傘をプレゼント | 最強の作家への飛翔

最強の作家への飛翔

このブログは、近い将来「最強の作家」になる飛将の、偉大なる軌跡なのです。

『アイデアを実際に行動に移すこと』


これは、僕が一年間仕えさせていただいた師匠から、教わったことの一つである。


僕がやりたいと思っていたことの一つに、





『雨宿りしている人に、傘をあげたい』





というのがあった。


そんな映画のワンシーンみたいなことを、ジョージ・クルーニーがやってそうなことを、実践してみたかったのである。


先日、急に雨が降り始めた。

僕はたまたま持っていた折りたたみ傘をさしながら自分のマンションに帰っていたのだが、そのとき、携帯ショップの入り口のところで雨宿りしている二人の小学生の女の子を発見した。


僕は別にロリコンじゃないので下心はまったくないのだが、この子達に傘をあげよう、と思った。


ただ自分がさしている折りたたみ傘は500円もしたのであげたくないので(しかもあげると自分の傘がなくなるし)、近くの100円ショップに急いで傘を買いに行こうと思った。


偶然そのとき、近くに100円ショップがあったのだ。


僕はそのビルの四階にある100円ショップまで駆けて行って、100円の傘を二本買って、その小学生が雨宿りをしている場所まで戻った。

元陸上部の脚力をふんだんに駆使し、



「足ではなく腕で走るようにしろ」



という監督の教えを忠実に守った完璧なフォームで、急いで走って戻ってきたのだった。

たぶん、五分もかかってないと思う。


もう、その二人の小学生の女の子は、その場にはいなかった。


「あれ、帰っちゃったのか…」


僕は傘を二本持ったまま、雨の中呆然としていた。


「まあいい、この傘は誰かにあげよう」


ちょうどその100円ショップが入っている建物の屋根の下で、雨宿りをしている男性を一人発見した。


僕はその人に近づいていき、


「よかったら傘いりませんか?」


と訊いてみた。


すると、





「あ、でも今から車で迎えに来てもらうんで大丈夫です」





と爽やかな笑顔で断られた。


もらってもらえない…。


僕は仕方ないので来た道を戻り、那覇のメインストリートである国際通りを、傘を渡すために歩き続けた。


国際通りはアーケードのついた市場も隣接していて、傘のない人はそこに逃げたみたいで、雨宿りしている人はまったくいなかった。人通りも少なかった。


どうしようどうしようと思いながらひたすら歩いていると、一本の傘で相合傘をしている男二人組を発見した。


その前から相合傘をしているカップルは何組かいたが、その人たちに傘をあげるのは嫌がらせにしかならない。


ただ、男二人の相合傘は、傘の持ち主じゃないほうの男が気をつかって結構濡れている感じだったので、この人にあげようと思った。


「あの、傘余ってるんでよかったらいりませんか?」


と僕が訊くと、その男性はまんざらでもなさそうな顔をしたが、






「え、なんで傘が余ってるの?」





と訊いてきた。


男二人組は興味と不審の入り混じったような視線を僕に向けてきた。





「えっと、渡そうと思ってた人がいなくなってて…」





と意味不明の言い訳をしたあと、


「よかったら使ってください」


と渡すと、





「ほんと、ありがとう!悪いしお金払うよ」


と言われて、


「いや、ほんと安物なんでそれは大丈夫です」


と言って、なんとか傘を一本受け取ってもらえた。


これで残りはあと一本。


今度は国際通りを逆方向に歩き、ひたすら雨宿りしている人を探していると、


レインコートを頭までかぶって着て、信号待ちをしている人を発見した。


顔はよく見えないが、たぶん男性だと思った。レインコートを着ているとはいえ、相当濡れている。


「あの、傘よかったらいりませんか?」


と声をかけると






「あ、どうも」





とあっさりと受け取ってもらえた(結局男性だった)。


こうして僕のプロジェクトは、特に面白いオチもなく、幕を閉じた。


雨の中ひたすら傘を渡すために歩き続けたため、傘をさしているとはいえ、気がつけば僕の靴はビショビショだった。時間もかなり使っていた。


だが、よく分からないが、めちゃくちゃ楽しかった。


210円(税込み)で、こんなに楽しめるなんて…。


そして、この傘をあげるという体験を通して、僕はあるアイデアを思いついた。


この話は長くなるので、続きます!