戸籍上は存在するが、実際にはもうすでに亡くなっているという「高齢者不在問題」。


その背景には、様々な要因があることは言うまでもない。例えば、個人情報保護法の影響や家族形態の変化など。その一方で戸籍そのものの在り方についても問われはじめている。


そこで、意外と知られていない「戸籍」について、その歴史的変遷も含めて、何回かに分けて少し書いてみることにする。


まずは戸籍の種類から。大きく以下の通りとなっている。



戸籍

謄本



戸籍謄本は、「夫婦」「子」を単位として構成されている。仮に子が結婚した場合には、新たに子夫婦の一方を筆頭者とする戸籍を作り、それまでの親の戸籍からは抜けることになる(ちなみに、戸籍謄本は「現在戸籍」とも呼ばれる)。






除籍

謄本



戸籍に記載されている人が結婚や死亡、転籍などで全員いなくなった場合、その戸籍は除籍謄本となる。例えば、夫婦と子が入っている戸籍において子が全員結婚し、戸籍から抜け、その後夫婦が死亡した場合にはその戸籍に入っている人がいなくなった状態になる。そうするとその戸籍は除籍謄本となる。

ちなみに、最も古い除籍謄本には江戸幕末に生まれ、明治・大正時代に亡くなった先祖の記録が記載されていることが少なくない。昨今の高齢者不在問題の対象もこのあたりの時代となっている場合が多い。さらに江戸時代は住居の移動が容易に許されなかったという事情があるため、その記録から江戸時代の先祖地を概ね特定することが可能となる。

ところで、戸籍法では除籍謄本の保存年限が150年と定められており、 年々処分されつつあるのが現状。家父長制の除籍謄本が一部処分されると、 本籍地や親族関係が不明になることがあり、貴重な歴史が失われてしまうことになる。






改製原戸籍謄本


戸籍の様式は法令の改正によってこれまで幾度か変更されてきたが、その変更される前の戸籍のことを総称して改製原戸籍(かいせいはらこせき)と呼ぶ。
戸籍謄本は夫婦・子という単位で記載しているのに対し、昭和32年(1957年)より前の戸籍すなわち改製原戸籍は、江戸時代の家父長制のもとで作成されているため、本家・分家も含めて「家」全体が記載されており、親族情報を豊富に把握することができる。

ところで、戸籍様式の変更の際、戸籍に記載のある人は新しい戸籍にそのまま移行されるのだが、その時点ですでに亡くなっている方や婚姻や養子縁組などでその戸籍から除籍になっている人の情報は新しい戸籍に移行されない。すなわち、様式の変更の際に記録されなかった情報を確認するために改製原戸籍は重要な戸籍となるのである。 



 上記の戸籍類にはすべて「謄本」と「妙本」がそれぞれ存在。「謄本」というのは『全文写し』のもので、「抄本」は『必要部分写し』となる。