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土曜ゴールデンシアター 異人たちとの夏 | BS松竹東急 (shochiku-tokyu.co.jp)

異人たちとの夏 - Wikipedia

(上記のリンクをタップすると、紹介した映画のサイトが開きます)

 

製作 1988年 松竹(110分) 監督 大林宣彦 原作 山田太一 脚本 市川森一

出演 風間杜夫 片岡鶴太郎 秋吉久美子 名取裕子 永島敏行

「『異人』とは『幽霊』のことです。もうとうの昔に死んだ人です。幽霊は現世の人に恨みやつらみがあって迷い出ますが、この映画の異人にはそれがありません。懐かしさと、やり残しがあって、出てくるのです。幽霊は自分の息子に会いに来ました。息子も変だなあと思いながらも、懐かしさが先に立って会いたくてしょうがないのです」

 

(物語)女の子が病気で苦しむビデオ映像が流れています。シナリオライターの原田英雄(風間杜夫)が見ています。電話がかかってきて、受話器を取ります。「間宮です。ビデオ見ていただけました?」とテレビ局の製作担当の間宮一郎(永島敏行)です。丁度、見終わるところでした。カットや音楽の話をした後で、一緒に飲もうということになります。

 「夜になると2部屋の窓しか明りがついていないんです。オフィッスビルだから夜は人がいなくなるんですがーーー6階建てのビルで各フロアにも複数部屋があるので、静かすぎて夜は怖いんです」と食べながら、英雄が言います。すると、「大分疲れているんですねえ?奥さんと別れたことを後悔してるんじゃないですか?」と間宮。妻とのことについては、英雄は自分から家を出て、小学生の息子との面会のことも決めずに離婚しました。でも、後悔はしていませんし、独身生活を楽しんでいます。そういう気持ちを間宮に話します。

 すると、間宮は唐突に「あなたとはもう仕事はできないです」と真顔で言います。英雄は人事異動かと思いますが、間宮は「僕個人、道義的にちょっと―――冗談抜きです」と真剣です。「綾子さんに近づかせてもらいます」と彼は思い切って告げます。綾子とは英雄の別れた妻です。「女房に?」と、訊き返します。あまりにも突然の想像していない話でした。間宮は「ええ」と言います。「またまた」と、そんなあり得ない話と切り返そうとしたら、「『冗談抜き』っと、言ったろ!」と間宮は急に口調が激しくなり、怒鳴ります。ですが、すぐに口調を戻します。「すみません。ずっと思っていました。片思いです。離婚したと聞いて、自分を抑えきれなくなりました。一緒に暮らせたらと思っています。別れたんだから、関係ないかもしれないけど、そういうものじゃないと思ってーーー意思表示はまだなんです。忍ぶ恋です。」英雄は間宮の言っていることはわかりますが、この展開は予想外です。「あなたは僕にとって重要な人だ。だからこういうのつらいんです。許して下さい。」そして、間宮はその場に留まるのはつらいと言って、帰ります。

 英雄はマンションに帰って、間宮と交わした台詞をドラマ仕立てで復唱します。「そういう調子のいいドラマを作らないようにあれこれやってきたんじゃないの」と、「よく言うよ」と現実をあざ笑います。それから留守電を聞きます。「綾子です。物置からあなたの古い荷物がごっそり出てきたわ。宅配便で送りました。着払いにしたので、よろしくお願いします」留守電を聞いた後で英雄は独り言です。「83坪の土地と築6年の家、証券から貯金、根こそぎ持ってったくせに送料位払えよ。」 

 インターホンが鳴ります。取ると若い女性の声です。

「ごめんなさい。お部屋の前にいるんです。同じマンションの者ですけど」

ドアを開けると、その女性・藤野桂(名取裕子)がタオルを巻いた瓶をもって立っています。

「ご存じでした?この位の時間になると、ビルにいるのは私たち二人きりなんです。3階に住んでいる藤野ですけど、お近づきのしるし、シャンパンなの。開けたんだけど、一人じゃ飲み切れなくて、で、飲んでいただきたいと思って。明日まで置いとくと、気が抜けちゃうでしょ!?―――酔ってるわね。弱いの。普通じゃなきゃ、こんなことしないわ。ちょっと、よろしいですか?入っても」と、積極的です。「え?!」と、英雄は思わず声が出ます。「駄目なの?!どうして駄目なの?今夜一人でいるのがたまんなくなって、何度も迷ったけど来たんです」「しかしね、夜中に見ず知らずの男の部屋に来るなんて」「ごめんなさい。割と気安い方じゃないかと思いこんだりしてたから。お仕事中ですか?―――よく次から次へっていろんなドラマ書けますねえ?あなたのドラマ、優しくて好き!」

 結局、彼はシャンパンは受け取らず彼女を追い返しました。不思議な出来事だと彼は思いました。そしてこの日から、不思議なことが始まります。

 英雄は「ゴーストステーション」と言って使われなくなった駅の構内をスタッフと一緒に歩いています。ロケに使えるかどうかの下調べです。その途中で、突然英雄は一人になってしまいます。はぐれたのではありません。この時に英雄は異人たちのいる世界へ入ったのです。テレビ局へ電話して、「他のスタッフとはぐれたが大丈夫」と伝えます。

 そのまま両親と12歳まで暮らした浅草を歩きます。両親は彼が12歳の時に交通事故で亡くなりました。浅草は昔のままのものが多いです。鈴本演芸ホールへ入ると、はとバスの団体客が出てくる時で出入り口はぶつかり合いでした。高座の落語家が「はとバスの皆さん、お帰りになりましたあ?本当に時間で入って、時間で出ていくから、こちとら大変なんです」と言います。すると客席から、「はとバス、まだいるよ」と聞き覚えのある声です。英雄はその声が父の声に似ていると思います。その客を後ろから見ると、死んだ父の横顔に似ています。しばらくして、その客が後ろを振り向き、彼に笑顔で「おう!」と言います。父でした。「よ!出るか?」と声をかけてきました。外へ出ると「俺んち来るか?」と聞きます。

 

ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ずご自分でお確かめ下さい)
  放映日 曜日 開始時間 映画タイトル 放映チャンネル ブログ掲載日
4月4日 11:55 聖職の碑 WOWOWシネマ 24.3.29
4月4日 13:00 シェルブールの雨傘 NHKBS 24.4.1
4月6日 19:00 ジョーズ BS12 24.4.2
4月6日 21:00  遊星からの物体X  BS-TBS 24.4.3
4月6日 21:00 異人たちとの夏 BS松竹東急 24.4.4
4月7日 6:30  オットーと言う男  WOWOWシネマ 24.4.5予定
4月8日 13:00 エアフォース・ワン NHKBS 24.4.6予定