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製作 2011年 日本 松竹(147分) 監督 成島出 原作 角田光代
出演 永作博美 井上真央 小池栄子 森口瑤子 田中哲司 田中泯
「野々宮希和子(永作博美)は不倫相手・秋山丈博(田中哲司)の子を妊娠しますが、堕胎します。これは相手の男性の「希和ちゃんとは普通の結婚をしたいの。女房にはちゃんと話すからさ。でも今、その子を産んだら、希和ちゃんと俺の未来が台無しになっちゃうんだよ」との説得に応じたものです。しかし、それで子どもを産めない体になりました。別れ話も出て、希和子は相手の家に復讐のつもりで侵入します。秋山と妻の恵津子(森口瑤子)はその時間には決まって生まれたばかりの自分の子を家に置いて出かけていました。そういう夫婦の行動を希和子はよく知っていたので、侵入したのです。その時に、ひたすら泣き続ける赤ん坊を見つけます。「可愛い!」と思いました。連れ去ります。それから希和子はその赤ちゃんを「薫」と名付けて、3年半も逃げ回りますが、薫は誘拐犯・希和子を本当の母親と思って一緒に生活し、大好きになります」
第35回日本アカデミー賞最優秀作品賞、主演女優賞(井上真央)、助演女優賞(永作博美)
(物語)裁判所の証言席で秋山恵津子(森口瑤子)が証言します。
「必ず夜中に目が覚めました。4年間、毎晩です。眠っていると、泣き声が聞こえるんです。悲鳴のような赤ちゃんの泣き声、あたしに助けを求める声です。目が覚めてみると、恵理菜ちゃんはどこにもいない。私は母親なのに、抱いて慰めてあげることもできないんです。あきらめて、また赤ちゃんを作ればいいんじゃないかと言う人もいました。どうして、そんな無神経なことが言えるんでしょう。あの子が戻ってくるまで、本当に気が狂いそうでした。私たち夫婦にとって恵理菜ちゃんは本当に宝物でした。戻ってきた恵理菜ちゃんは私たちの子に間違いありませんでした。けれど、4歳の恵理菜ちゃんには私たち夫婦が本当の親だということがわかりませんでした」
病院の白いカーテンを開けて4歳の恵理菜ちゃんが警察官に手を引かれて登場します。本当の父親、秋山丈博(田中哲司)と母親の恵津子が恵理菜ちゃんを抱きとめます。
「自分を誘拐した犯人を本当の母親だと思い込み、愛していたんです。それがどれだけ苦しくて、悲しいことだかわかりますか?あの女が私たち家族からすべてを奪いました。私たち家族の苦しみは、恵理菜ちゃんが戻ってきてもずっと続いているんです」
4歳の恵理菜ちゃんは病院で本当の両親と会った時に、おしっこを漏らしてしまいます。
「あの女は恵理菜ちゃんの体だけでなくて、心も奪いました。命を奪えば死刑なのに、あの女は私たちの心を奪いズタズタにしても、あの女は死刑にはなりません。だったら、あたしたちの幸せな時間を返して下さい」
次に野々宮希和子(永作博美)が元気なく、疲れ切った感じで証言します。
「からっぽのがらんどうだと恵津子さんに言われました。丈博さんとの子どもを堕した後、子宮内が癒着して,子どもが産めない体になりました。赤ちゃんを殺したから、バチが当たったんだと思いました。恵津子さんが身籠ったと聞いて丈博さんとは別れなければいけないと思いましたが、私の意志が弱くてできませんでした。恵津子さんは毎日、電話をかけてきました。夫を返してと泣き、次の日には丈博さんとの性生活についてあからさまな話を楽しそうにして、次の日には激しく罵倒されました。電話が毎日続いておかしくなりそうでした。赤ちゃんが生まれたと知って、一目だけ赤ちゃんを見たいと思いました。見たら、一切諦めがつくと思いました。今までのことは忘れて、仕事も住まいも変えて、父が残してくれたお金で、新しい人生を始める、そう心に決めていました」
