局長新井です。少し長くなりますね。
私は夏の間「日米学生会議(JASC)」という会議に参加していました。
これは日本で最古の学生会議で、なんと満州事変あたりから生まれたんですよ
以後第二次大戦中の空白を経て、第62回まで続いているのです。
今年のテーマは~世界の問題を私たちへの課題へ~
全部で7つの分科会があり、私は「地域再生分科会」で活動しました。
参加を決めたひとつの理由は、昨年の国際協力シンポジウムのための事前勉強として佐久総合病院に訪れた経験がきっかけです。
フィリピンの医療と比較する目的で国内の地域医療をみよう!ということで行った実習。
地域医療の先駆的病院として日本をひっぱってきた佐久での経験は衝撃的でした。
そこで出会った先生が色平先生。そして研修医の水本先生。
JASCのOBだった水本先生に聞いた言葉。
それは、
「僕は地域医療には興味がない。意味がないから。」
この言葉は本当に衝撃的で私の心にダイレクトに刺さりました。
そして水本先生は続けました。
「地域の活性化に興味があるんだ」と。
いくら目の前の人たちを治しても、村が廃れてしまえばその人たちの守ってきた家、伝統、文化、そういうものがすべて途絶えてしまう。それがどうにもやるせない、と。
先生の言葉は地域医療に携わる人々を否定する言葉では決してありませんでした。
地域医療は地域住民の健康を守る為にあるものだけれど、まず地域自体を元気にしなくては住民の健康も守れない。
そういうことなんだと思います。
それから、地域って何だろう?
地域を元気にするってどういうことだろう?って考え始めました。
そして色平先生にはムラ社会に入ることについて教えてもらいました。
「言葉の綾に入ること」
「村人の生き様に隠された歴史をみること」
綿々と続き、息づくものたちを守るためにはどうしたらいいのか。
それから「地域」というものに興味をもつようになりました。
日米学生会議では「地域再生」について本当に多くを学びました。
現総務大臣の片山善博先生に会ってリーダーシップの重要性を学んだり、
中山間地域の活性化の専門家である小田切徳美先生に会って農村の可能性を探ったり、
長野県へのFTでは、先駆的なまちづくりにとりくむ小布施町に行き町長さんからまちづくりへの情熱に触れたり、
南相木村で機織をするちづさんの、村で暮らすという生き様を目の当たりにしたり、
(ちづさんには局員もお世話になりました)
農村六起コンペティションを見学して六次産業の重要性を感じたり、
もう書ききれないくらい、いろいろな人から地域に関することをたくさんたくさん教えてもらいました。
そのどれにも共通することがありました。
それは「人」という財産でした。
「人」が情熱を持ってその土地を愛し、大切に守ろうとすれば、地域は必ず元気になる。
それを強く感じることとなりました。
地域医療に必要なのは「人」という財産=human capital だと、多くの人から聞きました。
そうなのかもしれません。
誰かが情熱を持ってそれを続ければ、そして周りにその情熱を支える人が現れれば、地域はいつか必ず元気になるのかもしれません。
地域住民の健康を支えるのは地域医療かもしれませんが、
主人公はいつでも、そこに住む地域住民なのです。
地域を元気にするのも、守るのも、そこに住む人たちが主役。
ならば私たちも地域住民として、積極的に地域に参加していく必要があるのでしょう。
みなさんも「地域」という観点から、自分のルーツを探してみては?
長くなりましたね。
読んでくださってありがとうございました。
日米学生会議
色平哲郎先生
http://www.hinocatv.ne.jp/~micc/Iro/top.htm
水本憲治先生
http://square.umin.ac.jp/kj/news/index.html
片山善博先生
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E5%B1%B1%E5%96%84%E5%8D%9A
小田切徳美先生
http://www2.hokurikutei.or.jp/lib/shiza/shiza09/vol22/topic2/
小布施町
http://www.town.obuse.nagano.jp/
倉根ちづさん
http://www.the-shinshu.com/s_edition/s_edition_130/s_130.html
農村六起コンペティション