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日本の構造と世界の最適化

戦後システムの老朽化といまだ見えぬ「新しい世界」。
古いシステムが自ら自己改革することなどできず、
いっそ「破綻」させ「やむなく転換」させるのが現実的か。

国内総生産(GDP)の推移:コロナ禍一旦沈静化

コロナ禍最中に東京オリンピックが開催されたが観光客なし五輪となり、当初想定されていた消費爆発はなかった。しかしワクチン接種も本格化し前年の五里霧中の不安からは解消され状況は改善していた。当年にコロナ関連倒産は増えたが倒産件数全体は減少し、倒産の筆頭は飲食業から運輸業にシフトした。リゾートホテル等経営の東京商事が当年負債額最大の倒産であったが大きなインパクトはなし。

 

ちなみに安倍政権下での建設工事の数値に水増しがあり実質成長率はここで示すよりも低いと思われる。

 

世界のGDPの推移:大幅回復

コロナ禍のショックに対し全世界が財政出動に踏み切り、大きな回復を見せている。2020年から2021年にかけての米国の財政出動はリーマンショック対策を上回る大規模なものになった。

 

為替相場の推移:円安の気配

アベノミクスが元来円安政策であったが2015年以降はじわり円高に傾斜していた。コロナ禍勃発後は世界各国が金融緩和に動いたが、米FRBが物価高騰に対処するため2022年中の金融引き締めの方向を打ち出し再び円安にぶれている。2022年に生きているあなたは円安・輸入物価高が厳しいものとなっていることを知っているが。。

 

貿易収支の推移:コロナ禍から立ち直り

 

国際収支の推移:投資立国

第一次所得収支の黒字は貿易黒字の何倍もあり、いまや債権国・投資立国としての日本を映し出している。つまり円安は株価に影響しても賃金には影響しないし、消費税のマイナスのインパクトの方が大きい。

 

 

株価の推移:コロナ禍以降を目指す流れ

コロナの国内蔓延や東京五輪頓挫の懸念から2020年には株価が一旦激しい落ち込みを見せ2万円台を割った。2020年に日銀のETF買いが7兆円を超え株価暴落に力技の介入をしたが2021年には9000憶円弱に激減している。コロナは終わってはいないが株式相場だけを見ればすでにコロナ禍以降を目指している様相。

 

金利指標の推移:コロナ禍で世界中が金融緩和

2022年に世界が利上げに転じても黒田総裁率いる日銀は少なくとも2023年の総裁退任まで現状維持を続けたいところだろう。円安による物価高騰助長の批判はあるが米国が本格的な不況に突入すればウクライナ戦争があっても国際商品相場下落で日銀は逃げ切れるかもしれない。

 

住宅着工件数の推移:若干回復

 

地価の推移等:アベノミクス以降初めて下落

日銀のREITの年間買い取り総額はわずか60億円に激減し前年の巨額買い取りから一転している。地価介入しすぎを懸念したか。これにより首都圏・商業地を中心にコロナ禍の影響による地価下落が顕著になった。

 

新車販売の推移:コロナ禍副作用の半導体不足

コロナ禍による自宅勤務とパソコン買い換え需要が半導体需要過多を招き、自動車製造に必要な半導体不足が顕著に。カネがあってもモノがなければ動けない。供給制約もありこの逼迫状態は2024年まで続くと言われている。

産業活動の推移:公共事業が一服

東京オリンピックが2021年に閉幕し、伸び続けていた公共事業が一服か。企業の倒産件数、休廃業・解散件数も減少を続け政府・金融機関の支援が奏功している。自動車業界の不調を受けて鉱工業生産指数の落ち込み回復は鈍い。

 

ただ安倍政権発足の2013年度から20年度の「建設工事受注動態統計」が34.5兆円ほど不正に過大計上されていたようで、これまでのここでの情報も狂っていたかもしれない。安倍政権下のGDPに下駄を履かせようとしたのか。まあ誰も首にならないだろうが。。

 

物価の推移:異常により物価高へ

コロナ禍は通常の不況と異なり供給制約により物資流通が滞り物価高に。原油価格の上昇もあり企業物価指数は高騰。

 

