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白い巨塔 (映画) - Wikipedia

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製作 1966年 日本 大映 監督 山本薩夫 原作 山崎豊子 脚本 橋本忍

出演 田宮二郎 田村高広 小川真由美 東野英次郎 滝沢修

「浪速大学の医学部教授になるための死闘とも言える教授選の駆け引き、また運悪く診断の難しい患者を誤診してしまい、医療裁判に巻き込まれてしまう医師、財前五郎の生き様」

第40回キネマ旬報ベストテン・第1位 日本映画監督賞 脚本賞(橋本忍)

 

(物語)手術室に財前五郎(田宮二郎)が入ってきて胃のレントゲン写真が電光板の上に並べられて手術が始まります。いきなり腹部が画面いっぱいに広がり、その上にメスが置かれ腹部が切られます。腹部の皮膚が裂けて血が滲み、それをふき取り、内臓が見えてきます。

「1時間37分か。噴門ガンの手術としては新記録だな」と手術を終えて廊下へ出ると、手術を受けた患者の奥さんが待っています。

「先生、九州ではとっても難しい手術だと言われてきたとですけど、先生のお蔭で」

「難しい手術でしたが、ご主人に運があったのでしょう」と手術の成功を伝えます。財前五郎は自他ともに認める食道外科の若き権威で、手術の腕前では右に出る者はいない浪速大学医学部第一外科助教授です。野心家です。

 週刊誌のグラビアページに財前五郎の顔写真入りで大きく「魔術のようなメス」の記事です。その記事を第一外科の東教授(東野英次郎)が苦々しく見ています。東教授は来年3月定年退職、その後の教授を誰にするかですが、財前を教授にしたくないのです。診察が終わった財前を呼んで、週刊誌を財前の前に投げて諭します。

「教授の出張中に、手術室を使い、手術着で写真を撮るからには、教授である僕の許可をとってくれないと困る!これが大学病院の古くからのしきたりだ。近く次期教授の選考が始まる。大いに自重してくれないと、僕としても推薦のしようがなくなるからね」

 第一外科のスタッフが控える部屋にビールが運び込まれます。患者からのお中元です。スタッフは大喜びで、財前助教授の手術の腕前におんぶにだっこの状態です。教授達はもらったお中元をタクシーで自宅へ持っていくのに、財前は全部配ってしまうのでした。

 財前は現金封筒で母親に送金します。五郎は12歳で父を亡くし、母一人子一人で育ちました。農業を営む母の少ない稼ぎと奨学金で浪速大学の医学部まで進みました。母の田舎の開業医が五郎の後ろ盾になっていました。五郎は浪速大学の5年目の助手時代に、その開業医と懇意にしている財前産婦人科の婿養子として、杏子と結婚します。田舎へ帰ってくるよりも、その方が母は五郎が医学者として成功すると考えました。五郎は母に深く感謝しています。五郎は母のためにも早く教授になりたく、それは非常に強い欲望でした。

 次期教授を決めるのは現教授ではありません。教授会です。東教授が財前五郎を教授会に推薦してくれれば、評判の良い五郎が教授になるのは簡単です。しかし、東と五郎はそりが合いません。東も財前五郎も教授会での選挙に勝たなければなりません。その前に東は次期教授にふさわしい人物を見つけてきて推薦しなければなりません。

 五郎は愛人のバーのホステス、花森ケイ子(小川真由美)のアパートでくつろぎます。

「早く教授とかになって欲しいわ、そしたら値上げや」

「ああ、3万でも5万でも上げてやるわ」

「けど、ほんまになれるの?」

「俺がならんで、誰がなるんや?!どうせ来年の3月までの辛抱や思うて、疳の虫抑えて、気難しい教授の機嫌とってるんやで」

「一日も早く教授になって、特別の患者からじゃかすかお金稼いで欲しいわ」

「教授は大名や。助教授は足軽頭、医局員は足軽、婦長は大奥の老女で、看護婦は腰元や」

「教授、助教授と簡単に言うけど、大名と足軽頭ほどの差があるんやで、わかっとるか?」

「おい、ベッドいけよ」

「いややわ、これからうちの手術?」と服を脱ぎ始めます。「でも、うち、これからお店に出るんやから、あんまり大きな手術はいややわ」です。

 財前五郎の妻・杏子は週刊誌のグラビアに五郎の記事と一緒に自分の写真も載っているので上機嫌です。財前産婦人科は地元で成功していてお金持ちです。そして五郎の義父の財前又一は五郎を浪速大学の教授にして未だ手にしていない名誉が欲しいのでした。ここで五郎と又一と杏子の利害が一致して、なんとしても五郎を教授にしなければならないのでした。

 医学生や医局員が財前の手術を手術室の上から見学しています。東が来ますが、すぐに出ていってしまいます。手術が終わり患者の術後のケアをしている所へ東が来ます。

「君、さっきの手術は少し乱暴だね。クランケが高齢者であるにもかかわらず、手術中に時計を見たりして時間を気にしている。老齢者や衰弱している患者を手術する場合、オペを2回、3回に分けて行う慎重さが必要なんだ」

「オペをする前に、クランケの状態をすべてチェックし、その結果1回でオペをする方針を決めました。老齢者であることを考えて、意識的に手術時間を短くしたわけで」

「君は僕の言葉を批判するのかね?オペを短時間でやることをいつも自慢しているようだが、我々医学者は何メートルを何分で走ったり、泳いだりする運動選手じゃないんだ。旧帝国大学である浪速大学の助教授のすることじゃない」

 

           
ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ず自分でお確かめ下さい)
5月17日 13:40  96時間  12チャ 24.5.13
5月20日 13:00 白い巨塔 NHKBS 24.5.15