原題 Million Dollar Baby 2004年アメリカ  PG-12指定

監督・主演 クリント・イーストウッド 共演ヒラリー・スワンク モーガン・フリーマン

「ハングリー精神でボクシングの世界へ入った女性はトレーナーをボスと呼び、全幅の信頼を寄せていました。年齢にもかかわらず天性の強さをもっている女性でした」

第77回アカデミー賞 作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞

「観客でしかなかった私の推薦する100本の名画」の候補の一つ

(有料配信されています。HD等も配信サイトで販売されています)

 

 歓声が上がるプロのボクシング会場で白人のボクサーと黒人のボクサーが激しく打ち合っています。黒人がロープをバックにしている時にゴングがなります。選手がコーナーに戻ると、年老いたトレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)が椅子を出し選手の止血をします。彼にかかれば止まらない出血はありません。必ず止まる、と彼のジムで一緒に働く雑用係の元ボクサーのエディ(モーガン・フリーマン)は言います。フランキーも元ボクサーでエディは彼のことを「夢でも戦いたくない男だ」と言います。

 ラフな服の少し年齢が上の女性マギー(ヒラリー・スワンク)がリングサイドでジェスチャーで「こう打て」と示しているフランキーと黒人選手を目で追いかけています。試合が終わってフランキーが通路へ出て来ると彼女はフランキー・ダンに話しかけます。

「ダンさん!」

「君に借金があるのかな?それとも元愛人の娘さんかな?」と冗談を言います。

「たぶんちがいます。前座の試合に出て勝ったマギーです」

「何の用かね?」

「私強いんです。是非私のトレーナーになって下さい。みんなが私はタフだと言います」

「女は入門させない。娘さん、タフなだけじゃ駄目だ」ときっぱり拒絶します。

 フランキーは敬虔なキリスト教徒で「元妻と娘」の為に毎日祈ります。でも、その二人とは音信不通です。だから彼は一人暮らしです。教会のミサにも必ず出席し、神父にはいつもおかしな宗教問答のような質問をし、嫌がられています。選手の体のことがとても気になり、試合を組むのにとても慎重です。だから、今日の試合で勝った黒人のボクサーもいつまでもチャンピオン戦を組んでもらえず、彼の元を去ります。そして他のジムのトレーナーの元でタイトルを取り、チャンピオンになります。

 フランキーはジムのオーナーであり、経営者でトレーナーです。ジムは小さい体育館、武道場位の広さでリングが2つ、そしてたくさんのトレーニングに使う用具が所狭しとおいてあります。練習生は10人から15人います。その練習生に交じって、例の女性のボクサー希望のマギーがサンドバッグに拳を打ちつけています。エディが2階の事務室で足を延ばして本を読んでいるフランキーに「あの娘は誰だ?」と問いかけます。

「娘だと?」と、フランキーは本を置いて、しかめっ面で窓からマギーを見ます。

「あんな打ち方をしていると手首を折っちまう」とエディ。

フランキーは練習場に降りて、彼女に近寄り厳しく言います。

「女は駄目だと言っただろう。女を受け入れるトレーナーを探せ」

「どうしても、あなたがいいの、ボス」

 彼女はミズーリ州の出身で、家は小さな町の郊外の荒れ地にあり、ナラの木が茂る静まり返った場所でした。彼女は「自分は下層民だ」と思い知って育ちました。レストランでアルバイトをしていましたが、客が残した焼肉の残りをホイールに包んで持ち帰るような生活でした。でも、それをレストランのオーナーに見つかると「犬にやるの」と言い訳をしました。ロスにいても、貧しい田舎娘そのものでした。でも、そうやって食費を倹約して小銭を貯め、いつか夢を叶えるという希望を強く持っていました。

 フランキーはマギーには冷たく接しました。何とかあきらめてジムを去って欲しいと思っていたのですが、すでに6か月分の会費を前納していました。真剣なのです。

 雑用係のエディは夜、暗い誰もいないジムで一人サンドバッグと戦う彼女を見つけます。

「俺でよければ教えてやる」と言います。

「ぜひとも教えて」

と言って、サンドバッグとの戦い方を覚えていきます。素直なのです。ようやくジムの練習生になった感じです。エディはジムに寝泊まりしています。彼の何もおいてないような質素な部屋を見て、彼女は「素敵ね!」と笑顔です。彼は彼女を完全に受け入れます。フランキーに彼女のことを「生まれ持った才能があるようだ」と自分の評価を伝えます。

 フランキーは彼女の年齢のことをネタにあきらめるように忠告します。

「習うには年を取りすぎてるぞ。選手にするのに4年かかる。君は何歳だ」

「次の誕生日までは31歳.もう3年も練習しています」

「自己流でな、だから少しもうまくなっていない」

  小銭を集めてスピードバッグを買い、そのバッグを叩いているとフランキーが近づきます。

「呼吸法が悪いと息切れする。誕生日だそうだな。何歳になったんだ?」

「32です。ダンさん。13歳からレストランで働いて、また1年が過ぎました。まともなパンチが打てるようになるのは37歳ね。スピードバッグさえ打てないから時間がかかるよね。弟は服役中、妹は嘘を言って育児手当を受給、父は死に、母は141キロのデブ、本当なら故郷へ帰ってトレーラーで貧しい生活をすべきね。でもボクシングが楽しいの。私にはこれしかないわ。あなたがトレーナーならチャンプになれる。私を鍛えて、お慈悲はいりません、お情けも。嫌なら、ただ練習を続けます。私のトレーナーになってくれたら、絶対後悔させないわ」

 この会話の後、彼は彼女のトレーナーになります。彼女には天性の強さとパンチの正確さがあり、リングに立ったら1ラウンドKOの試合が続きます。人気もすごく出ます。

 

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