他方、菅総理が推進した携帯電話料金値下げが影響し2021年の消費者物価はむしろ下がる結果となった。ただ2022年に生きているあなたはロシアのウクライナ侵攻により消費者物価も跳ね上がっていることを知っている。

 

石油関連指標の推移:供給制約で価格高騰

コロナ禍によって一端瓦解した石油価格も産油国の減産や供給制約で2021年は品不足に。2022年に生きているあなたが産油国であるロシアへの経済制裁でさらなる石油高になっていることを知っている。

 

金属関連価格指標の推移:軒並み高騰

 

 

消費関連指標の推移:自粛反動とガソリン高騰

2020年の外出自粛などの反動で小売業が反発するとともに、石油高騰が全体を押し上げか。菅政権のGoToトラベルの景気浮揚効果やリベンジ消費としての飲食業復活もあったと思われる。

 

コンビニからスーパーへのシフトが終焉し、百貨店に復活の兆し。

 

 

労働関連人口の推移:非正規がクッション

生産年齢人口(15歳~64歳)が7500万人を割った。

 

コロナ禍のショックにもかかわらず正規雇用に影響はなく大量失業もない。非正規雇用の微調整で日本株式会社が危機に対処したということである。また飲食業・観光業は非正規の大きな雇用主だと思われ復活すれば非正規雇用もすぐ戻るか。

 

コロナ禍もあり久々に失業率が上昇に転じたままとなっているが、いまだ完全雇用水準である。雇用調整助成金などの政府のコロナ禍対策が奏功して失業率は抑えられた状態。元々労働力不足で失業率はかなり低いのである。

 

賃金統計の推移:実質賃金持ち直しへ

2020年のコロナ禍勃発を受け非正規労働が雇止め等調整の対象となった。2021年にはすべての企業に「同一賃金同一労働」が適用となったが効果はまだ定かではないようだ。岸田政権としては物価高騰もあり確かな賃上げを期待したいところだろう。

 

日本経済の雑感のまとめ(コロナ禍沈静化)

2021年には延期された東京オリンピックがほぼ無観客で開催された。アベノミクス推進者にとっては期待していたポパイのほうれん草を失い、非常に残念な結果となった。

 

ところで2021年はコロナ禍慣れで全世界で経済再開・立ち直りの機運となっていた。ただしコロナは終わっていない。コロナ対策や閉店に疲れ切ったというところか。米国のような自由の国で統制的なロックダウンはおそるべき怒りを買う。

 

振り返ってみれば菅政権は携帯電話料金引き下げやGoToトラベルなど一部結果は出したのであるが、陰険な匂いがあったのか支持率は低く10月には岸田政権が発足することとなった。

 

引き出しのない岸田政権とアベノミクス清算

自民党総裁就任前の岸田氏は暗にアベノミクスに潜む新自由主義を否定するような左派寄り路線を掲げていた。いまだに「新しい資本主義」などと言っているが新自由主義傾向の欧米経済誌が警戒しているだけで日本側はしらけている。大胆な方向転換も見えず中身がなさそうだ。財務官僚に「施し」と揶揄される始末。これで財務省の言われるとおりに消費税引き上げにでも踏み切れば岸田政権の出そうとした違いも終わりである。

 

しかし問題は、何年も続けられ結果の出なかったアベノミクスの見直しである。まあ見直ししたくても数値が改ざんされて正しい検証も難しいかもしれないが。。

 

アベノミクスはリフレの資産膨張政策で高級車なども安倍政権発足前より売れている。高額所得者も増えた。アベノミクスの効果がゼロだったわけではない。セカンドハウスを購入し貸家にする金持ちは感謝しているはずである。

 

ただ低成長は続き、賃金も低迷し「持たざる者」が貧しくなり富裕層からのトリクルダウン効果もなかった。相変わらずワンオペ死亡事故とか。もっともこの流れは安倍氏のアベノミクスというよりも小泉政権以降の新自由主義経済の流れではあるが。テレビやマスコミは文化人気取り芸人を含めこの流れの輩でごった返している。しかし例えば欧米のジェントリフィケーションはスラムを再開発して不動産を投資家にとってリターンのあるものとし高級レストランや高級ブティックが立ち並び新自由主義的に成功したものとしたが、その代償としてそこの住人であった低所得者を追い出してホームレスにしてしまっている。日本がこんなものを目指してどうする。

