
厄年という言葉を耳にすると、多くの人は「本厄」の年を思い浮かべることでしょう。しかし実は、「本厄よりも注意が必要」とされているのが、その翌年にあたる「後厄」の時期です。後厄は、災難が残る“残り香”のような存在とも言われており、本厄で蓄積された負のエネルギーが影響を及ぼすタイミングとも考えられています。
特に後厄の年には、健康の不調や人間関係の崩壊、仕事でのトラブルなど、身の回りに突然降りかかるような災難が多く報告されています。「本厄を乗り越えたから大丈夫」と油断していた矢先に、思わぬ形で足元をすくわれる人も少なくありません。なぜ後厄が恐れられているのか?そして、どうすれば無事にこの時期を乗り越えられるのか?
本記事では、後厄の本質に迫りつつ、実際に経験した人の事例を交えながら、後厄の怖さとその乗り越え方を徹底的に解説していきます。自分や身近な人が後厄を迎えるなら、ぜひ最後まで読んで、穏やかな一年を過ごすためのヒントを掴んでください。
後厄とは何か?本厄明けに訪れる“見えない危機”
日本において「厄年」とは、人生の節目にあたる年齢で災いが起こりやすいとされる期間を指します。特に男性は42歳、女性は33歳(数え年)が「大厄」とされ、身体的・精神的・社会的な変化が多く、心身のバランスを崩しやすい時期と考えられています。そして、この大厄を中心に、前年を「前厄」、翌年を「後厄」と呼び、3年間を通して慎重な生活が推奨されるのです。
後厄は一見すると「もう終わった厄の余韻」として軽視されがちですが、実際にはこの時期に体調不良や人間関係の不和、思わぬ事故などに見舞われたという声が多く上がっています。なぜなら、本厄で受けたストレスや負担が身体や精神に徐々に表れ出すタイミングが、この後厄の時期だからです。 さらに、後厄は「運気の底から再び上がる準備段階」とも言われますが、それは同時に「不安定で揺らぎやすい時期」であることも意味します。だからこそ、厄が明けたと安心して日常を雑に扱ってしまうと、その隙をつくようにトラブルがやってくるのです。
なぜ後厄が“本当の厄”と言われるのか
多くの神社関係者や霊能者の間で、「後厄こそが最も注意すべき」とされる理由があります。それは、後厄に入ると人は安心しがちになるため、自己管理や対人関係の配慮が疎かになりやすいからです。つまり、厄そのものよりも「油断する心」が一番の敵なのです。
また、精神的な緩みは判断力の低下につながり、つい無理をしてしまったり、強引に物事を進めようとしてトラブルに発展することもあります。たとえば、「もう厄は明けたから」と転職を急いだ結果、人間関係が悪化しストレスで体を壊す、といった実例も少なくありません。
よって、後厄は「自ら招いてしまう厄年」とも言い換えられます。外から降ってくる災いというより、内側から生まれる油断や焦りが引き金になるケースが多いのです。
後厄の年齢と対象者
後厄は基本的に、本厄の翌年に該当する年齢です。
一般的には以下のように言われています。
- 男性:前厄(41歳)→本厄(42歳)→後厄(43歳)
- 女性:前厄(32歳)→本厄(33歳)→後厄(34歳)
※すべて数え年
しかし、厄年の年齢は「数え年」で計算されるため、満年齢で見ると実際に迎える年齢とずれることがあります。また、地域や宗教・宗派によって細かな差異があるため、正確な年齢を確認したい場合は、近くの神社で厄年表を確認するのが確実です。
特に女性の場合、30代前半は結婚・出産・育児など人生の転機が多く訪れる時期であり、心身ともに疲弊しやすい年齢です。したがって、後厄の年は慎重に、そして自分をいたわる姿勢が必要不可欠です。
後厄に起こりやすい5つのトラブル
体調不良や病気が急に増える理由
後厄の時期には、体調不良や予期せぬ病気に見舞われる人が多く見受けられます。これは、本厄の間に蓄積されたストレスや無理が、後厄になって一気に噴き出すためだと考えられています。したがって、「厄が明けたから」と気を抜いたタイミングで、慢性疾患が悪化したり、急な体調変化に見舞われるケースが少なくないのです。
