星と環境
私が鑑定に使う算命学では、陰占(いんせん)という、十干十二支を使う方法と、これを星に変換する陽占(ようせん)という方法の2種をメインに使いますが、同じ生年月日に生まれれば当然ながら、陰占も陽占も同じものが配置されます。
が、実際の人物を見てみると、同じ生年月日、あるいは同じ星を持っていたとしても、全く雰囲気や性格が異なる場合は、よくあります。
算命学では、運命というのは、宿命と環境の接点から生じる、と言われており、たとえ同じ星を持っていたとしても、違う環境に育てば、その星の違う一面が出てくると考えられます。
先日、ある初老の女性からの鑑定依頼を受けたのですが、幾つかのご相談の後、こんな話を切り出されました。
「先生、実はわたし、離婚したいんです。というか、もう決意してるんです」とのこと。
この方のご主人は5年前に定年退職されて以来、ずっと働かずに好きなことをして暮らしてらっしゃるそうです。
それはそれで構わないんですが、と彼女は言うのです。
これまでの積み重ねもあり、もう耐えられないんです。以前、私が入院した際、私の通帳と印鑑を渡して、ここから生活費や治療費をまかなってもらったのですが、退院して銀行に行ってみたら、私の貯金が全部引き出されていて、残高が全く無くなっていました。
親(ご主人の)から受け継いだ土地やアパートもけっこうあって、義母から「あなたがしっかり管理してね」と言われて権利書や印鑑も私が管理していたのですが、これもなんだかんだと理由をつけて出させて、結局お金にして自分の趣味ややりたいこと、身分不相応な車などを買ってしまったんです。
etc.etc
いろいろなご主人に対する愚痴が次から次へと出てきました。
そこで、ご主人の生年月日を聞いて算命学でこのご主人の宿命を算出してみると、中心には貫索星(かんさくせい)という星がありました。
それで私は、この初老の女性にこんな話をしました。
ご主人は中心に貫索星という星を持って生まれてらっしゃいます。この貫索星というのは、陽の守備本能と言って、何かを守る力が強い星なんです。それも一人で守る。一人で守らなければならないため、どうしても頑固になりますし、要領は良く無い。
また、貫索星は樹木も象徴しています。時間をかけて、大きく太い幹を持った大樹になるべき星なんです。
しかし、あなた様のお話を聞いていると、貫索星が本来持っているような頑固だけど我慢強い面が全く見えてきません。
ということは、ご主人はかなり裕福な家に生まれ育ってこられて、何でも好き放題にやってこられたのではありませんか? と質問しました。
と、この初老の女性は、
おっしゃる通りです。この人(ご主人)は戦後すぐに生まれたのですが、生まれてすぐに母が病気で亡くなりました。それで主人の父は後妻さんを迎えたのですが、後妻さんが来るとすぐに、父も病気で他界してしまいました。
ですから、主人は実の両親のことはほとんど知らないんです。が、後妻に入った母は、周囲の親戚からの干渉もあり、なんでも好きなものを与えて育てたそうです。主人の好物の食事を与え、好きなものを買い与え、言われるままだったそうです。
主人の父は製薬会社の経営者だったもので、裕福な生活が出来たようですが、あの戦後すぐの時代に子供用の革靴まで揃え、この革靴は私の子供が小さい時に履かせたくらい丈夫なしっかりした作りでした。
今、先生のお話を聞いて、長年の疑問がやっと晴れました。主人はそういう星を持って生まれたにも関わらず、その星を使わないままここまで来てしまったのですね。
と話してくれました。
貫索星は陽の守備本能が本来の持ち味。何かを一人で守らなければいけません。が、一人で守るためには人の意見を一々聞いていられないのです。
自然と頑固になりますし、我慢強い性格のはずです。
が、我慢を強いられる環境を、特に子供の頃に経験していないと、我慢出来ない人間になってしまいます。
こういった、星本来の姿、星本来の力が発揮出来ていない様子を「星が陰転(いんてん)する」と表現しますが、このご主人の場合、まさに貫索星が陰転している状態なのではないでしょうか。
算命学の場合は、四柱推命と違い生時を使わないだけ使う星の数も少なくなりますが、馴れてるとそれなりに色々なことが見えて来るのが面白いですね。
私も、陰転した貫索星の例題はほとんど見たことが無かったので、これは良い経験になりました。
皆さんも、星の表面的な意味合いだけでなく、実際の人物に照らし合わせて考えてみてはいかがですか?
星の持つ奥深さもだんだんと見えてきますよ。