「呪いは解ける」vol3


過呼吸で倒れて、顔中が痛くて涙が止まらない。

濡れた枕が冷たくて、気持ち悪いけれどどうしようもない。


何度も寝返りを打ち、断続的な目覚めと眠り。目覚めると、まだ顔が濡れていた。

母の介護は大変なので、私が抜けると他の2人に皺寄せがいく。その時の私はしばらく休めばまた復活できると思いたかった。

家を仕事場にしていたので、犬と住める部屋を借りて公私を分けたらまた元気になるだろうと思っていた。

仕事ではイベントの予定があり、倒れた翌日から大忙しのはずだった。


しかし…人に会うと思うと全身が拒否。怖いのだ。人に会うのが怖くて、身体はくの字に折れ曲がり、涙が止まらなくなる。私はどこか壊れてしまったようだった。


スタッフに訳を話すと、夏からずっとお腹を下して、胃薬を飲んでいた私の状況を察知してくれ「しっかり休んでください」と言ってくれた。


私には大きな愛犬がいたので、急遽愛犬と一緒に過ごせるホテルを探した。が、リゾート地なので高い。それで週貸しや、月貸しも探したのだが何せ高い。それからどこへいっても小さなコミュニティでは知り合いがいて外を歩くのが怖くなる。人に会うのがとにかく恐怖で仕方がなかった。



それもあの時の症状の一つ。

思い出すと今でも歯茎がぎゅっといたくなる。


涙涙の1週間後まさか遠く離れたところに行くことになるとは、当時は思ってもみなかった。

何に導かれたのやら…とにかく私はこのままでは死ぬな、と確信した。



 

川の流れる自然豊かな辺境の地へ。



つづく


歌木鳩