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ひとよ (映画) - Wikipedia

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製作 2019年 日本 (123分) 監督 白石和彌 原作 桑原裕子

出演 佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優 田中裕子 佐々木蔵之介 MEGUMI

「父親は短気で暴力的で3人いる中学生、高校生の自分の子どもたちに殴る、蹴る、引きずり回すの暴力を振るいました。母親は見ていられませんでした。そんな暴力を子どもたちに振るう父親を許せませんでした。母親は父親を殺します。大変な人生が子どもたちにも母親にも待っています。でも、母親は『あんな父親、殺してよかった』と思っています」

 

 (物語)夜です。浜松の郊外に雨が激しく降っています。薄明りのついた「(有)稲村タクシー」の四角いポールの脇にタクシーが戻ってきます。中から傘を広げて、「なんだこれ、土砂降りじゃねえかよ!」と怒鳴りながら、男が降ります。タクシーはバックします。

 その日は平成16年5月23日、日曜日です。家の中には長男・大樹が金属の大きな枠の中を、ドライバーと説明書で機械を製作中です。長女の園子は人形の髪を後ろで引っ張って整えています。次男の雄二は携帯電話に向かって家の中の様子を放送記者のように実況中継しています。「えー、中庭から休憩所を通り、えー、兄は今ねじを回しているが、そのねじにいつか刺されるのではないか。妹は今、人形の髪をカットしているがーーーそのハサミにいつか切り刻まれるのではないか」と、こんな調子です。妹の園子は「雄ちゃん、怖いこと言わないでよ」、兄の大樹は「小説書くのはいいけど、家族のことは書くな」と、たしなめます。雄二は「いいだろ」と言って、続けて「毎日ボコられてるの、ネタにしたって」と言うと、表の戸の開く音が聞こえます。兄弟3人が音の方を見ます。

 雨に濡れたタクシー運転手の制服姿で母親・こはる(田中裕子)が部屋に入ってきます。「お母さん、おにぎり作っておいたから、食べない?」とおにぎりののったお皿を3人の前に出して、回ります。それぞれが取り、母親のこはるも一つ取って食べます。こはるがボーっとして、おにぎりを口に入れて、ぼんやりと奥に飾られた親子5人の写った写真を見ます。母、園子、父、大樹、雄二の順に「稲村タクシー」の整備場の前で写っています。

 「みんな、聞いて」とこはるが元気のない声で言います。「母さん、話あるーーーお母さんさっき、お父さんを殺しました。車ではねてね、殺した。本当はやっちゃいけない。だからね、お母さんのおじいちゃん、おばあちゃんが死んで、誰も悲しまないとこまで、うーんっと待った。あんたたちを傷つけるお父さんだから、お母さん、やってやった!」もう、叫び声になります。子どもたちは唖然として見ています。「だからね、これからお母さん、警察へ行きます。学校や生活のこと、会社のこと、丸井の叔父さんが引き受けてくれるから大丈夫。どのくらい刑務所に入るかわからない。刑期が終わってもすぐには帰れないと思う。ほとぼり冷めるの考えると、10年、ううん、15年。15年経ったら、必ず戻ってきますから」

 こはるを警察へ連れて行くと約束していたおじさんが迎えにきました。入口のガラス戸へ行くと、娘の園子がやってきて「お母さん」と泣き顔で袖をつかみます。こはるが言います。「もうだーれも、あんたたちを殴ったりしない。これからは好きなように暮らせる―――自由に生きていけるーーーなーんにだってなれる。だから母さん、今、すっごく誇らしいんだ」 

 出ていく雨に濡れるこはるの背中を3人はじっと見つめます。

 そして15年経って、お母さんはまるで、昨日出て行った人のように帰ってきました。

 

ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ず自分でお確かめ下さい)
放映日 曜日 開始時間 映画タイトル 放映チャンネル ブログ掲載日(予定含む)
4月24日 13:00 エビータ NHKBS 24.4.22
4月29日 18:30  ひとよ   BSテレ東  24.4.24
4月29日 9:00 ダーテイハリー ムービープラス 24.4.26
5月2日  木  13:40  武士の家計簿  12チャ 24.4.29
5月5日 8:20 ドライブ・マイ・カー 日本映画 24.5.1
5月6日 17:00  容疑者Xの献身  日本映画 24.5.3