1987年北海道放送  日曜劇場  脚本 市川森一 

出演 萬田久子、伊藤蘭、大滝秀治 

「知っている女性が失敗をし、その後任を引き継いだブティック女性店長のその前任の女性店長への思い」

(配信はありません。表示されているチャンネルでの再放送をお待ちください)

(21.2.22改訂)

 

 美しい短編ドラマです。事実に即して書けば、欲にまみれた女の物語になってしまうのですが、まさかあの人がそんなことをするだろうかと視聴者に最初から最後まで思わせて、謎が多く、それを市川台本がロマンチックな物語に仕上げています。ロマンチックと言うと、男と女の物語のようですが、全然違います。主人公の萬田久子の友達を思いやる優しさが全編を貫いているからです。

 美人の仕事ができる女性が単身赴任で札幌のブティックの店長を任されます。張り切ります。でも、売り上げは伸びない。自分のお金を入れて、お店を何とかしようとする。上手くいかない時は全てがうまくいかないものです。

 そんな人の失踪した後を後任の萬田久子が引き受けます。彼女は昔からその女性を知っています。だから、どうしてと言う気持ちが強く、半信半疑です。でも、その女の人、伊藤蘭ですが、その人がやった不祥事は全てが事実なのだとわかってくると、どうしてそんなことをしたのだろうと思います。

 でも、事実のようです。

 女の人が現れて説明します。ようやく納得しますが、昔から知っている人がそうやって間違いを犯して、没落していくのです。置かれた立場が、後任の萬田久子と同じなので、彼女の気持ちがわかります。どうしようもなかったのだろうなと言う気持ちになりますが、もう彼女を救う手立てはありませんし、間違いを犯した彼女はもう誰からも信用されません。世の中、つまり彼女の周りは悪意と偏見と変な噂に満ち満ちているのです。これから、その中を生きていかなければならないのです。

 どのように言葉をかけてよいかもわかりません。同情もできません。彼女の使い込んだお金を回収しなければなりません。

 そんな二人のいる札幌の街は強烈に寒いのです。すべてを、あらゆる行い、悪事も覆い隠すように白い雪が降ります。白い雪は確かに、気持ちの上でもあらゆる汚いものを覆い隠すかもしれません。寒いから、そんな寒い札幌にいる一人の女性は、仕事に追い詰められれば、優しさを求めてしまうかもしれません。たとえ、その優しさが偽りの優しさであっても、ふとした瞬間に求めてしまうかもしれません。それは取り返しのつかない過ちへの入口であってもです。

 寒い札幌の空に舞う雪は途中で凍って、ダイヤモンドのように光りながら宙を舞い、人々の目を楽しませてくれます。ダイヤモンドダストです。それはそれは美しいのです。

 そんなダイヤモンドダストの一粒のようなささやきが最後に電話の向こうで聞こえてきます。聞いているのは後任の店長ですが、伝えることはできます。その最後のダイヤモンドダストのように輝いている優しさに満ちた声と意志に、思わず涙がこぼれます。これであの罪人は生きる勇気が湧くだろうと。

 

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タイトル 放送日 曜日 チャンネル 放映時間 さくらのブログ掲載日
「燃えよドラゴン」 2月24日 WOWOWシネマ 1:45-3:30 2021/2/20
「街の灯」 2月24日 NHKBSプレミアム 13:00-14:27 2020/11/6
「ラスト・ムービースター」 2月25日 WOWOWシネマ 10:30-12:15 2020/9/22
「ダイヤモンドのふる街」 2月26日 日本映画専門チャンネル 7:00-8:00 2020/9/14
「E.T.」 2月26日 WOWOWシネマ 14:15-16:15 2021/2/21
「武士の一分」 2月26日 WOWOWシネマ 21:00-23:15 2021/2/22
「世界の中心で愛を叫ぶ」 2月26日 NECO 21:05 2021/2/23
「ヒート」 2月28日 WOWOWシネマ 0:15-3:15 未定
「戦後最大の誘拐ー吉展ちゃん事件」 2月28日 NECO-HD 9:00-10:50 2020/12/5
           
(さくらのブログの他の旧作名画のタイトルと掲載日)
タイトル 掲載日     タイトル 掲載日
「ハスラーズ」 2月8日     「戦艦ポチョムキン」 2月19日
「ブラッド・ワーク」 2月9日