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製作 1986年 日本松竹 (135分)監督 山田洋次 

出演 中井貴一 有森也実 渥美清 倍賞千恵子 すまけい 田中健 松坂慶子

「昭和初期の浅草映画街で劇場の売り子をしていた小春(有森也実)は評判の良い娘でした。人気映画監督の小倉金之助(すまけい)は小春を女優にしてはどうかとの推薦を受けました。小倉監督の誘いを受けて小春は蒲田撮影所にやってきます。その時に丁度看護婦役が一人いなくて、小春が抜擢されました。最初は酷い演技でしたが、元々根性があり、負けず嫌いでした。小春の父親(渥美清)は旅役者で役者の経験はたくさんしてきたので、娘、小春を心底応援します。その父の助言が小春の演技を開花させる日がやってきます」

 

(物語)1933年(昭和8年)の浅草映画街です。映画館、劇場が並んで、それぞれの劇場がにぎやかな看板を飾り、昇りを立てています。一大歓楽・娯楽街で、人出も当時は一番だったでしょう。観劇から映画へ切り替わる時で、映画は多くの観客を集めました。

 映画館「帝国館」の中では満員の観客席の通路を、肩から籠をさげて、おせんべい、キャラメル、ラムネを売り子の田中小春(有森也実)が売り歩いています。「お姉ちゃん、名前なんていうの?」と声をかけられます。小春は「あんた、活動見に来るの、それとも、あたしの顔見に来るの?」と聞き返してやります。別の客が「お前のツラに決まってるわよ!」と言います。観客は爆笑です。小春の顔もまんざらではありません。

 支配人室では支配人(人見明)がお金を机に広げて、入場料金の集計をしています。小倉金之助監督(すまけい)が訪ねてきています。「ほら、今度の小銭、こんなにしめってるでしょ?これ、こんな小さな子がこのお金握りしめて、『おじさん、今度の『活動』面白いかい?』と聞くんですからね。」活動写真(映画)が貴重な娯楽で最高の楽しみの時代です。「面白いともさ。切符買ってお入り、と大きな声で言えるような、そういう写真を撮って欲しいんですよ」とお願いします。「芸術写真なんか作られた日にゃ、あたしゃ、ほんとに困るんです。道楽してるわけじゃないんですから、商売してるんですから」
 売り子をしている小春が支配人に呼ばれます。折角、今度の上映回で見るつもりの映画が見れなくなって残念がります。小春を呼んだのは小春が今見ようと思っていた「19の春」を撮った小倉監督でした。支配人は「小倉監督は、お前をな、どうしてもそばで見たい、とおっしゃるのだ。悪い話じゃないと思うよ」と言います。

 「どうや、蒲田の女優になる気ないか?」と小倉監督がいきなり聞いてきます。「撮影所の娘がな、帝国館にええ子がおる言うんで来てみたんよ」小春はびっくりしています。「あんた、心が強そうやし、声がいいわ。これからはトーキーの時代だから、なんというても、声がようないとーーー。」そこへ支配人が割り込んで、「小春が蒲田の女優になるんですか?」と聞きます。小倉監督は「いきなりはなれない、初めは大部屋、それから準幹部待遇、準幹部、幹部待遇、勉強次第でどんどん上がっていく」と説明します。小春はびっくりして放心状態でした。

 小春が初めて蒲田撮影所に来た日は雨でした。

 小倉監督は「父何処」の撮影です。病室で父親が臨終のシーンです。監督は椅子に腰かけて役者の芝居を見ていますが、父親が死んで、そのシーンが終わった時に大声で叫びます。「おかしい、何か足らんと思うたら、看護婦がおらんじゃないか!」スタッフが看護婦役の女優が体調が悪くて撮影に出れない、と説明します。小倉監督は「すぐに代わりを連れてこい。後ろ向きでも構わん」と助監督に言います。助監督は他の撮影している組も探したのですが、子どもばかりだったり、女優がいませんでした。助監督が「女装して後ろ向きで撮れ」と、からかわれました。丁度その時、その撮影所に今日来た小春が警備員に連れられて、小倉監督に挨拶に来ました。小倉監督は大喜びです。小春を看護婦に使えばいいんです。ぴったりです。カット割りの合図をするスタッフの島田健次郎(中井貴一)を呼んで、小春の衣装と髪型を直すように指示します。

 「ただ、立ってりゃいいんだよ。芝居することなんかないんだから」と映画撮影に全くの素人の小春に島田は説明します。化粧と衣装と髪型を直して小春はベッドの横に立ちますが、動き方が全く分からず、何回もやり直しになります。臥せっている父親のベッドの横に立ちっぱなしで、娘が慌てて駆けつけても、ベッドの横の小春が動かないので、芝居ができないと叱られます。

 次に本番です。本番では父親が死んだのに小春は泣きませんでした。そこを小倉監督に「おい、看護婦、お前、何で泣かへんのや?」とつかれます。小春は「看護婦は泣かないのではーーー」と言うし、島田も「こういう場合、看護婦は泣かないのではーーー」と言います。でも、監督は「看護婦も泣き出す位に悲しいシーンなんや」です。

 次の撮影では、主役の娘役の女優よりも小春の方が先に声を上げて、涙を噴き出して泣きだします。主役の女優は呆れるし、監督はまたしても、「主役よりも先に泣き出す奴があるか」と怒鳴りつけます。

 

ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ず自分でお確かめ下さい)
5月11日 7:45 ターミネーター2 ザ・シネマ 24.3.28
5月11日 19:00 熱中時代12回 BS松竹東急 なし
5月12日 12:35  容疑者Xの献身  日本映画 24.5.3
5月13日 23:00 アンタッチャブル ザ・シネマ 23.7.12
5月13日 13:00 キネマの天地 NHKBS 24.5.8
5月14日 13:30 ゲッタウエイ ムービープラス 24.5.10