 

ただ今回のコロナ禍が貧富の拡大の流れをさらに助長させる恐れがある。またこのまま中流の負担をどんどん重くしていけばますます中流が解体されてしまいかねない。

 

そこでこの不均衡を是正するには、アベノミクスで儲けた者に課税、すなわち金融所得課税・資産所得課税すべきなのである。米国バイデン政権も富裕層増税を打ち出している。安倍派の重鎮である細田衆院議長の友人には金持ちの社長が多いそうだからそこに課税する。それこそが岸田首相の言う「分配」になる。ただ岸田首相は脅された後で金融所得課税を取り下げている。それでいて検討放棄したわけでもないという。そもそもアベノミクスの背後にある新自由主義自体が破綻しているのである。「給料は少ないけどみんなが投資で儲けよう!」と言っている場合ではない。
 

新冷戦と新自由主義の終焉?

今後、ウクライナ侵攻を発端として新冷戦状態に突入したり、米国などでナショナリズムに基づく保護主義が浸透すれば、それこそグローバル経済を念頭にした金融万能の新自由主義は破綻するのである。

 

コロナ禍の閉塞、供給制約、戦争による物資流通逼迫は、マネーよりモノが強いことを露呈している。そしてマネーよりもモノの価値が高くなればインフレになる。モノのないギリシャやスリランカで「規制緩和で起業促進!」と言ってもどうにもならない。また世界経済の行方は産油国が増産するか減産するか、穀物の輸出入ができるかどうかというモノの動向にかかっていたりする。

 

アベノミクス日銀の円安政策が国際物資の輸入価格高騰に輪をかける結果となっている。物価高を上回る賃上げがなければあなたは前年より確実に貧しくなる。物価と賃金は追いかけっこだ。

 

もっとも、アベノミクスの清算は自民党最大派閥の親分である安倍元首相が許すわけがないのだが、2022年に生きているあなたは安倍晋三がもう生きていないことを知っている。安倍暗殺は統一教会に恨みを持つ意外な犯人によるものであった。冷戦においてレーガンも含め多くの保守が統一教会を利用してきたのである。反共で世界の保守を繋いできた統一教会こそが安倍の言う「戦後レジーム」=冷戦レジームの一つであった。嫌韓の安倍信者達は今何を思っているのか?文鮮明に日本人が搾取されることに協力してきた岸やその孫の安倍、自民党そして維新までも。文鮮明は日本人には植民地支配の罪があるからと言って特にしっかり搾取したらしい。愛国心一杯の杉田水脈に「そんな文鮮明どうですか?」と聞いてその逃走速度をスピードメーターで測ってみたい。

 

安倍暗殺後に突然に五輪関係汚職が摘発されたりしている。またこのタイミングでの竹中平蔵のパソナ会長退任も印象的である。潮目が変わったのか?安倍の国葬は電通案件か?

 

いずれにせよ安倍氏がいなくなったことでアベノミクスの清算は不可能ではなくなった。

 

戦後に庶民の生活水準が上がったのは輸出ではなく石橋湛山が唱え池田勇人が実現した庶民大減税による消費拡大もある。現在のうまくいかないことが長期実証済みのアベノミクス・新自由主義からの脱却が必要だ。

 

上場ゴールのような新自由主義の起業で豊かになるのは創業者だけだ。若者よ、ベンチャー企業を立ち上げてもいいが、ベンチャー企業の従業員になるもんじゃないよ。起業家もほとんど日本経済の足しにならないことはもうわかっているし最近はホリエモンも冴えない。前澤社長の宇宙飛行に何ら「あこがれます!立志伝中の人物!」の声が上がっていないこともわかっているはずだ。

 

アメリカの自己矛盾とかんしゃく玉

いわゆる「小さな政府」を理想とする米国の自由放任経済が冷戦後のグローバル経済の標準となっていた。

 

