服部克久先生の「音楽畑」シリーズはご自分の旅行や留学での経験が元になっている楽曲も多くありますが,この《ロンサム・レーン》もその1つで,フランス(パリ)での留学時の淋しさを表現した楽曲です。(私も一人暮らし経験者なのでよく分かります!)

 私がこの《ロンサム・レーン》から学んだこと(影響を受けたこと)は主に2つあります。1つは他の楽曲でも書きましたが,冒頭のピアノ・ソロの単音の美しさの魅力です。音数も多くなくピアニスティックでもないのに,聴く人を惹きつける魅力があります。もう1つも以前他の楽曲でも書いたような気がしますが,メジャー・キーなのにどこか陰影を含んだ哀愁ただようメロディとハーモニーの妙です。それに「音楽畑」シリーズとしてはやや珍しい8分の6拍子をとっていることと相俟って,何とも言えない,いい意味で掴みどころのない楽曲となっていて,それが冒頭に述べた心情をうまく聴き手に伝えることに成功している一因でしょう。そしてこの楽曲が大好きな1番の理由は,Fメジャーに転調してストリングスにメロディが移ったあと,冒頭に戻ってピアノ・ソロに戻りますが,2番括弧以降どこかもったいぶって♭系のコードを経由して「遠回り」して冒頭まで戻っていく様(現実逃避感的?)が何とも言えません。

 ちなみこの楽曲は『音楽畑エクストラ マインド・ミュージック』にも収録されていますが,こちらは『音楽畑8』版とはメロディ・ラインの音の長さやテンポが異なり,(演奏時間が約9分!)シンセサイザーを駆使したサウンドとなっていて,比較して聴くのも面白いです。