新刊をあまり読まないので、2015年に発売された本というわけではなく、たまたま今年僕が読んだ本の中で面白かったものを10冊紹介します。
1位 『服従』 ミシェル・ウエルベック
2015年、フランスで二回のテロ事件が起こりました。
1回目は1月7日のシャルリー・エブド出版社襲撃事件。その日にシャルリー出版社から発売される雑誌の表紙はウエルベックで、『服従』がフランスで発売されたのもこの日でした。
僕はこの本を9月に読みまして(日本語での発売は9月だったので)、そのあとまた11月にテロが起こったので衝撃を受けました。
2022年にイスラム教がフランスで政権を取るというストーリーで、今のフランスで何が起こっているかを知るために、この小説は必読だと思います。
2位 『ジェノサイド』 高野和明
読んで最初に思ったのは、どれだけ時間をかけたらこんなに壮大な話が書けるのだろう、ということでした。それぐらい情報量も取材量も半端なく、さらにストーリーの緻密さやダイナミズムに感動しました。
3位 『幼年期の終わり』 アーサー・C・クラーク
人間よりもはるかに頭脳が高い宇宙人がやってくる話でして、かといって地球を侵略するわけでもなくて、どうなるんだろうとワクワクしながら読みました。哲学的な物語です。
4位 『フィツジェラルドを目指した男』 デイヴィッド・ハンドラー
天才作家に主人公がインタビューをしに行って、その周りで事件がどんどん起きていく、というストーリーです。ハンドラーは去年読んだ『女優志願』も面白かった。
5位 『ヴァルカンの鉄槌』 フィリップ・K・ディック
コンピューターが人間に指示を出す世界、という人口知能の話です。ディックの話に出てくる人は、疑心暗鬼だったりいがみあったりしている人が多くて、その心理戦も面白いです。人工知能は、将棋の電王戦もそうですし、最近最も興味のあるテーマですね。
6位 『ローズマリーの赤ちゃん』 アイラ・レヴィン
ホラー大賞に応募する前に、普段あまり読まないホラー小説を何冊か読んだのですが、この小説は映画で観たときよりも怖かったし、気分が悪いですね。妊娠中の人は絶対に読んでは駄目です。
7位 『聖女の救済』 東野圭吾
東野圭吾の本は今まで40冊ぐらい読みましたが、この本は僕の中で2位か3位に躍り出ましたね。発売当時それほど話題になってなかったのはなぜでしょうか?(ミステリーランキングとかで上位に入っていなかった気がしますが)。ちなみに1位は『容疑者Xの献身』です。
8位 『夜また夜の深い夜』 桐野夏生
イタリアのスラムで暮らしている日本人がどん底でサバイバルしていくという、決して明るい話ではないんですが、桐野夏生の小説を読んでいるとなぜか元気が湧いてくるんですよね。
よし、俺もこの訳が分からなくて一筋縄ではいかない世界を生き抜いてやろう、という気持ちにさせてくれるんだと思います。
9位 『わが愛しき娘たちよ』 コニー・ウィリス
SF作家の短編集でして、表題作が問題作として話題になった作品です。トラウマになりそうな後味があります。この作家は文章のテンポが特徴的な小説が多くて、僕は短編小説を書くときに真似させてもらいました。
10位 『厭な物語』 パトリシア・ハイスミス他
どん底の気分にさせられる、暗い話だけを集めた短編集です。カフカとかジャクスンとかいろいろな作家の話がありまして、この本でハイスミスの『すっぽん』を久々に読みなおしましたが、あまりにも悲しすぎて気が滅入りました。