パナマ文書パンドラ文書などで世界の富豪の資金がタックスヘイブンに集まっていることも国家を搾取するが如き自己実現野郎の世界闊歩の一例である。またハリウッドやユニクロや様々な国際企業が中国に媚びているのはグローバル資本主義なのである。日本が誇りとするトヨタが中国市場を捨てるという話も聞いたことがない。植民地や資源の獲得戦争の時代に後には冷戦を介して多国籍企業による市場獲得競争が成立したわけだ。

 

ところで一世を風靡したトランプ保守はグローバリズムを嫌う「アメリカ・ファースト」なのだが、それは暗に米国が切り開いたこの国際資本主義を否定している。理由が何であれ国家が関税戦争を仕掛け、自国産業を保護しテコ入れし、はたまた鎖国すれば新自由主義の理念や市場万能論は崩壊する。もっともトランプ保守は連邦議会襲撃事件がそうであるようにパラノイア集団であり、アメリカ型モデルがうまくいかないことへの癇癪のようなものである。

 

2021年の米軍アフガン撤退後にはタリバンが親米政権を倒してしまった。20年もの長期戦争の結果がこれか?米国が兵器を供与し訓練を施した30万の国軍が6万程度のタリバンを前に消えてなくなってしまった。絶対に正しいはずのアメリカの理想がうまくいかない、そんなはずはないのに、という苛立ちである。

 

実は日本、韓国、中国いずれも市場原理主義というより国策金融・産業統制・官僚による割当や優遇で経済を発展させたが、米国の保守の重鎮も学者も絶対にそんな計画経済は見たくもないし認めたくもない。米国の巨大な国防産業は税金を注入した国策事業体で大学もこれにつながっているがそれには触れたくない。保守自由放任主義の牙城である南部諸州こそが国防産業や宇宙開発などで巨額の国費を受け取っているがそれには触れたくない。

 

米国保守ご意見番は自由主義を標榜しながらすさまじい自己矛盾に突入している。

「インフレだから政府は何とかしろ!ただし小さな政府だから何もするな!」

「資本に規制するな!ただし海外生産を止めさせろ!補助金で補填だ!」

「マスクを強制するな!マスク着用禁止を学校に強制する!うおおお自由!」


日本としては虎の威を借りる狐のように「そんなことより、さあ一緒に中国と対決しましょう」と言いたいところなのだろうが、米国の内部分裂は南北戦争前夜のように激しく保守とリベラルの「文化戦争」の真っ最中で、もうこれはハッピーエンドの米国ではない。こういう苛立ちがますます「レイプされても堕胎してはいけない、神の計画だから」というように米国保守を先鋭化させる。そして多民族多人種国家である米国ではナショナリズムは素直にはいかず白人ナショナリズムや黒人ナショナリズムなどの形を取る。

 

白人至上主義寄りの極右米国議員が「白人キリスト教国家を!ただし日本人だけは好きです」とは言ってくれないだろう。日本ではあまり報道されないが日系人もアジア系に対する暴力の対象となっている。「西欧文明を非西欧人から守れ!」という声が米国にも欧州にもある。欧米極右のソーシャルメディアでは人種戦争などのパラノイアがたちこめている。日本としては「え?日本人は名誉白人じゃなかったの?・・・あれっ?」っとなる。それはまさに住民投票不正事件で晩節を汚した高須には理解できないことである。

 

こうした米国の精神的混乱の中で、そもそもバイデン政権が頼りになるのか?1期で終わりか?不安定で不当で勝者総取りのグローバル金融資本主義より、ナショナリズムの色彩のある冷戦構造になっていくのか?また戦時体制というのは社会主義なのである。

 

いずれにせよ、ロシアのウクライナ侵攻で世界は昨日を維持できなくなり、新自由主義も終わりではないか?

 

まあ日本の新自由主義は寡占産業秩序、国策企業や忖度・改ざん、終身雇用サラリーマンを守った上でのインチキだから終わってもいいね。そもそも「引き抜き禁止、独立阻止」の芸能事務所のどこにも「自由な個人」などない囲い込み商法だし。テレビ局は開局以来新規参入なしという守られた電波利権のぬるま湯。統一教会に知らん顔の国家公安委員会。そして大企業などの強者にたっぷり福祉してやり、弱者の福祉を削減して底辺への競争という自由を与えれば日本の将来は暗い。