たとえば、40代の男性が本厄の年に多忙な仕事を乗り切り、後厄に入って少し余裕ができた矢先、心筋梗塞で倒れたという例があります。このように、身体の疲労や不調は表面化するまで時間がかかるため、「本厄の影響が後厄で出た」と言っても過言ではありません。
また、女性の場合はホルモンバランスの変化が大きく関与していることもあり、特に30代半ばは婦人科系の不調や精神的な波が大きくなる傾向があります。この時期に無理をしてしまうと、回復に時間がかかりやすく、健康を取り戻すのが困難になることもあるのです。
だからこそ、後厄の年には定期的な健康診断の受診や、日々の生活習慣の見直しが重要になります。栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、そして適度な運動。これらを徹底することが、体調不良を未然に防ぐ最善の方法です。
人間関係のもつれや家庭内不和
後厄では、人間関係のトラブルにも注意が必要です。これは、本人の精神的な変化や態度の変化が、周囲に不安や誤解を与えることが一因です。たとえば、後厄に入った女性が、急に感情の起伏が激しくなり、家族やパートナーと衝突が増えたという声も少なくありません。
また、本厄の間に我慢していた不満やストレスが、後厄になってから爆発するというケースもあります。たとえば、夫婦間で長年抱えていた価値観のズレが表面化し、離婚話にまで発展したり、職場での関係悪化がきっかけで退職に追い込まれるといった事例も報告されています。
後厄は「心の整理の時期」とも言われます。だからこそ、このタイミングで人間関係を見直すことは大切ですが、同時に感情的にならず冷静に対処する力が求められます。必要であれば第三者の介入やカウンセリングを受けることも、有効な選択肢のひとつです。
仕事上のトラブルや金銭問題
後厄の時期に、仕事のトラブルや金銭的な問題に直面する人も多く存在します。これは、転職や起業といった人生の大きな選択をこの年に行う人が多いことが一因とされています。とくに本厄が終わった安心感から、勢いだけで物事を進めてしまうことで、思わぬ失敗を招くことがあります。
たとえば、40代男性が後厄の年に転職を決意し、新しい職場へ移ったものの、人間関係が合わず短期間で退職してしまったという事例。収入が途絶え、貯金を切り崩す生活が続いた結果、家庭にも大きな負担がかかるようになったそうです。
また、投資や副業などの「金儲けの話」に飛びついたことで、詐欺に遭ったという話も後を絶ちません。この時期は冷静な判断力が鈍る傾向にあるため、重要な契約や大きな買い物、転職などは慎重すぎるほど慎重に検討する必要があります。
後厄を無事に過ごすためには、「今は無理をすべき時ではない」と心に留めておくこと。そして、目の前の安定を大切にし、焦らず着実に生活を整えていくことが何よりの対策なのです。
実際に起きた後厄のトラブル事例
健康を軽視した結果…倒れたサラリーマンの体験
東京都在住のTさん(当時43歳・男性)は、本厄の年を無事に過ごしたことで安心していた一人でした。本厄の間は健康面にも気を遣い、食生活の改善や軽い運動も取り入れていたと言います。ところが、後厄に入ってから「もう大丈夫だろう」と気が緩み、深夜残業や飲酒の習慣が戻ってしまいました。
するとある朝、通勤中にめまいを感じ、そのまま駅のホームで倒れてしまいます。診断は「過労による自律神経失調症」。しかも、内臓にもかなりのダメージが蓄積しており、しばらく入院が必要とされる状況でした。
Tさんは後に、「本厄が終わったことで安心し、ケアを怠っていた自分が悪かった」と語っています。後厄の怖さは、見えない疲労やストレスが限界を超える形で現れるという点にあります。本人が気づいていないだけで、体は本厄のダメージを抱えたままのことが多いのです。
本厄を乗り越えたのに離婚の危機に直面した女性
千葉県の主婦・Mさん(当時34歳・女性)は、本厄の間に長女を出産するという大きなイベントを経験しました。夫との関係も良好で、本厄の終わりとともに平穏な日常が戻ると信じていたそうです。
ところが、後厄に入った途端、育児によるストレスと産後うつが重なり、夫婦の会話が激減。小さな口論が増え、ついには「離婚」という言葉が出るほど関係が悪化してしまいました。
