前から一度居候をしてみたいと考えていたのですが、ついに先月、那覇在住のN君のマンションに十日間居候させていただくことができました。
彼の部屋は長方形の12畳ぐらいの縦長の部屋で、その部屋を動かせるクローゼットで二つに分けてN君と僕とで使っていました。クローゼットの稼動範囲の関係から、N君が5畳、僕が7畳ぐらいで、僕のほうが広いスペースを使っていました。
N君が準備をして仕事に出かける直前に、毎朝起こしてもらいます。
それで午前中はN君の部屋かカフェで文章を書いたりして、午後は本を読んだりDVDを観たりジョギングしたりゴロゴロしたりして、夜はN君の上司に、なぜか僕まで高級な焼肉や寿司をご馳走してもらうような、恵まれた生活を送っていました。
ちなみにN君には1円も払っていません。
家賃や光熱費を払いたい気持ちはあったのですが、そうしてしまうと『居候』ではなく『ルームシェア』になってしまい、僕がやりたいこととは全く変わってしまうので、払うわけにはいかなかったのです。
手伝いもほとんどしませんでした。1回だけ洗濯物のTシャツを3枚くらいN君の分もたたみましたが、すぐに飽きてたたむのを止めました。
2人で鍋料理を作って食べたときも、N君が野菜を切ったり肉をタイミングよくいれたり全部やってくれて、不器用な僕に任された仕事は、「鍋用のスープをハサミで切って、鍋にスープをそそぐ」ことだけでした。
そんな感じで仲良くやっていたのですが、居候生活で一度だけ問題が発生したのです。
トイレットペーパーについてです。
N君家のトイレットペーパーは花柄の良い香りがするもので、いつも白い無臭のトイレットペーパーを使っている僕としては、
「けっ、何をこんなオシャレなもん使っとんねん」
という気持ちがあったのですが、居候の身分としては仕方なくそのトイレットペーパーを使っていたのです。
(ちなみにN君は、髪を乾かすときにドライヤーを使わずに、歩いているうちに自然乾燥させるような、とても繊細なタイプではないのです。それなのにトイレットペーパーだけ花柄でフカフカして良い匂いなのです)
それでトイレットペーパーが減ってきたので僕が
「そろそろトイレットペーパー買って来ようか?」
と最大限に気をきかしたつもりで尋ねると
「ええええええええええ!」
とN君が驚き始めたのです。
「だってまだ買ったばかりで4ロールぐらいあったでしょ」
とN君が不思議そうに言いました。
「でも2人で使ってるから2倍の速度で減っていくんじゃないかなあ。別に不思議じゃないでしょ」
と僕が説得しようとすると、
「俺1カ月で1ロールしか使わないよ。こんなに減るのは明らかにおかしい」
とN君が声のトーンを上げながら言いました。
1ヶ月で1ロール!?
ALL YOU NEED IS 1ロール!?
どうやったらそんな使い方ができるのか分からん!!
僕は1カ月に1人でたぶんトイレットペーパーを10ロールぐらい使います。
お尻を拭くのが三度の飯より好きな僕としては(というか、お尻を拭くために三度の飯を食べていると言っても過言ではありません)、トイレットペーパーをローリングストーンズして豪快に何度でもお尻を拭きたい人間なのです。
「分かった分かった。明日すぐトイレットペーパーを買ってくるからそれで勘弁してよ」
と僕が言うと、
「ちゃんとフカフカした柔らかいのにしてよ。このトイレットペーパー6ロールで300円する高級なやつだから」
とN君が物々しく言いました。
6ロールで300円だと!?
そんなクソ高いトイレットペーパーが存在するのか!?
12ロールで198円のトイレットペーパーを使っている僕としてはカルチャーショックを受けました。
いろいろ自分とは違う世界を聞かされて頭が真っ白になりかけましたが、冷静に考えて状況が飲み込めてきました。
つまり、N君は高いトイレットペーパーをちびちび使う『わびさび型』に属していて、僕は安いトイレットパーパーをばんばん使う『無頼型』に属していたわけで、完璧に二人のトイレットペーパー使用方法の流派が違っていたのです。
もしこれが新婚夫婦の話だったら、
「離婚の原因はトイレットペーパーの使い方の不一致です」
と伝えることになったでしょう。
幸い、優しいN君はトイレットペーパーの件は水に流してくれましたが、一歩間違えたら大変なことになっていたと思います。
というわけで今後居候をする予定の人は、大なり小なり問題は発生すると思いますが、トイレットペーパーの使い方など細かいことを前もって確認して、相手の心の扉をノックしておくことをオススメします!!