2005年イギリス、フランス、アメリカ 監督ジョー・ライト

原題 Pride and Prejudice (「高慢と偏見」)原作 ジェーン・オースティン 

出演 キーラ・ナイトレイ マシュー・マクファディ

「結婚相手を探すとき、自分のプライドが誤解を生み、相手への偏見が目を曇らせる」

(有料配信されています。HD等も配信サイトで販売されています)

(21.2.10改訂)

 

 この原作は非常に有名でこの映画を今見て、若い時にこの小説を読んでいたら自分の人生は変わっていたかもしれないと思いました。若い時は生涯の伴侶を求めてさまよい歩きます。人を死ぬほど好きになったとしても、ふられたらどうしようという誇りと自尊心が告白の邪魔をします。そして、好きになった人の噂と他の人がその人をどう思っているかが誤解とその人への先入観を生みます。

 主人公・エリザベス役のキーラ・ナイトレイのきりっとした美しさには目をみはります。エリザベスを初めて見たときから、主人公・ダーシーは心を奪われてしまいます。そのダーシーの一途な思いが少しもエリザベスに届きません。ダーシーの誇りと自尊心とエリザベスの「ダーシーは人を見下している」と言うマイナスの先入観が邪魔をしているのです。

 映画を見た限りではダーシーは誠実ではあっても、少しも威張った感じを受けませんでした。でも、彼が高慢と言われるのは、大きなお城のような家に住んでいる大金持ちなので、彼に近寄ってくる人は皆彼に遠慮するでしょうし、一段低く接するからのようです。彼も自分では意識せずとも、知らずにそういう態度であったかもしれません。エリザベスはそういう彼に対して誤った先入観を植えつけられていました。彼女はとても知的で、当時として(1800年代後半から1900年初頭)は自分の考えを持った女性でした。彼女のそこにダーシーは惹かれたのです。

 エリザベスの家は父母と姉妹5人の領地もない小さな家庭でした。当時のイギリスでは女性に相続権がなく、結婚しなければ一生貧乏で生まれた家から出ることはできませんでした。5人姉妹全員がとにかく結婚相手を探し、結婚してもらうことが目標でした。

 5人姉妹の長女が資産家でダーシーの友人のビングリーと愛し合っていました。結婚するものと誰もが思っていたのに長女は失恋します。ダーシーがその結婚に反対したからです。反対の理由は長女がヒングリーほど真剣でない、母親や家族がヒングリーの資産目当てであることでした。

 また美男子の青年軍人が姉妹5人の注目を一身に集めていましたが、彼は「ダーシーに受け取るべき遺産の多くを奪われた」とエリザベスに言います。これは後に嘘であることがわかりますが、この二つはダーシーに対する誤解をエリザベスの心に植え付けました。

 ダーシーはエリザベスに求婚します。エリザベスは「あなたは大嫌いです」と強い口調で拒絶します。嫌いの理由は二つです。「彼が長女と彼の友人との結婚に反対したこと」「青年軍人がもらうはずの遺産を彼が奪った」の二つです。ダーシーは友人のことは事実なので受け入れます。しかし青年軍人のことは事実無根で、その青年軍人はとんでもないだらしない男だと事実を伝えます。

 ここでようやく誤解が解けていきます。偏見と言うマイナスの先入観も消えていきます。

 ダーシーは誤解が元で求婚を断られたと考えました。このままでは苦しくて終わることはできません。手紙に弁解と理由をしたためて渡しました。これが恋愛では大事なのです。誤解はすぐに解くことです。しかし、現実の世界ではエリザベスのように「こういう理由であなたが嫌いなの」と女性は言うでしょうか。でも言わなければ次の段階へは行けません。

 ダーシーの場合、長女と友人との結婚反対の理由を明確に説明します。青年軍人のことも事実をありのまま伝えます。するとエリザベスの心はほぐれていきます。ダーシーへの見方が変化してきます。

 恋愛は相互理解です。好きと言う気持ちが最初にありますが、それから先は相互理解です。より深く相手を知ることです。ダーシーは言うべきことを言いました。しかし、それでエリザベスが好きになってくれるわけではありません。まだ紆余曲折はありますが、少なくとも誤解を取り除き、人を見下すような人間でないことだけはエリザベスにわかってもらえました。第一歩です。

 今はインターネットで結婚相手を探す時代になりました。「思うことを何でも語り、相手の語る言葉に耳を傾け、自分と相手の真の姿を予断なく見つめること」です。

 撮影は18世紀のイギリスの広大な田舎の田園風景が見事です。今とは全く異なる5人姉妹の男性を探す方法と男性の結婚の申し込み方、両親の娘に対する考え方が新鮮です。

 

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