思いの残った家
先日、とある初老のご夫婦の鑑定依頼をいただきました。
ご家族のことや経営されている賃貸アパートのことなど、あらかじめご相談内容はお聞きしていたので、それらのことを一通りお話してから、他にお聞きなりたいことはありますか、とお尋ねしました。
すると、もう築40年くらいになる自宅を新しく立て直したいのだが・・・
というお話。
お子さん達も結婚したり就職したりで家を出ていったし、夫婦二人には今の家は大きすぎるし、何しろ築年数も経っているから、今の家は取り壊して新しく耐震の家を建てたいとのこと。
そこで易を立ててみました。
すると、まず新しく家を建てることについては
澤水困 六三
方針が、
火山旅 初六
と、易は良い返事をしてくれません。
そこで時期も考えて、来年が良い、再来年が良い、3年後が良いと易を出してみましたが、どれも良い返事をしてくれない。
少々困ってしまい、今のまま住む、新築する、リフォームする、という3つの占的で易を立てたところ、新築するという占的に対して、
地澤臨 六三
という、とても激しい易が出ました。
地澤臨六三には
「甘んじて臨む。利することなし。既にこれを憂れば咎なし」
という言葉がついています。
つまり、お前は考え方が甘いから、何も良いことが無い。中止すれば悪いことは無いだろう、という意味。
師匠からは、「これで失敗したら監獄行きだ」と説明されたのをはっきりと覚えています。
なぜこれだけ激しい易で新築を反対するのだろうと思い、ふと頭に浮かんだ疑問をクライアントさんに聞いてみました。
「このご自宅はご主人が建てられたのですか?」
すると、「いえ、私の親父が建てたものです」とのお答え。
そこで私は、
「これはあくまでも私の推測でしかありませんが、このお家はご主人のお父様の強い思いが残っているように思われます。だからこそ、これだけ強い易で新しく建て替えることを反対するのでしょう」と話しました。
この話を聞いたクライアントさんは、
「そうかもしれません。家が大変な時に、大変な思いをして親父が建てた家なんですよ。いや、分かりました。では、耐震とか少しリフォームするだけにしておきます」とおっしゃってくれました。
こういったことは目に見えないことではあるし、このご自宅に対するご主人のお父様のお気持ちがどのようなものだったかなどは確かめようがありません。
しかし、目に見えないこともさりげなく教示してくれることも、これまで度々経験しています。
いつか、そんなお話の記事を書くこともあるかもしれません。