原題 Gaslight  1944年アメリカ 監督 ジョージ・キューカー

 出演  イングリッド・バーグマン  シャルル・ボワイエ  ジョセフ・コットン

「主人公ポーラの夫はポーラに愛を囁きましたが、結婚後全く別の人になってしまいます」

第17回アカデミー賞主演女優賞(イングリッド・バーグマン)

(配信されています。DVDは名作全集で買えば150円程度で別作品と10枚セットで買えます。)

 

 霧がとても濃いイギリスのロンドンが舞台で、この時代、家の中の灯りはガスでした。今の電気と同じように、明りの必要な部屋にはガスが行くように配管されていました。

 部屋のガスの灯りが急に暗くなることに主人公の女性ポーラ(イングリッド・バーグマン)が気づきます。それは決まってご主人が出かけた後で、屋根裏部屋から物音が聞こえてくるとガスの灯りが暗くなるのです。ポーラのいる部屋へのガスの供給が減るからです。ここにタイトルの意味があり、ガス燈の灯りがこのミステリー解決の重要なヒントの一つです。

 ポーラは声楽家を目指してレッスンを受ける留学生です。留学先の家で彼女の隣でピアノを弾く作曲家のグレゴリー(シャルル・ボワイエ)と恋におちて練習に身が入りません。知り合ってまだ2週間だと言うのにグレゴリーは強引に結婚しようと言ってきます。ポーラはそれを受けます。どこに住もうかとの話題になった時にグレゴリーはロンドンを提案します。

「どの家も家の中は温かい。家が欲しいな。広場に近い静かな家で愛する女性と暮らしたい。ロンドンに住まないか?広場はなくともーーー」

「広場に近い家があるの。ソーントン街9番地、叔母さんの遺産なの。オペラ歌手のアリス・アルキスト、母方の叔母なの、両親とも私が生まれてすぐ死んで顔も知らない。私は叔母に育てられたの。あの事件以来、あの家には一度も戻ってない。ときどき夢に出て来るの、あの家が怖い。でも不思議ね、あなたと知りあってから怖くなくなった。叔母の死以来ずっと何かにおびえていたけど、もう怖くないわ。あの家に住みましょ」

 二人はあっと言う間に結婚してロンドンのその家に住みます。その家は10年前に叔母が絞殺死体で発見された家でした。事件は未解決でした。

 その家は有名なオペラ歌手だった叔母の遺品がほとんどそのまま残されていました。でもグレゴリーは過去を思い出すからと、ポーラを気づかって全て片付けました。しばらくしてグレゴリーのポーラに対する態度ががらりと変わります。結婚して3か月の記念に外出しようという時に、グレゴリーは母の形見のブローチをプレゼントします。でも、留めピンが壊れていました。修理に出そうと、グレゴリーは「君は忘れっぽいからね」とポーラに確認させてバッグに入れます。ロンドン塔へ着き、ポーラがバッグを探ると入れたはずのブローチがありません。家に帰るとグレゴリーは「ブローチを出して」と言います。でも、どこを探してもありません。

「ねえ、私、バッグ開けた?覚えがないわ、確かに入れた?」

「それも忘れたのか?」

「いいえ、覚えているわ。自分の記憶に自信がなくなったわ」

「最近気づいたことだが、君は物忘れがひどい。それに、よく物をなくしたりする」

 でも、その日、グレゴリーは疲れているだけだと慰めます。

 また、メイドの態度や目つきについて、ポーラが「私を馬鹿にしてるわ」と言うと、

「目つき?まさか、また妄想にとり憑かれたのか?本当にそう思うのか、どうなんだい?」

と強く問い詰めます。ポーラは自分の感覚にも自信がなくなります。

 グレゴリーはメイド二人にも「奥様は神経質だから、外へ出すんじゃないよ」と言いつけます。すべての来客は断り、誰も家の中には入れませんでした。

 次に壁に掛けてあった絵が外されています。メイド二人はもちろん知りません。グレゴリーはポーラに聞きます。

「前にも外したね、どこに隠したか知らんが、元に戻すんだ」

「聖書に誓って言うわ、外したのは私じゃない」

もうヒステリー状態になって叫びます。呆然と階段を上り、踊り場で以前絵を置いた場所に無意識に手を入れます。すると絵はそこにありました。

「本当よ、何も知らなかったわ」と叫びますが、もうすっかり自分がわからなくなります。

「私を見捨てないで、お願い、一人にしないで。この家が怖いのよ、気味の悪い物音や足音がして、誰かが潜んでる気がして」

 グレゴリーはポーラにポーラの母親がどんな人だったかを説明します。

「君の母親は精神病院で死んだんだ。担当した医者に問い合わせて聞いたんだ。ありもしない物音や足音が聞こえるようになり、誰かいると言い出す。脳が消滅して死んだ。それが君を人前に出したくない理由だ」

 ポーラは本当に何でも忘れてしまうのでしょうか。狂ってしまうのでしょうか。ロンドン警視庁のブライアン(ジョセフ・コットン)がこの家のドアをノックします。ブライアンはこの家で起きた10年前の殺人事件をまだ調べています。謎解きが始まります。

 

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「遥か群衆を離れて」 2月19日 NHKBSプレミアム 23:45-2-34 2021/2/15
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「武士の献立」 2月21日 WOWOWシネマ 2:15-4:20 2020/10/30
「卒業」 2月22日 NHKBSプレミアム 13:00-14:47 2021/2/17