後にMさんは、友人の勧めでカウンセリングを受けたことで精神的なバランスを取り戻し、夫との関係も徐々に修復していったといいます。彼女が痛感したのは、「後厄は“外的なトラブル”ではなく、自分の内面との戦いでもある」ということでした。
人間関係のもつれは、一見すると環境のせいに見えがちですが、実は自分の感情や余裕のなさが原因になっていることも多く、後厄はその“心のゆがみ”が表出するタイミングでもあるのです。
後厄に転職して失敗したケース
神奈川県のSさん(当時43歳・男性)は、長年勤めた会社に不満を抱えており、後厄の年に一念発起して転職を決意しました。もともと本厄の間に転職を考えていたものの、「今は動かないほうが良い」と周囲に止められ、一年我慢したのです。
そして、後厄に入って「今こそチャンスだ」と思い、求人情報を精査せずに条件面だけで転職を決定。しかし新しい職場では業務内容が聞いていた話と違い、人間関係もギスギスしていて、半年も経たないうちに心が折れてしまいます。
最終的には退職し、前職よりも収入も安定性も下がった職場に再就職せざるを得なくなりました。Sさんは「あのとき、焦らなければよかった」と悔やみながら、「後厄こそ、一度立ち止まって冷静に考えるべきだった」と語っています。
この事例から学べるのは、「後厄での決断は一歩引いて見ることの大切さ」です。周囲の声に耳を傾ける、第三者の意見を聞くなど、自分ひとりで突っ走らないことが、後厄の年を穏やかに過ごすコツなのかもしれません。
後厄を穏やかに乗り越える5つの方法
神社での厄除けと日常の心がけ
後厄を迎えたら、まずおすすめしたいのが「厄除け祈願」です。多くの神社では後厄の年にも厄除けの祈祷を受けることができ、気持ちをリセットするきっかけになります。特に年始や誕生日など節目のタイミングで訪れることで、1年を無事に過ごす覚悟を新たにする人も多いです。
とはいえ、祈願をすればすべてが解決するわけではありません。神社での厄除けはあくまで“心の支え”であり、日々の暮らしの中で意識を変えることが本当の厄除けにつながります。たとえば、早寝早起き、挨拶を欠かさない、感謝の気持ちを持つといった基本的な生活態度が、意外なほどトラブルを遠ざけてくれるのです。
また、神社でいただけるお守りを持ち歩いたり、定期的に参拝することで精神的な安心を得ることもできます。「守られている」という気持ちが、余裕や冷静さを育ててくれるのです。
健康第一。定期検診と生活習慣の見直し
後厄で最も大切なのは「自分の身体を知ること」です。特に本厄の間に無理をしてきた人ほど、その反動が出るのがこの時期。したがって、定期検診を積極的に受けることが大切です。血液検査や内臓チェックだけでなく、歯科検診や眼科なども忘れずに受診しましょう。
さらに、生活習慣の見直しも欠かせません。後厄は生活リズムを整えるチャンスでもあります。食事はバランスよく、特にビタミンやミネラルを意識して摂取しましょう。また、ウォーキングや軽いストレッチを習慣づけることで、体力がつくと同時に心の余裕も生まれます。
加えて、スマホやPCの使用時間が長くなりがちな現代において、睡眠の質を確保することも重要です。夜更かしは免疫力の低下を招き、ストレスにもつながるため、後厄の年は「休むこと」にも意識を向けてください。
感情の波に呑まれないためのメンタルケア
後厄は感情が不安定になりやすい時期です。些細なことで落ち込んだり、怒りっぽくなったりする人も少なくありません。だからこそ、日常の中で「心のメンテナンス」を行うことがとても大切です。
まず第一におすすめなのは、「話すこと」。信頼できる友人や家族に気持ちを打ち明けるだけで、精神的な負荷は大きく軽減されます。誰かに話すことで客観的な視点が得られ、問題が整理されることもあります。
次に有効なのが「書くこと」。日記やメモに思ったことを書き出すことで、心のモヤモヤがクリアになる効果があります。特に感謝したことやうれしかった出来事を記録すると、ポジティブな思考が育ちやすくなります。
また、瞑想やヨガなどのリラクゼーションもメンタルの安定に効果的です。忙しい中でも1日数分、自分だけの“静かな時間”を持つことで、感情の波に呑まれず、穏やかな心を取り戻すことができるのです。
