自らを〝三文役者〟と名乗り、女と酒とジャズとミステリー小説を愛し続けた名バイプレイヤー・殿山泰司。



1970年代の日本のフリージャズの動向を知りたければ、殿山泰司の本を読む事をお勧めします。特に本作を読むと登場するジャズミュージシャン、高柳昌行、吉沢元治らの音に対する想像が膨らみ、CDやレコードを買いたくなります。まさに天衣無縫な文章でジャズとミステリに溺れる日々を活写する名エッセイです。最後に単行本初版の著者あとがきの一部を抜粋します。
 
「JAMは、あの食べるジャムと同じでありますが、ジャズに関係した言葉でもあり、雑踏、混雑、ぎゅう詰め、という意味もありますので、ボクといたしましてはこの日記に、何もかもJAMJAMのぎゅうぎゅう詰めにして、と意図したのですが、それが成功したかどうかは自分ではわかりません。不思議なことですが自分のことは自分ではよくワカラナイものですね。」殿山泰司