恩人 14 | ☆★神戸の下町 湊川★☆ サンドリオン グループCendrillon group代表 波戸岡 正章 公式ブログ

恩人 14

試合会場を出て、一緒に観戦した友人と別れた。
新幹線の最終まで一人でタクシーに乗って30分だけ中洲に行くことに。

ずらりと並ぶ屋台の横を歩き、良さげな雰囲気の店の空席を見つけた。

暖簾をくぐり、生まれて初めて熱燗を頼んだ。

冬とは思えないくらい、体中が一気に熱くなった。
天ぷらの盛り合わせを頼んだが、本当に美味しかった。

まだ残っている熱燗。

時計を見たら新幹線の時間ギリギリだった。

呑めない熱燗を一気に飲み干して、タクシー乗り場まで走った。

そして、水を買い新幹線に急いで飛び乗った。

頭が痛くなり、水を飲んで気を休めた。

空席だらけの車内。
流れる車窓を眺め続けた。
その時、電話が鳴った。

バクスターとペドロのプライベートマネージャーである方からだ。

タラップに行き電話に出た。

試合の内容を鮮明に伝えた。すると隣には神戸にいたペドロが。

改めて感謝の意を交換しあった。ペドロは昇格が決まった直後、大粒の涙で叫んでいたらしい。



少し前の新幹線に乗った選手たちは新神戸駅に到着した。

新神戸駅の改札では500人以上のファンたちで選手たちを労った。

お前も一緒の新幹線か?と電話で聞かれ、違うと答えた。
すると、新神戸駅が大変な事になっていると言う。
その出迎えの先頭がペドロだった。

それを聞いた瞬間、タラップから車窓を眺めて通話していた私は、腰が砕け膝が崩れ落ち、しゃがみ込んで泣いた。


本当に嬉しかった。

電話を切り、窓際の席に戻りシートを倒し、残りの水を飲んで高まる興奮を抑えた。

そして、新神戸駅に到着するまでの間、バクスターと出会った小学六年生の頃から今までの出来事を全て思い返した。

出会ったのは震災直後のチャリティーイベントだった。
本当に懐かしい。

あの時、彼に日本語で
マケナイデガンバッテと話しかけられた。


あれから10年後。
こんなカタチで再開し、一年間彼たちの仕事を追い掛けた。


私も自分に出来る事で、神戸の為に頑張ろうと強く思った。

彼も帰国の際にまた必ず神戸に来ると約束してくれた。


思い返すとキリがなく、また涙が出てきた。

そして、新神戸駅に到着した。



すぐにタクシーに乗り、三宮に向かい、いつものメンバーと合流した。

全員揃って、強く抱き合った。

暫く、市内某所で飲んでいた。
コーチ陣も合流し、昇格を心から祝った。

途中、バクスターから電話があり、彼は興奮した口調で喜び叫んでいた。

その後、試合を終えた多くの選手たちと遭遇。

三宮のど真ん中で涙を浮かべながら強く抱き合った。


教え子たちはついに結果を出した。
さっきバクスターから電話があったと伝えたら、選手たちは静まり返ったように思い返した。

恵まれた一年間だった。

そして解散して、また一人で夜の三宮へ繰り出した。

その日、あまりの嬉しさに呑めない酒を呑みまくった。

そして、バーで朝を迎えた。

バーに朝刊が届いた。

朝刊のトップ記事に、神戸昇格の文字と、大きな写真が。


ここでようやく昇格したんだなと実感した。



暫くして2007シーズンに向けて、チームは始動した。



15へ続く。