムはソニー銀行向けに2018年から富士通が開発し2020年提供開始を目指していたもの。品質上の問題からソニー銀行へのサービス提供も2023年度以降にずれる見込みです。

2021年に11回もシステム障害を発生させたみずほ銀行の中心的な開発者も富士通ですのでその対応も影響しています。富士通の大規模な体制変更と品質低下が無関係とは思えません。日本を代表するITゼネコンの一角ですので頑張って欲しいです。

【アナログ規制、ほぼ全廃に現実味　「フロッピー」含め見直し9000条項に】(P.10)
2022年8月にデジタル庁が河野大臣になり、号令をかけたおかげで見直しが進みました。
　　　　　　　2022年6月　　2022年19月
見直す条項数　　3895条項　　9029条項
見直しの割合　　　73%　　　　　99%

フロッピー規定1602条項も見直されるようでよかったです。こんな規定がオンライン化を阻んでいたそうです。フロッピーなんて今の若者は見たこともないでしょう。

【個人情報管理が不十分な企業に　保護委が初のツールキット】(P.11)
個人情報保護委員会は、企業が個人情報を管理するためのツールキット「データマッピング・ツールキット」を公開しました。
無料ですので気になる方はご覧ください。

企業の中の、どこにどういう個人情報があり、それの責任者はだれかを一覧するものです。簡単ですが、この程度の管理も出来ていない企業も多いでしょう。これにより、個人管理でなく会社管理となります。

【SAPが「S/4HANA Cloud」拡販へ　アドオン解禁、製造業に導入促す】(P.12)
2020年10月4日、SAPは独開発言語「ABAP（Advanced Business Application Programming）」によるアドオン開発を解禁しました。

ABAPとはSAP製品を構成するプログラミング言語の事です。R/3の時はこの言語で、BAPI（Business Application Programming Interface）を呼び出してプログラミングをすることが普通でした。そのために日本企業のSAPはバージョンアップが出来ない状況になっていました。

S/4HANAになりアドオン開発が出来なかったため業務の標準化が進んだ面もありますが、アドオンなく導入出来ない企業もありました。S4/HANAでは中核データは触れないようにすることでバージョンアップ可能にしています。

【2weeks from 日経XTECH 10月17日(月)～28日(金)】(P.19)
10/17：フォーティネット製品の脆弱性突く攻撃をIIJが検出　日本で数千台に影響か
　→大阪の病院ランサムは10/31で間に合わず残念
10/20：衛生ネット回線Starlink　日本で提供開始　KDDIが法人提供を担う
　→イーロンマスク発。個人向けは日本全国サービス開始済み
10/26：JTBが地域振興事業で1万件超の個人情報漏洩　クラウドの設定ミスで
　→観光庁の補助事業で他の事業者がダウンロード可能に
10/28：米アルファベット７～９月期　YouTubeで初の減収　ネット広告に暗影
　→facebook,twitterなど広告企業は厳しくなっているようです

【河野体制始動　デジタル庁発足1年を検証する】(P.24)
9月1日で発足2年目に入りました。その動きを検証する特集。

１．発足1年で大臣3人　「大輪の花」は咲くか
2021/9/1-平井大臣、2021/10/4-牧島大臣、2022/8/10-河野大臣。菅内閣で発足した時に示された工程表通りに進んでいない政策の1つが自治体システム標準化です。これに限らず課題が2つ指摘されています。
（１）人事や組織に課題・・デジタル監の突然の交代劇など
（２）業務の範囲が広すぎる・・各省庁の案件を全部集めた
２．対話不足の標準化　自治体からは不安の声
工程表では3月末に公表する予定でしたが問題ありと判断しレビュー実施。こういう動きは珍しいそうです。
（１）4月に「0.8版」を作成
（２）4～5月全自治体から意見をつのる
（３）6～7月にITベンダー10社にアンケート＆ヒヤリング

