咳はようやくおさまり、胸の痛みも回復してきましたが、一昨日から喉をやられています。今年の風邪は本当にしつこいです。
そんな中、昨日、京大理学部で院生対象の授業をしてきました。すでに書きましたように、舵取りは宇宙物理学科教授で天文台長の柴田一成先生です。講義の題目は「SF作家から見たキャリアパス」。キャリアパスというのは、簡単に言えば、院修了後の進路の道筋ということでしょうか。SF作家になるのは簡単ですが、そんなマイナーでやくざな職業に就いても、とても食ってはいけませんから、ひょっとするとこれはブラック・ユーモアかも知れないなぁ、しかし真面目な若い学生さんたちに、あまりニヒルな人生訓を垂れるのも罪なことだなぁ、などと思案しながら、それなりの準備をして臨みました。
事前にもらっていた名簿によると受講生は理学部だけでなく、農学部、医学部、文学部と多岐ですが、総勢10名ということでした。ところが定刻午後6時30分になると、狭い教室は満員になり、40名近くはいると思われます。しかも、その中には懐かしいお顔が。そう、すでに定年退官された名誉教授の方々がおられるではありませんか! 吃驚してのけぞってしまいました。後で分かったことですが、ほとんど極限状態に達しているオーバードクターの問題を解決するために、キャリアサポート・センターや人材ネットワークのNPO法人などが京大内に作られ、それらの運営の中核として退官されて名誉教授になられた方々が活動されているという構図のようです。
パワーポイントと黒板、ホワイトボードを使いながら、予定の90分を超えること20分、SFの歴史、科学文明のゆくえ、などと共にわが破天荒な人生航路を織り交ぜて話させて頂きました。思いの他、好評だったようでほっと致しました。
終了後、京都駅まで送って頂き、柴田先生、名誉教授の舞原俊憲先生、同、梅田幹雄先生、前日本物理学会会長でNPO法人「あいんしゅたいん」理事長の坂東昌子先生に、レストランで夕食をご馳走になりました。余りにも畏れ多いことでありました。
写真は今出川通りにある喫茶店「進々堂」、概観は昔と変わりませんが、我々の頃は勉学に励む学生でいつも満員だったのに、今は閑散としておりました。寂しいかぎりです。もう1枚は、かつての「基礎物理学研究所」、現在は湯川記念館。これはわがSF「モネラの断想」に登場するのと変わらず健在でありました。湯川博士の講義を聴いてから40年、こうして今も母校との絆を持てる幸せを噛みしめた1日でありました。



2011060317310000 2011060318030000