ジャウム・コレット=セラ監督 リーアム・ニーソン主演 

「主人公の航空保安官の乗る飛行機の中、脅迫メールがその航空保安官に届く。差出人は飛行機に同乗しているが、誰だかわからない」

 嫌なことを忘れさせてくれるノンストップアクション映画です。さすがアメリカ映画です。すべてが悪い方へ、悪い方へと進んでいきます。それはラストまで続きます。悪いことは10エピソードくらいあるでしょうか。次から次へと起こります。でも、決してあきらめない主人公ビルです。この主人公の忍耐力と乗客を思う仕事への責任感を学ばなければいけません。

 あなたが飛行機に乗っているとします。150人の乗客のうちの誰かからメールが入ります。「今から、あなたが私の言うことをやらないと、20分以内に乗客の一人が死ぬ」と言うメールです。150人の乗客を20分でチェックできるはずもない。また、自分のメールアドレスが洩れているはずがない。しかし、このメールです。対処などできません。予告通りに人が死にます。

 これは映画ですから、こういうことも起こります。とても現実離れしています。しかし、こういう映画を作ると言うところにアメリカ映画の底力を感じます。

 ビルは航空保安官です。乗客から保安官と呼ばれます。西部劇のようですが、とても懐かしい呼び方で好きです。

 ビルと犯人は飛行機の中で、限られた時間内で勝負します。時間は20分です。その短いあっと言う間の時間で問題を解決しなければいけません。犯人はメールのやり取りで、これから起こる事件をほのめかします。乗客の中で携帯電話でメールを打ち込んでいる人を探します。疑わしい人ばかりです。

 乗客にはパニックを恐れてビルは何も伝えません。でもいつか伝わります。次から次へと事件は起こりますから。そして、ビルは乗客に対しても取り調べへの協力を説明もなしにお願いしていくのです。時間がないので、もう強い口調で命令します。

 乗客も協力しなくなります。そして、飛行機の中ではテレビを見ることができます。テレビでは今起こっている事件が報道されて、乗客はその報道番組を見ているのですが、現実にそれが目の前で起こっているのです。この映画の中で起こるパニックは小さいと思いました。本当ならこんなものではないのではないでしょうか。

 甘い解決は一切ありません。第一解決しません。犯人も誰だかわかりません。犯人の目的もわかりません。それでも物語は進んで、さらに悪いことが起こります。

 ドラマは主人公が困るように、困るように作るのがドラマ作りのセオリーです。最近のテレビドラマはそこまで主人公を困らせません。

 しかし、この映画は主人公をとことん追い込みます。この追い込まれ方を覚えておきたいものです。これでも主人公はあきらめないで、自分の解決できる能力を信じ立ち向かっていきます。

 犯人は飛行機に最後の手段として爆発物を仕掛けてあります。それも、タイマーです。まさか爆発しないだろう、その直前で解決するだろう、と思っています。解決しそうな展開になります。でも、裏切られます。飛行機に仕掛けられていた爆弾は爆発してしまいます。凄い威力の爆弾ですから、飛行機は空中分解するはずです。

 ビルにとっては飛行機の爆発も想定内の出来事なのです。それが、仕事ですから。凄い主人公です。