2004年日本 監督 行定勲 原作 片山恭一

出演 長澤まさみ 森山未來 大沢たかお 柴咲コウ

「こんなにも自分を好きになってくれた人がいた。こんなにも自分もその人が好きだった」

第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞(長澤まさみ)他の受賞もあります。

(配信されています。DVDは2000円前後で販売されています)

 

 愛とは言葉です。友人に「何も言わなくても気持ちってわかるんじゃない。相手に伝わるんじゃない」と言っていた信じられない優しいいい奴がいましたが、生涯独身で亡くなりました。どうしたら愛は盛り上がり、高まるのでしょうか。何も言わなくても気持ちは通じるのでしょうか。通じません。それが長く生きてきた結論です。

 「好きです」だけで十分なのですが、それが言えません。本当に好きだからですが、女性にはその男性の気持ちは理解できないようです。僕はもう年よりだから、若い人と感覚が違うかもしれませんが、一度言うことです。「好きです」

 失敗したら言葉は継ぎ足していけばいい。テレビドラマは軽いですから簡単に愛の言葉を口にします。僕は本当に好きになった人には何も言えませんでした。でも言うのです。「好きです」「昔から好きです」「まだ好きです」「いつも好きです」「何をしても好きです」余計なことは言わなくていいのです。「好きです」が一番です。だって本心ですから。わかって受け入れてもらいたいだけです。

 物語は非常に単純です。絶対にもてそうもない、どこにでもいそうな普通の男子高校生・朔太郎(森山未來)が、絶対に誰からも好かれそうな頭もよくて、運動もできて、美人の女子高生・亜紀(長澤まさみ)に「好き」と言われます。他に彼女との愛を奪い合うような人は出てきません。ですが亜紀は白血病になってしまいます。だから隔離されます。愛を囁けません。愛の言葉の交換は今はもう使われないカセットテープです。

 1986年、高校生の朔太郎(森山未來)がバイクを引いていると亜紀が笑います。

「やっぱりバイクで通ってたんだ。君が乗ってるとこ見かけたことあるのよ」

「先生にちくるのかよ」

亜紀はバイクの後ろに笑顔でゆっくりと乗り、「はい」とカバンを渡して、後ろから朔太郎にしがみつきます。走り出します。

「あんまりくっつくなよ」

「胸、当たる?―――朔ってさあ」

「朔って呼ぶんだ、俺のこと」

「みんなそう言うじゃない」

「それは男子が呼ぶんだろ。広瀬に言われるとなんか、からかわれてるような気がする」

「からかってなんかないよ」

「広瀬って他の女子と違うって言うかさ。勉強できるし、スポーツ万能だし、人気があって、芸能人になるんでしょ。広瀬ってさ、ちょっと上の方にいる感じがする」

バイクで行った海沿いの防波堤でしばらく過ごして、それぞれ帰ります。

「帰る。私んち、君んちと逆だし、もう乗らなくてもいいよ、歩く」

「じゃ、何で俺のに乗ってきたんだよ」

「そんなの決まってるじゃない。朔と話したかったから」

これが二人の始まりです。二人は高校の同級生です。それからは他愛もない会話ですが、会話が続くということが恋愛の基本です。この「朔と話したかったら」と言ってくれた人が朔太郎に現れたのは奇跡のようなことです。

 深夜のラジオ番組の話、教室で笑顔の交換、渡り廊下で過ごす一緒の時間、公園で一緒に遊ぶ、近所の写真館のおじさんの昔の恋愛話、文化祭の出し物、写真館のおじさんが「昔好きだった人の骨を墓からとって来い」と言われて取りに行ったこと、孤島へ二人でいったことか、二人は奇跡の愛の時間を過ごしますが、亜紀は白血病で死んでしまいます。

 二人はお互いに相手に伝えたいことをカセットテープに入れて、伝えあいました。テープを渡す伝書鳩の役目は小学生の律子でした。亜紀が亡くなる日に録音したテープを預かった日は台風で律子は交通事故にあって渡していませんでした。もう15年程経って、律子(柴咲コウ)は結婚が近く荷物の整理をしていました。荷物からテープが落ちました。「あれ!」っと、テープを拾って聞いてみます。

「10月28日、どうしてかな、眠れないの、明日が来るのが怖くて眠れないの、あたし、もうすぐ死ぬと思う」

それを聞いた律子はテープの声の人、亜紀を思い出して涙がこみあげてきます。伝書鳩の役目を果たしてないと亜紀がいた高松へ、やはり台風が来ているのに、向かいます。律子の婚約者は何と亜紀のつきあっていた朔太郎でしたが、それを知りません。律子は誰にも言えない失敗を償おうと、朔太郎に「しばらく留守にします」と置手紙を書いて高松に来てしまいます。亜紀が台風の中継でテレビに映ります。テレビで律子の婚約者の朔太郎が律子を見つけます。朔太郎も律子を探しに高松へ向かいます。

 テープにはどうしても亜紀の好きだった人に伝えなければならない亜紀の最後のメッセージが録音されていたのです。

 

「良い映画を見よう!」(さくらのブログ)には他の旧作名画のレビューも掲載されています。
{良い映画を見よう!」の URL  http://kaku123sasaki009.sblo.jp/     
(さくらのブログ掲載作品の映画放映時間のお知らせ)
タイトル 放送日 曜日 チャンネル 放映時間 さくらのブログ掲載日
「街の灯」 2月24日 NHKBSプレミアム 13:00-14:27 2020/11/6
「ラスト・ムービースター」 2月25日 WOWOWシネマ 10:30-12:15 2020/9/22
「ダイヤモンドのふる街」 2月26日 日本映画専門チャンネル 7:00-8:00 2020/9/14
「E.T.」 2月26日 WOWOWシネマ 14:15-16:15 2021/2/21
「武士の一分」 2月26日 WOWOWシネマ 21:00-23:15 2021/2/22
「世界の中心で愛を叫ぶ」 2月26日 NECO 21:05 2021/2/23
「ヒート」 2月28日 WOWOWシネマ 12:15-15:15 2021/2/24
「戦後最大の誘拐ー吉展ちゃん事件」 2月28日 NECO-HD 9:00-10:50 2020/12/5