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張込み(1958) - 作品情報・映画レビュー - (kinejun.com)

張込み - Wikipedia

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製作 1958年 松竹(116分)脚本 橋本忍 原作 松本清張 監督 野村芳太郎

出演 大木実 宮口精二 高峰秀子 田村高広 菅井きん 清水将夫 内田良平

「質屋殺しの犯人(内田良平)には共犯(田村高広)がいました。『逃走中の共犯には会いたがっていた女性がいた』と、逮捕された主犯が言います。共犯の足取りをつかめずにいたので、その女性に会いに来る所を張り込むことにします。刑事二人は九州・佐賀へ出張します。犯人が会いに来ると言う女性は20歳も年上の銀行員の後妻に入っている物静かな女性でした。その物静かな女性の中に犯人が会いたくなる情熱があるのです。張込んでいる柚木刑事(大木実)には交際中の女性がいましたが、一歩踏み込めずにいました。柚木刑事には情熱がありませんでした」

 

(物語)「横浜、横浜でございます」との駅の構内放送が聞こえ、「鹿児島行」の表示のついた車両が映ります。構内時計が午後11時5分を過ぎ、発車を知らせるベルが鳴ります。柚木隆雄刑事(大木実)と下岡雄次刑事(宮口精二)は走りだしたこの列車へ飛び乗ります。新幹線のまだない時で、「駄目です」の柚木の声で車両の中が映ります。空いている座席はなく、全部が4人対面のボックス席で、通路も乗客が立ったままでかなりいます。そこへ刑事二人は分け入って、同じく立ちます。柚木が「東京駅からでしたね」と下岡に言います。東京駅からなら座れたかもしれませんでした。真夏で冷房はなく、天井扇です。通路に腰を下ろします。タバコをふかして、扇子で扇ぎます。

 静岡、浜松、名古屋、岐阜―――下岡刑事は京都で座れます―――広島、酒を飲み、弁当を食べて、居眠りをします。関門海峡を越えると座席も空いてきて、ボックス席の二人分を使って居眠りができるようになります。博多を通過し佐賀駅で下車します。その足で佐賀署へ挨拶に行きます。張込み捜査なので、いきなり佐賀署の協力を頼むことはありません。必要な時の依頼のための挨拶です。

 佐賀は町としては大きく、活気があります。町も整備されています。二人は目的地の住宅へ向かいます。「横川」という表札があります。その斜め向かいに「肥前屋」という看板の出た旅館があり「丁度、おあつらえ向きの所にある」と下岡刑事が入ります。

 宿泊代の交渉です。「そりゃ高いよ」と下岡刑事が言います。「だって2階の一番よか部屋だし、それに3食付きですからね」と女将。「都合で4,5日か1週間位の滞在になるんだけどね、まちっと勉強してくれよ」「そうですねえーーーそんなら50円ばかりおまけして、650円位に」と、負けてくれます。

 食事と風呂の案内をされますが、まず、2階から張込みをする家を見下ろします。よく見えます。部屋にクーラーはありません。張込みが始まります。

 張込みする家は木造平屋建てで刑事二人には庭先を歩く主婦・横川さだ子(高峰秀子)が見下ろせます。さだ子は洗濯物を干す普通の何も変わった所のない主婦です。「老けて見えるな、年より」と下岡。小学校低学年の男の子が走ってきて「お母ちゃん、お腹すいた」と、さだ子に訴えます。そこへ近所の友達4.5人が誘いにきます。さだ子が自然と送り出すところを見て、「良くなついているよ。継母だが」と二人は評価します。「この分なら、石井はまだ何の連絡も(していませんね)」と柚木が下岡に言います。

 午後1時20分、ランドセルを背負った長男と長女が「ただいま」と帰ってきます。これから昼食です。そのようなことを記録します。子供たちと母親の関係はうまくいっているようです。夕食の買い物へさだ子が出かけます。商店街の小売店が路上販売をしています。賑わっています。尾行していくので何を買ったがわかり、家庭の余裕や、御主人の酒量も察しがつきます。ご主人の横川仙太郎(清水将夫)がまだ明るいうちに帰ってきます。さだ子も子供たちもみな「おかえりなさい」と挨拶します。さだ子はご主人の後ろに立って、着替えを手伝います。ご主人が風呂に入りますが、湯加減が気に入らなかったようで、水を入れた時間を尋ねて、文句を言います。風呂は石炭焚きです。さだ子は「はい」と答えるだけで、刑事二人からは決して満足のいくような心持で生活しているようには見えません。ご主人の仙太郎は20歳も年の離れた銀行員で、さだ子は後妻でした。

 旅館の若い女中が来て風呂の案内をします。夕ご飯の酒の支度を聞きますが、刑事二人は仕事については冗談でごまかし、酒は断ります。「想像とはまるで逆だったですな。女ですよ。年よりは老けてるし、物静かだし、何かとても平凡なーーー殺しやたたきをやるような男とーーーわからんもんですな」と柚木が見た感じを言います。

 事件は江東区深川「三川屋質店」の店主殺人事件です。犯人はすぐに逮捕されましたが、共犯がいました。凶器は拳銃でした。最初、「捨てた」と言っていた犯人(内田良平)でしたが、共犯者が持って逃げました。取り調べに当たっていた柚木と下岡に犯人が「せめて一週間か10日ぐらい勘弁してやって下さい」と、しばらく捕まえないで欲しいと懇願します。「もともとやろうと誘ったのは俺だし、奴はたいしたことやらなかったし、庇ってやるつもりだったんだ。―――拳銃は別れる時にくれてやったんです。同じ飯塲で働いてる奴で、石井キュウイチって言うんです」

 柚木刑事にはつき合っている女性がいましたが、相手に対して迷いがあり、一歩踏み込めずにいました。さだ子を張り込みながら、女性というものについて考えます。普通の平凡な女に見えるさだ子に犯人の石井が会いたがっていたと主犯が言います。犯人の石井を会いにこさせるだけの情熱がこのさだ子に見えません。

 

ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ずご自分でお確かめ下さい)
  放映日 曜日 開始時間 映画タイトル 放映チャンネル ブログ掲載日
3月26日 13:40 交渉人 東京12チャンネル 24.3.21
3月26日 20:00 ゴッドファーザーPartⅡ BS松竹東急 24.3.25
3月27日 19:30 おとうと BS12 24.3.22
3月27日 13:00 「ハドソン川の奇跡」 NHKBS 24.3.25
3月28日 17:32  張込み(1958)  BS松竹東急 24.3.26
3月29日 13:40 fフライト・ゲーム」 東京12チャンネル 20.9.1