第1話―第11話 3月7日(日)13:00-24:00 NECO-HD

第12話―第21話 3月14日(日)15:00-24:00 NECO-HD

2003年TVドラマ(フジテレビ) 原作 山崎豊子 脚本 井上由美子

出演 唐沢寿明 江口洋介 黒木瞳 矢田亜希子 西田敏行

「野心家の医師・財前五郎の生き方と野心を強烈なタッチで描いたテレビドラマの傑作」

(配信されています。いつでもご覧になれるようです)

 

 佐々木庸平氏の医療裁判は「財前教授に過失なし」の財前の勝訴で終わり、その後原告が控訴して長い戦いになっていました。財前は控訴されて以降、佐々木庸平さんの幻覚を見るようになるし、手術の時も信じられないミスをしたりして、他の医者から心配されるようになっていました。自分の手が思うように動かなくなり、自信がなくなります。以前の財前の強さはなくなってきていることが財前自身にも周りにもわかってきていました。

 その時、日本一の浪花大学付属高度ガン医療センターの建設が進められていました。広い敷地に建設中のビルを見て、財前はまだ上をみていました。その医療センターのセンター長になる予定でした。

 裁判では前の第一外科の主任教授の東が証人として裁判に出廷してくることになりました。原告側は弁護士も熱心に裁判に取り組んでおり、里見や東など、あらゆる人に佐々木庸平の死の真相を証言してもらえるように奔走していました。東の証人としての出廷について財前は次のように愛人に語ります。

「考えて見ろよ、東先生が僕の過失を医学的に証明しても何の信ぴょう性もないよ。僕と東先生との間に確執があったことは浪花大学の者ならだれでも知っていることだ。こっちの弁護士の尋問によって、優秀な教え子への嫉妬に狂った老人が恨みのあまり偏った医学的判断をしたと印象づける。その結果、そんな証人を出してきた原告側の狙いも単なる恨みであるような心証を裁判官に与えることになる」

「得意になっているけど、向こうだってその位の事は考えた上での東先生へのお願いなんじゃなんじゃないの」

「だとしても、こっちにはもう一枚上をいく隠し玉がある」

「隠し玉?人間の欲には切りがないのね」と愛人。

「それが一番純粋なものだからな」

だが、その時に財前は力なく崩れます。腹部を押さえます。(第18話)財前は起き上がって「酒が足りないようだな」と強がりを言って愛人には隠します。自分の体の異変にはまだ気づいていませんでした。

 控訴審判決は財前の敗訴になりました。財前に過失があったことが認められました。その判決の理由を聞いた後で、財前はじっと机の一点を見つめ、机をたたいて抗議します。

「何が悪い。私は患者を救おうとしたんだ。ガンを切除しようとしたんだ、何が悪い。直ちに最高裁への上告だ」と叫び、顔を紅潮させ、むせて、床にうつぶせになっていきます。「『国立大学の教授だから厳しく責任を問う』とはどういうことだ」

「おい、財前、それ以上しゃべるな」と、傍聴席にいた里見が叫びます。

「君の指図は受けんよ、里見」

そして財前はそのままその場に倒れて意識がなくなります。里見が駆け寄ります。

「気胸が起こっている」と里見はその場で診察します。

 入院した財前は病室で医局員から自分が倒れたことについての経過報告を受けます。全く取り乱すということはありませんでした。

 財前を運んだ後で、愛人が里見と病院の外で話します。彼女は次のように言います。

「(財前)五郎ちゃん、悪い病気ではないんでしょうか?半年くらい前から、時々随分と疲れているなあと思うことがありました」

「裁判とガンセンター設立の両方で過労が重なっていたんです」

「里見先生、助けてあげて下さいね。あの人はあんな強い人だけど、里見先生に対してはいつも畏れを抱いていました。誰を打ち負かしても、里見先生にだけは勝てない。誰を騙しても、里見先生だけは騙せない。だから、あんなに必死で戦ってきたんだと思います。里見先生、五郎ちゃんをお願いします」

 次の日に医局員と選挙で世話になった教授が来て財前に病状を説明します。

「肺がんらしいよ。財前くんはガンの専門医だからね、隠しても無駄だよ。ただし、ステージ1だ。十分に切除できる段階らしい」と言います。そしてセンター長の就任の発表も保留だと告げられます。「まず、体を大切にしないとね」と言うのです。

 財前は「レントゲン写真を見せてくれ」と言います。その写真はたしかにステージ1の画像でした。そして、財前は弁護士に電話して最高裁への上告をするように依頼するのでした。

 

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