理化学研究所は12日「ヒトの頭皮から採取した毛根の細胞に、ヒトの脳の細胞と共通する遺伝子が発現していることを発見し」発表しました。
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140912_1/

 今回の研究は、統合失調症と自閉症患者から頭髪を採取して、行なったものです。
 毛根細胞と脳細胞は、多くの遺伝子が共通して発現します。存命患者の脳細胞をサンプリングすることは出来ませんが、頭髪でしたら簡単に採取することが出来ます。なおかつ、頭髪は引き抜いても、遺伝子を破壊することがほとんどありません。
 その結果、統合失調症患者においてはFABP4遺伝子が健常者よりも40%低下し、自閉症患者においてはCNTNAP2遺伝子が有意に低下していることが、分かったのだそうです。



 これらの遺伝的特性を元に、統合失調症を対象として、解析を行ないました。すると……、
感度(患者を患者として検出した割合)71.8%
特異度(非患者を非患者として検出した割合)66.7%
陽性的中率(検査で陽性と出た人のうち実際に罹患している割合)60.9%
陰性的中率(検査で陰性と出た人のうち実際に罹患していない割合)76.6%
という具合に、高精度で統合失調症を検出できました。



 これまでの診断が「聞き取り」に依存せざるを得なかったことからして、今後の発展が期待されます。
 具体的には、早期発見早期治療、客観的な診断基準、選択的作用を持った薬剤の開発による副作用の低減、などが挙げられるでしょう。

 未だに「精神疾患は気合が足りないから」などのようなことを言う人がいる世の中ですが、今後は、双極性障害やてんかんにも遺伝的視点が当てられていくものと思われます。ということは、大うつ病や神経症領域の疾患も、あながち無関係とは言えないように思います。