ガス・ヴァン・サント監督の映画を観たあとはいつも、複雑な心境になる。
「何なんだこれは…。面白いのかどうか、もはや分からん…」
と、ただただつぶやくしかないことが多い。
二人の若者がひたすら砂漠を歩き続ける『ジェリー』。
コロンバイン高校の銃乱射事件を取り上げた『エレファント』。
カート・コバーンの死を描いた『ラストデイズ』などなど。
ガスの映画は『カウガール・ブルース』以外は全部観ているが、「死ぬほど好きだ!」なんて言える作品はひとつもない。
どれも、面白いんだがつまらないんだか…、という曖昧な感想しか抱けない。
しかし…。
ガスの映画は、とにかく記憶にこびりつく。
『ミルク』は、同性愛者の主人公が差別や偏見と戦っていくという、難しいテーマだった。
ただ、最近のガスの映画の中では、とてもストーリーが分かりやすく、混乱せずにある程度理解して観ることができた。
まず、そこが嬉しい。
主役のショーン・ペンは『アイ・アム・サム』のお父さん役の印象が強すぎて、見ていて頭の中でごっちゃになってしまったが、今回も激しい演技をしている。
この映画はとても感動的だし、ハラハラさせるシーンもあるのだけど、やろうと思えば、もっと感動させることもできたしサスペスフルにすることもショッキングにすることもできた気がする。
ただ、やはりガスらしく、演出をなるべくストイックにして、静かな感じにまとめていた。
ガス・ヴァン・サント監督に興味がない人も、同性愛の問題に興味がない人も、ショーン・ペンに興味がない人も、誰が観てもきっと楽しめる傑作だと思う。
