近所には、名うてのスナイパーがいる。
「Gは私が討つ」と云ってきかない主婦(35)。
唯一の怖いものが老いである彼女にGは微塵の恐怖も与えられない。
Gの出現の際には荒れ狂った海のようにゴキジェットプロで狙撃するのだとか。
荒れ狂ったといっても、恐怖からではなく、彼女曰わく「ほら、殺人鬼が人を殺すときぞくぞくするってよく聞くでしょ。そんな感じ」
よくわからない、譬えが非日常的すぎる。
とにかくGを見るとリミッターが解除され、殺G鬼になるらしい。
彼女が越えられない壁は時間だった。
例えば近所から援助希望が出ても行くまでにある程度時間がかかり、さらには殺気を察知してかGは隠れてしまう。
ただ、名うてスナイパーなだけあってGの隠れ家発見においても名うてであった。
彼女は無敵なのか。
マスカラでGの足のようになっている彼女のまつげは人間の体毛だろうか。
まさか……。