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「P」
Patricia Highsmith(パトリシア・ハイスミス)
パトリシア・ハイスミスは、日本でも、もっとヒットしていい作家だと思う。
ハイスミスの作品はどれも、スカッと気持ちよく終わることはありません。
嫌な感じで終わる。
本を読むことに安易なカタルシスを求める読者を、ハイスミスは突き放すんです。
『愛しすぎた男』という作品があります。
もう50年近く前に書かれた作品なのですが、ストーカーの主人公を描いたサスペンスです。
当時はまだストーカーなんて言葉もなかったと思うのですが、人間の心理や行動を描かせたら抜群のハイスミスが、ぐんぐん読ませます。
主人公は、金も結構稼いでいるイケメンです。世間的には成功者なのに、一人の女性に変質的に付きまとい、事件を起こしてしまいます。設定からして、かなりひねりが入っています。ストーカーらしからぬストーカーなのです。
ハイスミスの小説に出てくる登場人物は、皆、歪んでいます。
完璧に狂っている人もいます。普通の人なんか出てきません。
しかし、それは荒唐無稽な小説という意味ではありません。
歪んだ現実や歪んだ人間や歪んだ社会を、正確に見抜き、正確に記述している気がします。
あと『11の物語』っていう短編集も凄いんです。
普通、短編集ってその中に、面白い作品やピンとこない作品が混ざっているもんなんですが、これは11個の短編全てが面白い。こんな短編集を初めて読んだ気がしましたね。
本を読んだあと嫌な気分になるのも悪いもんじゃない。
そんなことをハイスミスから教わりました。