（４）8月末に、それらを反映した「1.0版」を8作成
（５）9月中旬まで自治体に意見をつのり完成
10月に標準仕様書が公表されましたが＜政令市の業務に合ったシステムを作れない＞という声が出ています。特に福祉分野や児童手当について政令市では大幅な修正が必要だそうです。
３．保守費3割減まで3年　政府システムに遅れ
デジタル庁が管轄する1100以上のシステムについて関与の濃淡を３種類に分類して対応中。4つのグループにわかれてシステム開発を担っています。

４．1年で「仕事」が増加　優先順位どう付ける
河野大臣になり色々な仕掛けが前に進むようになっています。とはいえ大きな課題を2点指摘されています。
（１）施策を技術の観点から第三者評価する仕組みがない
（２）情報公開が不十分

どちらもごもっともですが、野党の無意味な反対でデジタル監にならなかった米マサチューセッツ工科大（MIT）メディアラボ元所長の伊藤穣一氏がデジタル監になれば色々と進んでいくだろうと期待しています。

それにしてもベンダー10社にレビューさせていたとはびっくりしました。その結果あのデータモデルしか出てこないとは。日本の技術力はどうなってしまったのでしょう・・・

【特集インタビュー　第99代内閣総理大臣　菅義偉氏】(P.40)
＜デジタル庁発足に政治生命を懸けた　勧告権は思い切ってやった方がいい＞
2020年にマイナンバーカードと健康保険証、運転免許証の一体化を指示しました。韓国がそうした施策を進めて医療費を削減したと聞き挑戦しました。総務大臣の立場では出来ませんでしたが、官房長官や首相という立場で思い切ってやりました。
デジタル庁発足を1年でやると約束して、政治生命を懸けました。総務省管轄だった地方公共団体情報システム機構（J-LIS）をデジタル庁所管とするのも調整が大変で腕力で実施

自治体システム標準化の期限を2025年末から延期して欲しいという要望もありますが、期限を外すとずるずるといってしまいます。役所の人はそういう理屈を作るのはうまいです。

全ての言葉がストレートで重みがあります。今までこの欄に登場されたどの政治家とも違います。安倍氏亡き今、菅氏に期待することろは大きいです。

【インボイスまで1年　「請求書洪水」に備える】(P.56)
インボイス制度は経理部門の仕事と考えている人が多いですが、ほぼ全社員が制度への理解と対応を求められます。
１．システム対応、2023年3月までに
課税業者の国税庁への登録期限は2023年3月31日です。制度開始は10月1日ですが実質的に準備に入る期限は3月31日です。課税業者と認定されると、登録番号を記載した適格請求書を発行出来ます。
２．「免税」の請求書は精算時に注意
登録番号を持たない免税事業者が発行する請求書や納品書については処理を分ける必要があります。

この記事には書かれていませんでしたが、システム上の注意点を2つ書きます。対応されている方はお気をつけください。
（１）税率ごとに1回の端数処理とする（行ごとは駄目）
（２）一般課税方式と簡易課税方式。業種により率が変わる。

【社長の疑問に答える　IT専門家の対話術　第227回】(P.82)
＜仲間と共につくり育てる　スマートホーム標準化Matter＞
様々なスマートホーム機器を連携するための標準「Matter1.0」が標準化団体CSA(ConnectivityStandardsAlliance)から発表されました。CSAにはGooge、Apple、Amazonを始めとするスマートホーム関連の企業が世界各国から300社近く参加しています。

発端はグーグルがアップルとアマゾンに声をかけ、スマートホームの未来を議論したところから始まりました。機器やサービスの種類を超えて、接続でき、利用できるための協業に取り組みました。

WEBサイトには300社以上の参加企業の一覧がありました。見逃しているかも知れませんが、日本企業はたった1社、沖電気だけでした。中国系、韓国系は多くありました。国力低下極まれりと寂しい気持ちになりました。

以上

日経コンピュータ2022.11.10