山田洋次監督作品特集 | 無料ドラマ・映画 | BS無料放送ならBS12(トゥエルビ) (twellv.co.jp)

学校 (映画) - Wikipedia

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製作 1993年 松竹 日本TV (128分) 監督 山田洋次  

出演 西田敏行 田中邦衛 竹下景子 裕木奈江 萩原聖人 中江有里

「夜間中学には特殊な事情を抱えた生徒が来ています。字が書けない、読めない生徒、年を取っているのに中学校を卒業してない生徒、不登校だった生徒、不良だった生徒、こういう学校があることさえ知らなかった生徒。学歴とか、クラスで一番とかの競争が存在しません。そして、思いやり、人間愛に溢れる先生がいます。生徒の人生を充実した豊かな人生にしたい先生がいます。その学校は生徒の応援団で、いつも応援しています」

第48回毎日映画コンクール最優秀作品賞(1993年)

1994年日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、最優秀主演男優賞、他

 

(物語)高層ビルのない下町。都電が1両、走ってきます。夜間中学に勤める黒井先生(西田敏行)は都電で通勤しています。昼間の生徒と入れ違いに校舎に入っていきます。2階の職員室へ向かう階段、廊下には夕陽が差し込みます。

 職員室には7,8人の教員がいます。まだ授業前です。黒井先生は校長室に呼ばれます。「あんた運がいいですよ。人事異動の内示が来たんです。問題のないいい学校です。向こうの校長も是非にと言ってます。通勤距離も短いしね。もう勤続10年だから、人事の交流は必要です。あなたのようなベテランの先生が一つの学校にとどまるというのはーーー」と強く言われますが、黒井先生の夜間中学にかける情熱は大変なもので、校長に上から強く言われても全く受けつけません。黒井先生は次のように言います。「私は狸と呼ばれているんです。夜間の生徒はですね、昼間の生徒と違いまして、母校が懐かしいんです。恋しいんですよ。だから、卒業して5年、10年経ちましても母校をふらーっとたずねてくるんです。その時にですね、知ってる教師が一人もいないのは、可哀そうじゃありませんか」
 夕方になり、生徒がやってきます。職員室に挨拶に来る生徒が数人います。生徒と先生の間が昼間の生徒よりも近く感じます。三日月が出て、暗くなります。「夜間中学があります。だれでも、いつでも入学できます。費用はほとんどかかりません」との看板が校門の横の塀に貼り付けられています。

 黒井先生が教室に入ります。出席を取ります。教室には5人の生徒がいます。黒井先生の今日の授業は卒業記念文集に向けての作文です。原稿用紙が配られて、1人2枚づつ取ります。「卒業にあたっての思い出、決意、その他」と黒板に書かれます。今日の授業は作文と予告されていて、何を作文にするかは宿題になっていました。

 黒井先生は「キム・オモニ」(新屋英子)という生徒に声をかけます。「早いもんだな、オモニ、もう卒業だぞ」、オモニはクラスの中では最年長で黒井先生とのつきあいも一番長いです。「オモニ、寒くないか?」と聞くと、「大丈夫、カイロ二つ入れてるから」「お尻にか?」「そうそう」と先生と生徒の日常の会話です。黒井先生はオモニの作文を覗き込んで、オモニの昔を思い出します。「3のB キム・スニ。私が夜間中学に入ったのは56歳でした。覚えが悪くて、書き取りの勉強は大変つらかったです」

 真夏の教室でまだ日が落ちていません。窓は開けられていて、夕陽が入ります。黒井先生はねじり鉢巻きで教室を巡回中です。オモニの作文を覗き込んで声をかけます。オモニはいきなり机を両手で叩いて、自分に怒りといらいらをぶつけます。「覚えても、覚えても、すぐ忘れてしまうーーー先生、私、できないよ。頭悪いから。馬鹿だもの―――(机にうつ伏して)できないよ、先生、馬鹿だもの!」と泣き出します。教室には他に3人の年配の生徒が作文を書いています。誰もオモニに特別な視線を送りません。ただ見守ります。

 黒井先生はしゃがみ込んでオモニに顔を寄せます。「キムさん、キムさんのどこがバカなんだ!?うん!?―――その腕一つで焼肉屋さんを繫盛させてきて、その忙しい中で3人の子ども立派に育てて、うん、そんなことバカにできるか!」「(オモニは顔を上げて、目頭を押さえます)子供の時、小学校へ行ってれば、孫がいるこの年で、こんな苦労せずに済んだのに」と泣き止みません。「キムさん、今日疲れてんだ、少し休もうーーーはい、鉛筆置いて」と鉛筆を取ります。

 そんなことを思い出しながら黒井先生は鼻毛をむしります。ある生徒が「奈良」という字はどう書くのと聞いてきます。修学旅行の作文を書いているのです。 

 みどり(裕木奈江)という生徒の作文です。「私はケチなやつだった。ほとんどバカだった。はっきり言ってシンナーもやったけど、本当は、自分がいつまでもつのか不安だった」その夜、黒井先生は屋台のラーメンを食べていました。そこへ「その汁くれよ」と若い男が手を出します。黒井先生は食べているラーメンに手を出されて、残り汁を欲しがられたので、びっくりしました。「あっち行けよ!」と店主が言うと、「捨てちゃうんだろ、くれよ」と言います。「飲まねえんだろ、俺にくれよ」と、黒井先生がどんぶりを取られます。男はどんぶりに口をつけて飲み始めます。男の横に女がしゃがみ込みました。「ちょうだいよ」と女もどんぶりを手で掴みます。女は口をつけて飲み始めます。そのどんぶりの汁はは腹を空かせた若い不良3人が分け合って飲み合います。黒井先生が女の顔を見ると生徒の「みどり」です。「みどり、みどりじゃねえか」とびっくりして声をかけます。お互いに目が合います。みどりは慌てて立ち上がって、どんぶりを投げ出して、走りだします。どんぶりが割れます。黒井先生はラーメン代も払わずに追いかけます。追いついて「随分と探したんだぞ。―――ラーメンの汁なんか飲んで、そんなことやってたのか、お前は」と叱ります。そこへラーメン屋の主人が代金を貰いにやってきます。「この野郎、食い逃げする気か!?」と店主が言うと、みどりは「この野郎とは何だ!この方はな、中学の先生なんだぞ。食い逃げなんかするわけねえだろ。このくそ親父!」

 黒井先生はみどりを自宅へ連れて行って、緑の野菜たっぷりのどんぶりを作ります。そのどんぶりを前にして、みどりは言います。「これ食べる代わりに、明日から学校へ来いって言うんだろ?」「そんな、せこい取引するかよ。学校に来る来ないはお前が決めることだろ。勉強したいって言う生徒がいて、教えてやろうじゃないのって言う先生がいる。それが学校なんだ。お前が何も勉強したくなかったら来なくたっていいんだぞ」と黒井先生は言います。

 

ブログ掲載作品放送予定(放送日時、チャンネル名は必ずご自分でお確かめ下さい)
  放映日 曜日 開始時間 映画タイトル 放映チャンネル ブログ掲載日
3月10日 19:00 英国王のスピーチ BS12 24.3.6
3月13日 19:00 学校 BS12 24.3.8
             
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