夏の風物詩の1つに吹奏楽のコンクールがあります。しかし部活動の地域移行や部員数減少などの課題も多くあります。私もかつて吹奏楽部で活動していましたが,特に部員数減少については,私が活動していた頃は大所帯だったものですが,最近は社会の多様化や少子化の中でどの学校でも苦労しているようです。コンクールに参加する編成を変えたり,最近流行りのフレキシブルな譜面を用いたり,他の編成からの編曲版を用いたりと様々な工夫を余儀なくされています。そのコンセプトの1つとして,2007年から録音が開始された(アルバム発売は2008年から)『バンド維新シリーズ』があります。初心者からシニアまで演奏が可能でそこまで大きな編成を必要としない楽曲を吹奏楽界のみならず,他のジャンルの作曲家の方々も楽曲を提供されています。

 服部克久先生もこのシリーズに4曲楽曲を提供されていらっしゃいますが,うち3曲は『音楽畑シリーズ』からのアレンジ(『バンド維新2008』《星への誘い》:音楽畑19,『バンド維新2011』《タンゴ・アパッショナート》:音楽畑16(楽曲は《うらぎり》と同一),『バンド維新2014』《マットグロッソ2014》:音楽畑10・17)ですので,『バンド維新2017』に収録されている《希望の世界を目指して》を取り上げたいと思います。

 楽曲は「服部節」の1つであるややシリアスなサウンドから始まります。(登場する音は数音のみ)少しずつ楽器は増えていき,やがてテンポ・アップし服部先生らしい分かりやすく平易なメロディが始まります。途中服部先生としては珍しいG♭メジャーを経由しさらに必殺木管楽器の駆け上がりから,半音上のCメジャーに転調。ここでは高音楽器が伴奏にまわり,低音楽器がメロディを担当。さらにFメジャーに転じ,トランペットを含めた高音楽器がメロディを担当し(ここはベース・ラインも動くので面白い)今までで一番オーケストレーションが厚くなります。(前半以上に三連符が強調され印象深い)そして最後4小節はF音とC音だけで盛り上がって終わります。

 『バンド維新シリーズ』の服部先生の4曲は《マットグロッソ》以外はピアノ楽譜になっていない楽曲なので,ハッスルコピー社から出版されているスコアで譜面に触れることができるので,その意味でもうれしいところです。ちなみこの『バンド維新2017』でのコンサートが私が服部先生にお会いできた最後になりました。(先日お墓参りを済ませることができました)