映倫R15+作品  原題 Carrie 監督 ブライアン・デ・パルマ
 原作 ステイーブン・キング 出演 シシ―・スペイシク 
「念ずることで物を動かす能力のあるキャリーがいじめへの復讐をするまでの一部始終」

 キャリーは高校3年生の女の子です。全く自分に自信がありません。容姿が他の女の子よりも劣っていると思っているからです。体育の授業でバレーボールをしても、「キャリーを狙うのよ」と相手チームには言われてしまうし、それでボールが来ても本当に打ち返せなくて、チームからも「キャリーがいるんじゃ、勝てないわ」「最低ね!」と試合終了後にすれ違い様に言われる有様で運動神経も鈍いのです。

 バレーボールの後この高校はシャワーを浴びて着替えます。そこでキャリーは初潮を迎えます。キャリーは高校生にもかかわらず初潮の予備知識が全くなく、初潮の現象は信じられない出来事でした。体をこする手に血がついたのです。血がシャワーのお湯と共に広がる足元を見つめます。恐怖が襲います。思わず、裸のまま同級生に助けをもとめます。泣き叫びなら、

「助けて、お願い、助けて」とクラスのその場にいた女の子たちにしがみつきます。

一人の女の子が、

「これ使ったら」と生理用品を見せびらかします。

「キャリーが生理だって」とみんながはやして、恐怖に震えるキャリーにタオルを投げつけます。そして、「ほら、ナプキンよ」と言って、ナプキンも投げつけます。キャリーはシャワー室の隅にしゃがみ込んでしまいます。

 先生が来てキャリ―を落ち着かせようとし、

「立つのよ、立つの、さあ、しっかり、落ち着いて」

と言った時に突然シャワー室の電球が爆発するように割れます。キャリーの恐怖心があまりに大きくて、そのエネルギーが電球を割ったのです。

 この事件を校長へ報告に行くと、校長は何度もキャリーの名前を「キャシー」と間違えます。それにいらだちを覚えていたキャリーが、大声で名前を「キャリーです」と訂正した時に机の上の火のついたタバコの入った灰皿が空中で回転して落下します。違う名前を何度も言われたことに対する怒りが灰皿を宙で回転させ落としたのです。

 帰り道で自転車でやってきた小学生が「お化けのキャリー」と大声で叫びながら、キャリーのすぐ近くにやってきます。キャリーがその少年に目をやると、自転車はハンドルがきかなくなり、倒れてしまいます。「お化けのキャリー」の言葉に腹がたったのです。

 家に帰ってきたキャリーに敬虔なクリスチャンの母親は苛立たし気に、

「女になったのね」と言います。

「びっくりしたわ、ママ、どうして教えてくれなかったの」

「神はアダムのあばら骨でイブを創りました。イブは黒いカラスを放ちました。罪というカラスを。最初の罪は男と交わること、男と交わることは罪、さあ、言いなさい、最初の罪は男と交わること」

「罪なんて犯してないわ。怖かったわ、死ぬかと思った。みんなに笑われたのよ」

「主よ、この罪なる女を救いたまえ。それは悪魔の仕業、淫らな思いの罪から救いたまえ、淫らな罪を詫びよ。主は罰を与えました、毎月、血を流すという罰を与えました。」

そして、キャリーはお仕置き部屋に閉じ込められてしまいました。

 許されて、母親にお詫びのキスを頬にし、2階で鏡を見ていると突然鏡が割れます。音を聞きつけて母親が来ると鍵もかけてないのに、キャリーの部屋のドアは開きません。キャリーの心の中に生じた母親に対する不信感とやるせなさが鏡を割り、部屋のドアを開かないようにしてしまったのです。

 キャリーは図書館で自分が起こす不思議な現象を調べました。

「テレキネシス(念動作用)、物を動かしたり、変化を引き起こす意志の力」

の項目を見つけます。キャリーは自分の能力を知りました。

 キャリーをからかった女生徒たちは体育の先生から罰として課外授業をやらされて面白くありません。その中の一人が先生から酷い仕打ちを受けたので、学年末に行われるプロムパーティにキャリーを誘って、そこでキャリーに大恥をかかせようと計画をします。しかし、キャリーを誘う男子生徒はいません。また、そのたくらみに協力する生徒を見つけるのは大変です。

 キャリ―を誘う生徒が現れますが、キャリーはからかわれていると思います。でも、キャリーに大恥をかかせるためにはどうしてもキャリーにプロムに来てもらわなければなりません。

 デ・パルマ監督はカメラワークが独特です。ぐるぐるとカメラが回転しながらプロムの会場の様子を映し出すのですが、色彩感覚も独特で画面作りは抜群にうまいです。このカメラワークが一層この映画の恐怖をひきたたせます。