激しい雨の降る昼間、秋山夫婦が自宅の外階段を下りてきます。外で希和子が二人の様子を見ています。二人は自動車で出かけました。希和子は2階へ上がり、ガラス戸に手をかけると、そのガラス戸には鍵がかかっていずに、開いてしまいます。家の中に入ります。赤ちゃんの下着、ゆりかご、おもちゃ、ガラガラなどが散乱しています。立ち尽くしていると、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきます。泣き声に近づきます。赤ちゃんはベビーベッドの囲いの中にいて、希和子の顔を見て泣き止みます。希和子は「薫」と呼び掛けます。赤ちゃんはじっと希和子の顔を見て、無邪気に笑顔を送ります。手を口にやって、希和子が来たのがうれしくて仕方のない感じで喜んでいます。希和子は抱き上げて「かおる」と呼び掛けます。お互いに笑顔を交わして、希和子は「薫」を胸に抱き上げます。
「かおるちゃんーーーこの子を守る。あたしがこの子を守る。あの笑顔に慰められたような、許されたような、そんな気持ちでした。お腹の中の赤ちゃんを殺してしまったことや、奥さんのいる人と結婚しようとしたことや、そんなことを全部、この子は許してくれている。そう思いました」
検察官は求刑の理由と罪状を述べます。「被告人は最も可愛い時期である幼児期の姿を親から取り上げ、最も愛情を必要とする時期の子どもから親を取り上げたのです。恵里菜ちゃんに生涯消えない心の傷が残る懸念はあります。真に身勝手な犯行にもかかわらず、被告人は反省の弁も謝罪の態度も表しておりません。その態度からも、この先真摯な反省など期待することはできません。」
懲役6年が求刑されました。最後に言いたいことを求められて、希和子は次のように言いました。「逮捕されるまで、毎日祈るような気持ちで生活しました。今日一日、明日一日、どうか薫と生きられますように。それだけを祈り続け、暮らしました。4年間、子育てをする喜びを味あわせてもらったことを秋山さん夫妻に感謝しています」
裁判長が「感謝ではなく、謝罪の気持ちはないんですか?」と問いかけます。「お詫びの言葉もありません」と希和子は表情を変えずに答えます。薫との逃亡生活が終わったので、もう生きる気力も、これからの喜びも期待できないのです。傍聴席からは薫の本当の母親の恵津子が「死んでしまえ、死ねばいい、死ねー!」と取り乱して、大声で叫びます。
ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ずご自分でお確かめ下さい) | ||||||
放映日 | 曜日 | 開始時間 | 映画タイトル | 放映チャンネル | ブログ掲載日 | |
◎ | 3月18日 | 月 | 13:00 | 「戦場にかける橋」 | NHKBS | 24.3.14 |
◎ | 3月20日 | 水 | 19:30 | たそがれ清兵衛 | BS12 | 24.3.15 |
◎ | 3月20日 | 水 | 13:00 | 「8日目の蝉」 | NHKBS | 24.3.18 |
◎ | 3月22日 | 金 | 13:00 | 「ナバロンの要塞」 | NHKBS | 24.3.20 |
◎ | 3月26日 | 火 | 13:40 | 交渉人 | 東京12チャンネル | 24.3.21 |
◎ | 3月27日 | 水 | 19:30 | おとうと | BS12 | 24.3.22 |
◎ | 3月27日 | 水 | 13:00 | 「ハドソン川の奇跡」 | NHKBS | 24.1.9 |
◎ | 3月29日 | 金 | 13:40 | fフライト・ゲーム」 | 東京12チャンネル | 20.9.1 |
映画専門チャンネルの近日放映の推薦作品(気がついたもののみです) | ||||||
放映日 | 曜日 | 開始時間 | 映画タイトル | 放映チャンネル | ブログ掲載日 | |
◎ | 3月22日 | 金 | 6:00 | トム・ホーン | ザ。シネマ | 24.3.19 |
◎ | 3月23日 | 土 | 10:00 | アンストッパブル | ザ・シネマ | 23.10.18 |
◎ | 3月23日 | 土 | 17:00 | 戦場のピアニスト | WOWOWプラス | 23.9.14 |
◎ | 3月24日 | 日 | 3:30 | マデイソン郡の橋 | ザ・シネマ | 23.10.20 |
◎ | 3月25日 | 月 | 1:30 | グラン・トリノ | ザ・シネマ | 24.1.3 |