「後厄なんて迷信」は本当か?現代的な見方と考察
科学的に見る厄年と後厄の真相
「厄年」や「後厄」は、日本の伝統的な文化の一部として長く信じられてきました。しかし、現代の科学的観点から見ると、「年齢によって災いが降りかかる」といった根拠は見つかっていません。実際、医療や心理学の立場からは「年齢的に体や心の変化が多く、トラブルが起こりやすくなるのは自然なこと」と説明されることが多いです。
たとえば、男性の42歳前後、女性の33歳前後は、仕事の責任が重くなり、家庭でも大きな役割を担う時期にあたります。つまり、生活環境やストレスが増える年齢であるため、病気や事故、対人トラブルが表面化しやすくなるのです。これを「厄」と呼んで注意を促すというのは、一種の社会的・文化的な知恵とも言えます。
また、後厄も同様で、本人が「厄が明けた」と油断することで、無理をしやすくなったり、判断が甘くなったりする傾向が見られます。これは心理学的な“バイアス”とも言え、意識が緩むことで実際にリスクが高まってしまうという現象です。
このように、「迷信」と片付けるのではなく、人間の成長過程やライフイベントとの関係性を考えると、厄年や後厄の存在は決して無意味ではないと理解できます。
文化・伝統から読み解く“厄の本質”
日本における厄年の概念は、古来より「人生の節目に気をつけよう」という意味合いで定着してきました。奈良時代にはすでに厄除けの風習があったとされており、それは宗教や風土、民間信仰と密接に結びついています。
とくに神社では、厄除けの儀式を通じて「穢れ(けがれ)」を祓い、心身の浄化を促すという考え方が根底にあります。これは単なる迷信というより、人生を丁寧に、慎重に過ごすための“生活の知恵”とも言えるでしょう。
また、年齢に応じて人の行動や考え方が変化することを古代人は敏感に感じ取っており、社会的・肉体的な変化を“厄”として表現することで注意を促していたのです。後厄は、こうした伝統の延長線上にあり、「一度立ち止まって自分を見つめ直す時間」を与えてくれる文化的ツールと捉えることもできます。
心の持ちようがすべてを変える
後厄の時期に最も大切なのは、実は「心の持ちよう」です。科学的な根拠があるかどうかよりも、自分がその年をどう受け止め、どう行動するかが重要なのです。たとえば、「後厄だからこそ、慎重に過ごそう」と意識することで、自然と行動や判断に余裕が生まれ、結果としてトラブルを回避できるケースが多々あります。
逆に、「後厄なんて信じない」と高を括っていると、不注意や油断が重なり、本当に問題が起こってしまうこともあります。つまり、信じるか否かよりも、「自分を大切にするタイミング」として後厄を活用できるかが鍵なのです。
心の持ちよう一つで、見える世界は大きく変わります。後厄は恐れるものではなく、自分を整えるきっかけとして捉えれば、その一年が充実したものになる可能性は十分にあるのです。
まとめ
後厄は、「本厄を無事に終えたからもう大丈夫」と思っている人にとって、思わぬ落とし穴となる年です。健康、仕事、人間関係、そして精神面において、さまざまな問題が表面化しやすい時期であることは、多くの実例が示しています。これは単なる偶然ではなく、厄年という日本古来の知恵が、現代にもなお生き続けている証とも言えるでしょう。
本記事で紹介したように、後厄は「見えない危機」に満ちた時期ではあるものの、それは決して恐れるだけの存在ではありません。むしろ、「今の自分を見つめ直し、生活を整えるチャンス」として活用することで、より良い人生へと繋がる第一歩となるのです。
神社での厄除け、日常生活の見直し、そして心のケア。こうした小さな積み重ねが、後厄を穏やかに乗り越える鍵となります。そして、迷信とされることの多い後厄ですが、それを「迷信」と切り捨てず、自分の生き方を省みるタイミングとして受け入れることが、豊かな人生を築くための大切な姿勢なのではないでしょうか。
厄が明けるその日まで、自分をいたわり、丁寧に暮らすこと。その心構えこそが、後厄の怖さに負けない最大の“厄除け”と言えるのです。どうか、あなたの一年が穏やかで実りあるものでありますように。